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テレワーク ポストコロナでも推進――内閣人事局・人事院

内閣人事局と人事院は、国家公務員のテレワークの適切な実施と推進に向けたガイドラインを作成した。
ポストコロナでも流れを後退させず、働き方の1つとして定着するよう取り組むとしている。
推進に当たっては、業務運営上の支障がない限り、職員の希望に応じてテレワーク勤務を可能にするのが基本と指摘。
例外的な扱いとして、新規採用や異動直後など、業務上の都合で希望に応じられない場合や、感染症対策など、希望がなくてもテレワークを命じる場合があることを明らかにしておくべきとした。

円滑な人材確保 配属予定部署の情報紹介を――厚労省・職場情報提供手引(案)

厚生労働省は、企業が求職者に対して働き方などの職場情報を提供する際の留意点をまとめた「手引」案を作成した。
企業の円滑な人材確保と、労働者の適切な職業選択を後押しする狙い。
女性活躍推進法などでは企業単位の情報の開示を義務付けている項目が多いが、入社後のミスマッチを防止する観点から、配属予定の部署に関する情報なども併せて示すのが望ましいとした。
情報提供の方法としては、自社サイトのほか、企業説明会や選考前の面談、採用面接などの多様な機会の活用が考えられるとした。

業務習得率で時給改定――グリーンズ

全国に約100店舗のホテルを構える㈱グリーンズ(三重県四日市市、村木雄哉代表取締役社長)は昨年、パートタイム労働者向けの新人事制度を導入し、時給改定の仕組みを一新した。
職種ごとに身に着けるべき30~50種類の業務を職種別シートにまとめ、習得した作業の割合に応じて時給が決まる仕組みとしている。
昇給の機会を年2回に増やし、人事評価とは別に自ら習熟をアピールできる「自己申告昇給」の機会も用意した。
併せて、教育用の動画を作成し、自主的な学習と成長を促している。

再雇用制度 高度専門職は同一報酬に――CTC

ITサービス大手の伊藤忠テクノソリューションズ㈱(東京都港区、柘植一郎代表取締役社長、略称CTC)は、今年4月から新たな「嘱託再雇用制度」を導入し、スペシャリストとして定年後も正社員と同じ職務を担い、同等の報酬を得ることを可能にする。
役割の違いに応じて3種類のコースを設け、コース別に2~4段階の格付けも行うもの。
高度専門職コースにおいては、正社員と共通の職務記述書を用い、同じポジションなら月例給も同額とする。
評価に当たっても正社員とともに競うかたちとし、行動評価とMBO(目標管理制度)により賞与でメリハリを利かせる。

職業能力評価 団体等検定制度を創設――厚労省

厚生労働省は、職業能力開発促進法に基づく職業能力検定である社内検定認定制度を拡充し、「団体等検定制度」を創設した。
事業主や事業主団体が労働者などの知識・技能向上のために実施する検定のうち、一定の基準に適合するものを厚生労働大臣が認定する。
社内検定とは異なり、自社の労働者以外の労働者・求職者などの外部人材も検定対象とした。
技能検定を補完し、円滑な労働移動を推進する制度と位置付けている。
社内検定を実施している事業者団体などから、即戦力となる人材確保に向けて外部労働者も受検可能な制度への見直しを求める声が上がっていた。

勤続35年超の大卒・定年退職金 大企業・併用型で2450万円に――厚労省 就労条件総合調査(細部集計)

厚生労働省「令和5年就労条件総合調査」の細部集計によると、一時金・年金制度を併用する企業における勤続35年以上の大学・大学院卒の定年退職金は大企業が2446万円、中堅企業が1804万円、中小企業が1559万円だった。
大企業と中小企業の格差は約900万円、率で36%となっている。自己都合退職に関する退職一時金の受給に必要な最低勤続年数については、「3~4年」とする企業が全体の6割を占めている。

現金給与総額 1.2%増の33.0万円――厚労省 毎月勤労統計(令和5年平均確報)

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和5年平均(確報)の月間現金給与総額は33.0万円で、前年結果から1.2%増加した。
物価変動を加味した実質賃金指数は2.5%減少し、2年続けて落ち込んでいる。
一般労働者の所定内給与は1.6%増の32.4万円だった。パートタイム労働者の1時間当たりの給与は3.0%(37円)増の1279円となっている。

ベア要求集計 2月末時点で1.2万円超――金属労協

自動車、電機などの5産別でつくる全日本金属産業労働組合協議会(金子晃浩議長)は、2月27日現在の加盟労組の要求状況を明らかにした。
すでに54%の組合が要求書を提出し、そのうちの9割弱が賃金改善分を要求した。
「賃金構造維持分を確保したうえで1万円以上」との方針に対し、平均要求額は1万2000円を超え前年同時期を約6割上回っている。
規模別では大手、中堅規模が1万3000円台に乗せ、中小規模は1万1860円となっている。

自由意思による同意と認めず――東京地裁

東京都内の運送会社で働く労働者5人が、給与体系変更などを不服として訴えた裁判で、東京地方裁判所(小原一人裁判長)は変更を無効と判断した。
同社は10種類以上あった手当を整理し、基本給、愛社手当、定額残業代、通勤手当の4つで構成する新給与体系を提案(図)。
説明会を開き労働者らの同意を得たが、給与水準は変わらないとする一方、残業代の計算基礎となる基礎賃金減少を十分説明しなかった。
同地裁は労働者らが不利益発生を認識し得たとは到底いえないと指摘。自由意思に基づく同意と認められる客観的・合理的な理由がなく、同意は無効とした。

MVP級のテーマ設定求める――湖池屋

㈱湖池屋(東京都板橋区、佐藤章代表取締役社長)は、目標管理とは別建てで「チャレンジ評価」を運用し、“社内MVPの獲得事例”を参考とした難題の設定を促している。
役割の高さに応じてより大きな挑戦を求めるもので、評価全体に占めるウエートはライン長で最大7割、生産現場のリーダークラスでは4割などと定めている。
一方、非管理職には過去2年分の評価結果で昇降給を実施し、成長度を着実に処遇へ反映している。
連続して最高評価のSを取った人材には、最大数万円の“特別加算”を行っている。

MVP級のテーマ設定求める――湖池屋

㈱湖池屋(東京都板橋区、佐藤章代表取締役社長)は、目標管理とは別建てで「チャレンジ評価」を運用し、“社内MVPの獲得事例”を参考とした難題の設定を促している。
役割の高さに応じてより大きな挑戦を求めるもので、評価全体に占めるウエートはライン長で最大7割、生産現場のリーダークラスでは4割などと定めている。
一方、非管理職には過去2年分の評価結果で昇降給を実施し、成長度を着実に処遇へ反映している。
連続して最高評価のSを取った人材には、最大数万円の“特別加算”を行っている。

再雇用制度 役割難易度で定額支給へ――九電工

㈱九電工(福岡県福岡市、石橋和幸代表取締役社長執行役員)は来年1月、役割に基づいて処遇する定年後再雇用制度を導入し、雇用継続の上限を70歳まで引き上げる。
施工管理や教育指導など5つの職務グループを設けたうえで、個々の職務の難易度を8段階で格付けし、ランク別定額の基本給を支給するもの。
現行制度に比べて年間報酬の下限額を約2割底上げし、上限額は2倍近くまで高める。
施工管理の担い手には工期に応じてランクを変動させ、工事責任者などを務める際は役職手当も加算する。

再雇用制度 役割難易度で定額支給へ――九電工

㈱九電工(福岡県福岡市、石橋和幸代表取締役社長執行役員)は来年1月、役割に基づいて処遇する定年後再雇用制度を導入し、雇用継続の上限を70歳まで引き上げる。
施工管理や教育指導など5つの職務グループを設けたうえで、個々の職務の難易度を8段階で格付けし、ランク別定額の基本給を支給するもの。
現行制度に比べて年間報酬の下限額を約2割底上げし、上限額は2倍近くまで高める。
施工管理の担い手には工期に応じてランクを変動させ、工事責任者などを務める際は役職手当も加算する。

「中堅企業」への支援強化――経産省

経済産業省は、中小企業を除く従業員規模2000人以下の企業を「中堅企業」と新たに位置付け、賃金引上げや設備投資などに対する支援を強化する。
令和6年度からは「賃上げ促進税制」に中堅企業枠を創設し、全雇用者の給与支給額を前年度から4%以上引き上げた場合、増加額の25%を法人税から控除する。
教育訓練費の引上げや女性活躍支援などに対する上乗せと合わせれば、最大で35%の控除を受けられる。
とくに賃金水準が高い中堅企業については「特定中堅企業」と定義し、機械装置などへの設備投資を行う場合、法人税の6%を控除する。

主要大手の要求水準 平均で総額1万8千円超――自動車総連

自動車総連(金子晃浩会長)は2月14日、メーカー部会の大手12組合が同日提出した要求内容を明らかにした。
平均賃金要求については、うち10組合の単純平均で総額1万8320円(定昇分含む)に上り、率では5・51%に当たるとしている。
トヨタ労組は要求内容を非公開とし、ダイハツ労組は賃金改善分を要求しなかった。
多数の労組で前年を大幅に上回る水準の要求となっており、金子会長は「物価上昇を上回る原資を要求した」と評価した。

コンピテンシーで基本給洗替え――タムラ製作所

電子部品メーカーの㈱タムラ製作所(東京都練馬区、浅田昌弘代表取締役社長兼CEO)は、ライン長の基本給について役職別に標準額を定める一方、コンピテンシー評価の結果に応じて全役職で定額の加算・減算を行っている。
コンピテンシー評価には、部下に挑戦の機会を与えているか、今後成長を期待することを伝えて自信をつけさせているか――などの“心理的安全性”に関する4項目を盛り込み、評価全体の約25%に反映することで、積極的に挑戦する風土の醸成を促している。

候補者を半年間お試し登用――サイバー・バズ

企業のマーケティング支援などを行う㈱サイバー・バズ(髙村彰典代表取締役社長)は、次世代の管理職・経営者育成に取り組んでいる。
2022年にはマネージャー候補を社内公募・選考し、半年間「マネチャレ」としてマネージャーと同等の裁量権を与える制度を新設した。
現在までに6人のマネチャレが誕生し、1人は正式にマネージャーに昇進した。
23年には経営者育成を目的とした「髙村塾」を開講。役員候補の管理職などを対象に、社長と経営について議論する機会を与えている。

大卒・モデル賃金 非管理職35歳33.1万円に――関経連ほか 関西地域の標準者賃金

関経連など関西地域9つの経営者団体が共同で実施した「標準勤続者賃金」調査によると、大卒・非管理職のモデル賃金22歳が22.0万円、35歳が33.1万円などとなり、管理職は45歳が49.8万円、55歳が56.9万円だった。
前年結果に比べて、非管理職層の若年層では2.4~3.3%伸び、管理職の35歳、45歳でも3%台の伸びを示した。
一方で非管理職層の50歳代は1%程度落ち込んでいる。
初任時22歳における業種別の水準は、化学22.7万円、機器22.5万円、金属21.8万円などとなっている。

満70歳まで再雇用期間延長――東北電力

東北電力㈱(宮城県仙台市、樋口康二郎取締役社長)と東北電力ネットワーク㈱は、従来以上に多様な働き方を可能にするため、2024年度から人事・賃金制度の見直しを進める。
若年層の等級大括り化を図り、勤務地を県単位で限定できるコースを用意するほか、再雇用の上限年齢を段階的に70歳まで引き上げる。
雇用区分の幅を広げ、ライン長として働き続ける「EXスタッフ」、週3日勤務も選べる「Eスタッフ」を新設する。

人口減少社会 中小の人材確保で議論へ――厚労省・労政審労政基本部会

厚生労働省はこのほど、就業構造などの基本的課題について検討する労働政策審議会労働政策基本部会(部会長・守島基博学習院大学教授)を8カ月ぶりに開き、「人口減少社会における中小企業・地域を支える産業における労働者の能力発揮」を同部会(第4期)の検討テーマにすることを決定した。
中長期的な人手不足の課題や中小企業などの人手確保への対応、労働政策のあり方などを論点に、検討を進める。
令和6年度末をめどに報告書を取りまとめる方針だ。

事務課長ピーク 52~56歳未満で62.6万円――5年・民間給与の実態(確報)

人事院の職種別民間給与実態調査によると、課長級の所定内給与がピークを迎えるのは事務課長が52~56歳未満62.6万円、技術課長が56歳以上62.0万円だった。
新人クラスの係員20~24歳未満の水準と比べて、いずれも2.7倍となっている。
一方、配偶者手当を支給している企業の割合は56.2%だった。
このうち9割で配偶者の収入による制限を設けており、収入制限の額は「103万円」が42%、「130万円」が35%などとなっている。

小規模の9割で転嫁進まず――熊本県商工会連合会

熊本県商工会連合会(笠愛一郎会長)は、会員事業所の経営課題に関する調査結果を取りまとめた。
「価格転嫁ができていない」または「転嫁をしたものの不十分」と回答した事業所の割合は90%に上り、転嫁が進んでいない実態が明らかになった。
調査では、台湾の半導体メーカーTSMC進出の影響も尋ねており、わずかだがすでにマイナスの影響が出ているとの声が聞かれた。
そのうちの58%が、「採用困難などによる人手不足」を訴えている。
同連合会では今後、県や国に対して要望活動を進めていく。

男性育休取得支援 企業に最大410万円支給――東京都・来年度事業

東京都は来年度、育児休業の取得を推進する企業への支援策を強化する。
従業員が一定期間以上育休を取得した企業を対象とする「育業応援奨励金」のうち、「ママコース」と「パパコース」の支給上限額を引き上げる。
具体的には、育休を支える同僚への応援手当支給などに対する加算措置を新設し、ママコースで計165万円、パパコースで計410万円まで支給する。
両コースは併用できる。
新事業としては、「男性育業推進リーダー」制度を立ち上げる。社内研修の講師を担うリーダーとして男性の育休経験者を選任した企業に対し、奨励金100万円を給付する。

中小建設・新卒採用 徹底教育し誰でも現場監督に――牧野電設

牧野電設㈱(牧野長代表取締役、東京都練馬区、34人)は、2011年から新卒採用を開始し、約10年間で社員数の3倍増に成功した。
文系学部出身者や女性を積極的に採用し、入社後に2カ月間かけて行う新入社員研修では、社長自らが現場監督としての基本を徹底的に教えている。
内容は電気に関する基礎知識に留まらず、コストに関する考え方やマナーにまで及ぶ。
手作りの研修マニュアルは毎年、内容の改訂を重ね、今では300ページを超えた。
社内の研修施設には、100種類の資材や工具を用意する。
育児休業などが取得しやすい環境を整備するため、複数人で1つの物件を担当する制度も採り入れている。

管理職層の賞与は最大2.8倍――OKI

沖電気工業㈱(=OKI、東京都港区、森孝廣代表取締役社長執行役員兼最高経営責任者)は昨年4月、管理職層のグレード体系を複線化し、マネジメント職やプロフェッショナル職など3つの役割に区分した。
役職の高さや組織で求められる役割の違いを明確に定義したもので、基本給に関しては等級別定額制を採用している。
賞与は、50~278%のメリハリを利かせる。
ライン長のポストは6階層に格付けし、役割を定義する「役割プロファイル」を計10種類策定した。

フリーランス新法 1カ月以上に禁止規定適用――公取委

公正取引委員会の有識者検討会はフリーランス新法の政省令に関する報告書をまとめた。
契約始期から終期までの期間が1カ月以上の業務委託契約を、同法が定める7つの禁止行為の対象にすべきとしている。
6割の契約が規制対象になるとみられる。
同法は政令で定める期間以上行う業務委託契約において、委託事業者はフリーランスに対し、受領拒否や報酬減額など7つの行為を行ってはならないと規定している。
契約締結時の明示事項は、下請法の書面記載事項をベースに、報酬をデジタル払いにする場合に必要な事項など16項目を示した。
同法は今秋施行される予定。

ITエンジニア 大卒35歳の所定内31.3万円――情報労連 ITエンジニア実態調査

情報労連の「ITエンジニアの労働実態調査」によると、大卒の年齢ポイント別所定内賃金は、22歳21.9万円、35歳31.3万円、45歳37.9万円、ピーク時の55歳42.1万円だった。
22歳の水準を100とした場合の指数は、35歳から順に143、173、192となっている。
各社に最低額と最高額を聞いて集計している職種別賃金レンジは、システムエンジニアが27.0万~44.8万円、プロジェクトリーダー等が36.5万~52.1万円だった。
昨年の賃上げ状況は、平均引上げ額が8500円で、うちベア分が3513円を占めている。

職場情報提供で手引作成へ――厚労省

厚生労働省は、企業における円滑な人材確保と、労働者の適切な職業選択を後押しするため、企業が求職者に職場情報を提供する際の留意点をまとめた「手引き」を作成する方針だ。
このほど開いた労働政策審議会の分科会で作成に向けた議論を開始した。
手引きでは、法令により情報開示を義務付けている項目や求職者の関心が高い職場情報を整理するともに、部署単位の職場情報を提供する場合の留意点などを明らかにする考え。
多様な提供方法やタイミングの組合せのパターンについても提示していく。

7職種に分け等級別定義表――テルモ

テルモ㈱(東京都渋谷区、佐藤慎次郎代表取締役社長CEO)は今年4月、非管理職層に新人事制度を導入し、ポジションを基準とした人材管理へ転換する。
2年前に先行導入した管理職層では全ポジションに職務記述書を設けたのに対し、7つの職種区分ごとに等級別定義表を整備し、より柔軟に運用する。
現行の職能に基づく等級体系は、全4~5階層の役割等級体系に改める。社内公募と会社主導のローテーション人事を併用しながら、自律的な成長を促す。

都内中小のモデル賃金 大卒35歳で31.9万円に――東京都 中小企業の賃金事情

東京都の「令和5年版中小企業の賃金事情」によると、大卒のモデル賃金は22歳22.2万円、35歳31.9万円、45歳38.7万円などとなり、ピークの55歳は44.0万円だった。
22~40歳で前年比2.9~4.0%増と伸びた一方、45歳以上は1%前後の伸びに留まっている。
全常用労働者の平均所定内賃金は、38.0万円で前年結果から4.4%増加した。
過去1年間にベアを実施した企業の割合は49.1%を占め、例年の3割前後を大きく上回っている。

優越的地位濫用 1255社へ再び注意喚起――公取委

価格転嫁に向けた下請との協議を行わなかったなどとして、過去に独占禁止法に関する文書による注意喚起を受けた発注者のうち、3割が依然として協議に応じていないことが、公正取引委員会の特別調査で分かった。
労務費、原材料価格、エネルギーコストの上昇分の価格転嫁について調べたもので、令和4年に注意喚起した発注者4030社のうち、1255社に再び注意喚起文書を送付している。
協議を行わなかった理由として、「受注者から要請されなかったから」を挙げる企業がめだつ。

直接被害受け休業 「使用者の責」に当たらず――厚労省

厚生労働省は、能登半島地震を受け、自然災害時の事業運営における労働基準法や労働契約法の取扱いに関するQ&Aを公表した。
災害により事業場の施設・設備が直接的な被害を受けて労働者を休業させる場合、原則として、休業手当の支払いが必要になる「使用者の責に帰すべき事由による休業」には当たらないとした。
また、1年単位の変形労働時間制を適用している事業場が被害を受けたときには、労使の十分な話合いのうえ、労使協定の合意解約が可能とした。

流通・サービス7%要求へ――UAゼンセン

多様な産業・業種の労働組合が加盟するUAゼンセン(松浦昭彦会長)の業種別3部門は、春季労使交渉の方針案を明らかにした。
流通および総合サービスの2部門では、本部方針を上回る7%基準の賃上げを求める。
短時間組合員については引き続き正社員以上の要求をする意向で、流通部門では時給ベースで70円以上、総合サービス部門では80円を目安に引き上げるなどとしている。
深刻化する人手不足を背景に、総実労働時間短縮による労働条件向上の取組みも進める意向だ。

3000ポジションへ職務記述書――ENEOS

ENEOS㈱(東京都千代田区)では、非ライン長を含む約3000人の管理職層に対して職務等級を適用している。
基本給は等級別定額のグレード給一本とし、前後の等級間で5~15%の差を付けている。
部長以下のライン長については年1回、挙手制による入替えも実施する。
職務記述書の人材要件に適合するかどうかなどを部門長が判断するもので、昨春初めて実施した公募では、人事異動があったポジションのうち25%が挙手による希望を叶えた交代だった。

過度な転職促進策見直しを――日商要望

助成金による過度な転職促進施策の見直しを――日本商工会議所と東京商工会議所(小林健会長)は、政府と東京都に対し、雇用・労働政策に関する要望書を提出した。
人手不足がかつてなく深刻な状況を迎えているなか、政府が労働移動円滑化を推進する方針を示すことにより、中小企業では従業員流出の懸念が広がっていると訴えた。
労働者個人にリスキリングに関連した助成金を直接支給するなど、リスキリングと転職をセットで過度に後押しするような施策の見直しを求めている。
同時に企業内における人材の育成や処遇向上の支援も強化するよう要望した。

早期抜擢・昇格で20歳代定着へ――2023年掲載事例を振り返る

将来を嘱望されていた人材が早期に離職してしまう――若手の定着を強く意識した制度改定がめだった。
横並び的な昇格運用を採ってきた大企業では、早期抜擢が可能な仕組みや、昇格昇給の機会を増やして30歳以下の処遇を改善している。
早期に管理職手前の等級まで引き上げた後、個々の役割の違いは新設した洗替え給で反映し、処遇にメリハリを利かせるケースもあった。
職務基準への移行をめざす企業のなかには多様なパターンがみられ、適用範囲については管理職のみ、全社一律、リーダー層限定とする3つの手法に分けられる。
職務調査の方法に関しても、独自の手法でポストの採点を行う事例があった。

再雇用者の上限年齢撤廃――住友電設

電気工事、情報通信工事などを手掛ける総合エンジニアリング企業の住友電設㈱(大阪府大阪市、谷信代表取締役社長)は、65歳以上の人材を1年契約で雇用する「シニアエキスパート社員」の上限年齢を撤廃した。
2021年に65歳定年制へ移行する際に導入した仕組みで、これまでは上限を70歳と定めていた。
制度として既存人材の継続雇用を可能にする一方、すでに上限年齢に達して関係先他社へ移籍したOBにも声を掛ける。

自動車整備士 「資格手当」の新設を――国交省

国土交通省は、自動車整備事業者の人材確保を支援するため、働きやすい職場環境の整備に向けたガイドラインを作成する。
自動車整備士としてのキャリアに応じた評価方法などを解説し、資格手当制度を設けることを推奨する。
若手人材の定着につなげるための柔軟な勤務制度やメンター制度の導入、女性が働きやすい環境の整備なども紹介する見込み。
整備士の関係団体らにヒアリングを実施したうえで、来年3月末にまとめる。

23区内大卒初任給 事務系・技術系ともに22.2万円――人事院 民間給与の実態(初任給)

人事院の「令和5年職種別民間給与実態調査」によると、東京23区内の事業所における今年4月に入社した大学卒の確定初任給は事務員22万1772円、技術者22万1580円だった。
前年結果と比べてそれぞれ3.0%(6409円)増、2.3%増(5011円)と伸びている。
高校卒は事務員が18万8242円、技術者が18万8323円だった。
新卒採用を行った事業所のうち初任給を増額した割合は大企業で6割、小企業でも5割強に上っている。

定期健康診断 女性特有の課題に対応――厚労省

厚生労働省は、労働安全衛生法に基づく一般健康診断の検査項目等に関する検討会(座長・髙田礼子聖マリアンナ医科大学教授)を設置し、初会合を開いた。
社会情勢や労働者の健康課題の変化を踏まえ、健診項目の見直しに向けた検討を進めていくとした。
女性の就業率が高まっていることから、月経困難症や更年期症状など、女性の健康問題に関する検査項目の追加などを検討する。
労働者の高齢化への対応も課題となる見込み。
来年度中に結果をまとめる方針だ。

健康経営 優良コンサルをリスト化へ――経産省

経済産業省は、健康経営に取り組みたい中小企業を支援するため、コンサルティングやメンタルヘルスケアなどのサービスを提供する優良な事業者をリスト化し、ポータルサイトで公開する。
コンサルティング事業者に活動実績や法令の遵守などを宣言してもらい、サービスの品質を担保する仕組みを検討している。
来年度にはリストの公開をめざす。健康経営について何をすれば良いか分からない企業が、やみくもに外部の事業者を活用して効果が出ない状態になることを防ぐ狙い。

大卒初任給 23区内・事務系で21.5万円――人事院 民間給与の実態(初任給)

人事院の「令和4年職種別民間給与実態調査」によると、東京23区内の事業所における今年4月に入社した大学卒の確定初任給は、事務系が平均21.5万円、技術系が21.7万円だった。
前年結果と比べてそれぞれ1.4%増、0.9%増と伸びている。
金額階層別では20万~20万9999円とする事業所の割合が最も高く、事務系では30.2%、技術系では29.3%だった。
一方で22万円以上の割合も低くなく、技術系では26.9%を占めている。

最賃上昇や賃上げを根拠に――政府

内閣官房と公正取引委員会は11月29日、「労務費の適切な転嫁のための価格交渉に関する指針」を公表した。
発注者と受注者の採るべき行動/求められる行動を示したもので、価格交渉に際しては最低賃金の上昇率、春季労使交渉の妥結額などの公表資料の活用を求めた。
受注者が労務費上昇の根拠として用いた場合、発注者は提示額に合理性を認めて尊重すべきとしている。
指針に沿わない行為で公正競争を阻害するおそれがある場合、独占禁止法や下請代金法に基づき厳正に対処する旨も明記した。
労務費の転嫁率が低い10業種などを中心に、今後周知活動を展開する。

高齢者紹介モデルに転換を――民紹協

職業紹介事業の11団体、1250社を会員とする全国民営職業紹介事業協会(紀陸孝会長)は、職業紹介事業者向けに、自社の高齢従業員の活用と高齢求職者の紹介推進を促すガイドラインの作成を進めている。
すでに案をまとめており、来年1月には公表する予定。
少子高齢化による人材不足のなか、若年層の紹介を主体とする従来のビジネスモデルから、高齢求職者主体のモデルへの変革を促すのが狙い。
同じ目線を持つ高齢従業員が面談し、コンサルティングする有用性を指摘する一方、求職者の登録システムなどを導入し、従業員のIT技術を教育する必要性を訴えている。

給与計算 算定誤りは不当利得に――東京地裁

トラックドライバーとして働く労働者が給与計算に間違いがあったとして、退職後に未払い分の支払いを求めた裁判で、東京地方裁判所(別所卓郎裁判官)は会社の算定方法の誤りを認め、600万円の支払いを命じた。
算定誤りによる労働者の損害は、会社の不当利得に当たるとして、6年分の請求を認容している。
両者は売上高から手数料と「経費等」を引いた額を歩合給とする合意を交わしていた。
会社は社会保険の事業主負担分を経費として控除していたが、同地裁は「労働者に直接転嫁することなく事業主が負担するのが通例」と指摘。
経費等に含まれないと判断した。

65歳以降の将来設計支援を――日商・東商

従業員に65歳以降の働き方の選択肢を提案する取組みを支援し、就労調整を誘発する仕組みの改革を――日本商工会議所と東京商工会議所(小林健会頭)は、社会保障制度改革に関する政府への提言を取りまとめた。
在職老齢年金制度や年収の壁によって人手不足が加速するとして、制度の見直しや撤廃が求められるとした。
65歳以降も継続雇用するには、40~50歳代の段階から将来受給可能な年金額を企業が説明し、個人に合った労働時間など働き方の選択肢を提案しておくことが有効としている。
相談相手となる社会保険労務士などの専門家リストの公表が必要とした。

9段階洗替え給を設ける――東邦銀行

㈱東邦銀行(福島県福島市、佐藤稔取締役頭取)では昨年10月に人事制度を改定し、基本給の一部に9段階の洗替え給「役割成果給」を採り入れた。
店舗に勤務する人材のテーブルは、業務領域やポスト、店格に応じて分けており、個々人の支給額に差を付けている。
洗替えには、新たに設けたコンピテンシー評価の結果も活用する。
7項目のなかで、人材育成に取り組んだり積極的に業務フローを学んでいるかなどの行動面を確認していく。

勤続35年超・定年退職金 大学・大学院卒で2040万円――令和5年 就労条件総合調査

厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査」によると、昨年1年間に定年退職した勤続35年以上の者の平均退職金は、大学・大学院卒で2037万円、高校卒・現業職で1471万円だった。
前回・平成30年調査と比べると、それぞれ136万円減、158万円減と落ち込んだ。
一時金のみのケースでは、それぞれ1822万円、1321万円となっている。
退職年金制度の支払準備形態では、「確定拠出年金(企業型)」が50.3%と5割を超えている。

育児時短就業給付 「2歳未満」育てる親が対象――厚労省・労政審部会

厚生労働省は、育児期を通じた柔軟な働き方を推進するために創設をめざしている「育児時短就業給付(仮称)」について、制度設計の方向性案を労働政策審議会職業安定分科会雇用保険部会に提示した。
同給付は、子育てのために時短勤務を選択した際の賃金低下を補い、時短勤務の活用を促すもの。
方向性案では、対象者を2歳未満の子を養育する雇用保険被保険者とし、時短勤務開始日前2年間に被保険者期間が12カ月以上あることを要件とした。
時短勤務中の各月に支払われた賃金の一定割合を支給する。具体的な支給率などは今後検討していく。

少子化対策支援金 医療保険料とともに徴収――こども家庭庁

こども家庭庁は少子化対策の財源として新たに設ける支援金制度について、協会けんぽなどの医療保険者に徴収・納付を委託する案を明らかにした。
企業と労働者は医療保険料とともに支援金を徴収される形となる。
制度設計を議論する大臣懇話会(座長=遠藤久夫学習院大学経済学部教授)で示したもので、拠出額は個々人に過度な影響を与えないよう、負担能力に応じた設計にするとしている。
政府は同懇話会の議論を踏まえ、来年の通常国会に関連法案を提出する予定。

総合職モデル 大卒35歳で32.6万円――2023年度版 愛知のモデル賃金

愛知県経営者協会の「愛知のモデル賃金(2023年度版)」によると、総合職・大学卒のモデル賃金は22歳で21.5万円、35歳で32.6万円、50歳で46.2万円などとなり、ピークは60歳で46.6万円だった。
前年結果と比べると、35歳以下の若年層で0.9~2.8%増加し、60歳では2.0%減少している。
現業職・高校卒は、18歳18.1万円、22歳20.3万円、35歳29.8万円、ピークの60歳40.7万円などとなり、30歳以下では総じて2%台の伸び率を示した。
管理職の実在者賃金は、部長相当職が55.2万円、課長相当職が44.2万円で、ともに1.8%減と低下した。

正社員転換への助成拡充――政府・令和5年度補正予算案

政府は11月10日、令和5年度補正予算案を閣議決定した。
同月2日に発表した「デフレ完全脱却のための総合経済対策」を実行するための裏付けとなるもので、厚生労働省関連では、人手不足対応の施策や三位一体の労働市場改革の推進に関する施策などを盛り込んだ。
正社員転換を希望する非正規雇用労働者の正規化を促進するため、キャリアアップ助成金(正社員化コース)を拡充する。
中小企業が正社員化した場合の助成金額を現行の1人当たり57万円から80万円に引き上げるとともに、有期雇用の期間が長期化している労働者も新たに対象に加えるとした。

雇用保険 料率・国庫負担見直しを――財務省・財政制度分科会

財務省は男性の育児休業取得増加による雇用保険財政悪化への対応策として、保険料率と国庫負担割合の見直しを提言した。
社会保障改革を議論する財政制度分科会で方針を示したもので、政府が令和7年度からの開始をめざす育児時短就業給付や育休給付率アップについては別途財源を検討するとしている。
見直しに当たっては将来的な給付の増加を踏まえ、早急に財政基盤を強化すべきと強調した。
育休給付の国庫負担割合は本則8分の1だが、6年度まで80分の1とする特例を講じている。

職位・店格基準の「職務給」新設――鹿児島銀行

㈱鹿児島銀行(鹿児島県鹿児島市、松山澄寛取締役頭取)は、今年4月に人事制度を改定し、転居転勤の有無で複線化していた総合職の区分を一本化した。
給与体系を統一し、加算給のみで差を付けることにより、勤務地を限定しない「エリアフリー」と制限をかける「エリア限定」の選択を通算2回まで可能にしている。
併せて、年齢給を廃止し、職位や店格に基づいて定額を支給する「職務給」を新設した。
7段階洗替え方式の「資格給」と組み合わせ、職能資格の高さと役割の価値の両面から処遇している。

介護直面前に情報提供も――厚労省

厚生労働省はこのほど、仕事と介護の両立支援制度の見直しに向けた論点を整理し、労働政策審議会の分科会に示した。
介護休業などを利用せずに離職に至る者が多いとして、介護の必要性に直面した労働者に対し、事業主が両立支援制度を個別に周知して意向を確認する仕組みや、直面する前に情報を一律に提供する仕組みの創設を検討事項に盛り込んだ。
研修の開催や相談窓口の設置などの雇用環境整備も論点とした。
使用者委員からは、中小企業では研修実施が難しいといった意見が出ている。

健康づくり 企業へ専門家チーム派遣――兵庫県

兵庫県は、従業員の加齢による心身の衰え(フレイル)の予防をめざす中小企業に対し、専門家を無料で派遣する事業を開始する。
シニア世代の労働者が健康的に長く働くためには、フレイル予防に関する対策が重要としている。
医師や理学療法士などの医療関係者で構成する「フレイル予防サポートチーム(仮)」が企業に出向き、フレイル予防に向けた健康講話や、効果的な運動方法について、実践を交えながら解説する。
派遣開始は今年12月を予定している。

社保適用時処遇改善コース 手当支給後の計画提出OK――厚生労働省・Q&A公表

厚生労働省は10月20日、キャリアアップ助成金に新コースとなる「社会保険適用時処遇改善コース」を新設するとともに、事業主向けQ&Aを公表した。
いわゆる「年収の壁」対策として設置した同コースでは、新たに被用者保険に加入した労働者に本人負担分の保険料相当の手当支給などを行う企業に対し、労働者1人当たり最大50万円を助成する。
受給要件であるキャリアアップ計画の作成・提出は、事業所単位で行う。
原則として手当支給などに取り組む前に提出する必要があるが、来年1月末までに取組みを開始するケースについては、例外的に事後提出を認める。

社保適用時処遇改善コース 手当支給後の計画提出OK――厚生労働省・Q&A公表

厚生労働省は10月20日、キャリアアップ助成金に新コースとなる「社会保険適用時処遇改善コース」を新設するとともに、事業主向けQ&Aを公表した。
いわゆる「年収の壁」対策として設置した同コースでは、新たに被用者保険に加入した労働者に本人負担分の保険料相当の手当支給などを行う企業に対し、労働者1人当たり最大50万円を助成する。
受給要件であるキャリアアップ計画の作成・提出は、事業所単位で行う。
原則として手当支給などに取り組む前に提出する必要があるが、来年1月末までに取組みを開始するケースについては、例外的に事後提出を認める。

6要素評価で役割給改定――ピジョン

ピジョン㈱(東京都中央区、北澤憲政代表取締役社長)では、基本給について役割給一本とし、業務遂行や人材育成、チームビルディングなど6つの要素について等級別の行動基準を満たしていたかどうかを評価して改定している。
高評価を収めた場合は5%超の昇給を可能とする一方、低評価の場合は数%の降給を実施。等級と役職が連動する課長以上のライン長に対しては、降格時の降給率もルール化した。
ポイント制を採る賞与に関しては、評価次第で支給ゼロもあり得る「別テーブル方式」を用いている。
業績評価の点数に応じ、細かく付与ポイントに差を付ける。

6要素評価で役割給改定――ピジョン

ピジョン㈱(東京都中央区、北澤憲政代表取締役社長)では、基本給について役割給一本とし、業務遂行や人材育成、チームビルディングなど6つの要素について等級別の行動基準を満たしていたかどうかを評価して改定している。
高評価を収めた場合は5%超の昇給を可能とする一方、低評価の場合は数%の降給を実施。等級と役職が連動する課長以上のライン長に対しては、降格時の降給率もルール化した。
ポイント制を採る賞与に関しては、評価次第で支給ゼロもあり得る「別テーブル方式」を用いている。
業績評価の点数に応じ、細かく付与ポイントに差を付ける。

若手と60歳超を15%増――明治安田生命保険

明治安田生命保険相互会社(東京都中央区、永島英器取締役 代表執行役社長)は、来年4月に内勤者約1万人の給与体系を見直し、年収ベースで平均7%アップさせると明らかにした。
年功的な要素を廃止することで3%引き上げるほか、第三の手当として新設する「価値創造報酬制度」に基づいて4%相当の特別手当を支給する見込み。
役割に基づく要素を高めで賃金カーブの修正を図るのが狙いで、入社5年目までの若手と60~65歳のシニア層に関しては平均で15%アップになるとしている。

若手と60歳超を15%増――明治安田生命保険

明治安田生命保険相互会社(東京都中央区、永島英器取締役 代表執行役社長)は、来年4月に内勤者約1万人の給与体系を見直し、年収ベースで平均7%アップさせると明らかにした。
年功的な要素を廃止することで3%引き上げるほか、第三の手当として新設する「価値創造報酬制度」に基づいて4%相当の特別手当を支給する見込み。
役割に基づく要素を高めで賃金カーブの修正を図るのが狙いで、入社5年目までの若手と60~65歳のシニア層に関しては平均で15%アップになるとしている。

中小は総額1.5万円要求へ――連合

連合は10月19日、来春の賃上げ要求を「3%以上」、定昇相当分を含めて「5%以上」などとする基本構想を明らかにした。
中小組合の要求目安については、30年ぶりの高水準の賃上げで拡大した規模間格差の是正に向け、総額で1万5000円に高めている。
ベースアップに当たる改善分の目標を前年の9000円から1万500円に引き上げたもので、連合加盟組合の平均賃金(30万円)の3・5%以上を求めるとしている。

能力・職務で「役割」を設定――MIXI

㈱MIXI(東京都渋谷区、木村弘毅代表取締役社長)では、頻繁に生じる事業部の新設や廃止に対応すべく、管理職相当の人材に対して個人の能力、職務を掛け合わせた“役割”基準による等級体系を運用している。
等級別の給与レンジを約40%ずつ重複させ、事業部廃止によりポジションがなくなるようなケースでも、降給を伴わずに配置転換できる余地を大きく確保する。
多様な人材にライン長を任せるため、より高度な専門性を発揮するスペシャリストに向けたコースにも、等級定義のなかにリーダーシップの要素を含めている。

労働条件明示・新たなルール 施行“前”締結は対象外――厚労省

厚生労働省は、来年4月に施行する労働条件明示の新ルールの具体的な運用に関する通達を発出するとともに、Q&Aを作成した。
すでに雇用されている労働者に対しては、就業場所の変更範囲の明示など、新ルールに対応した条件明示を改めて行う必要はないことをQ&Aで明らかにしている。
また、契約の開始時期が来年4月以降であっても、3月以前に契約を締結した場合は新ルールによる明示を不要とした。
就業場所などの変更の範囲については、締結する契約の期間中における変更の範囲のみを示せば良いとした。

平均年間給与 正社員・男性584万円に――国税庁 令和4年民間給与実態

国税庁の民間給与実態統計によると、昨年1年間を通じて勤務した正社員の平均年間給与は男性が583.8万円、女性が406.9万円だった。
前年結果と比べた伸び率は、それぞれ1.1%増、3.4%増で、女性が男性を上回っている。
役員や非正社員も含めた男女計の平均給与は457.6万円で、うち賞与は71.6万円となっている。
賞与は2年連続で4%強の伸び率を示しており、コロナ禍前である令和元年の水準まで回復した。

労災特別加入制度 フリーランスを追加へ――厚労省

厚生労働省は10月4日に開いた労働政策審議会労災保険部会で、事業者からの委託により業務に従事するフリーランスを、労災保険の特別加入制度の対象に加える方針を示した。
対象者の範囲や保険料率の水準、加入手続きを担う特別加入団体のあり方などを論点に、議論を開始している。
今年4月に成立したフリーランス新法の附帯決議では、希望するすべてのフリーランスが加入できるよう対象を拡大することとしていた。

労災特別加入制度 フリーランスを追加へ――厚労省

厚生労働省は10月4日に開いた労働政策審議会労災保険部会で、事業者からの委託により業務に従事するフリーランスを、労災保険の特別加入制度の対象に加える方針を示した。
対象者の範囲や保険料率の水準、加入手続きを担う特別加入団体のあり方などを論点に、議論を開始している。
今年4月に成立したフリーランス新法の附帯決議では、希望するすべてのフリーランスが加入できるよう対象を拡大することとしていた。

同性パートナー 配偶者と認めず――札幌地裁

北海道の元職員が、自身の同性パートナーが事実上の配偶者に当たるとして、在職期間中の扶養手当などの支払いを道や道共済組合に求めた裁判で、札幌地方裁判所(右田晃一裁判長)は元職員の請求をすべて棄却した。
職員の給与に関する条例は扶養手当の支給要件について、民法上の婚姻に関する概念を前提に定めていると指摘。
現行民法は婚姻を異性間に限っており、同性パートナーは条例の「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」には該当しないと判断した。

同性パートナー 配偶者と認めず――札幌地裁

北海道の元職員が、自身の同性パートナーが事実上の配偶者に当たるとして、在職期間中の扶養手当などの支払いを道や道共済組合に求めた裁判で、札幌地方裁判所(右田晃一裁判長)は元職員の請求をすべて棄却した。
職員の給与に関する条例は扶養手当の支給要件について、民法上の婚姻に関する概念を前提に定めていると指摘。
現行民法は婚姻を異性間に限っており、同性パートナーは条例の「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」には該当しないと判断した。

手当支給企業に助成金――厚労省・「年収の壁」支援パッケージ

厚生労働省は、短時間労働者がいわゆる「年収の壁」を意識せずに働けるようにするための「支援強化パッケージ」を発表した。
「106万円の壁」対策として、キャリアアップ助成金に新コースを設置する。
賃上げや、労働者負担分の保険料に相当する手当支給などを行う企業に対して、労働者1人当たり最大50万円を助成する。
令和7年度までの時限措置で、1事業所当たりの申請人数に上限は設けない。
企業が手当により肩代わりした本人負担分の保険料相当額については、保険料算定の基礎に含めない。
10月中に改正雇用保険法施行規則を公布し、同月1日に遡って適用する方針。

男女間賃金差異 説明不能な格差2.5%に――メルカリ

㈱メルカリ(東京都港区、山田進太郎代表取締役CEO)は、ESG推進の取組みを報告するインパクトレポートを公開し、男女間賃金差異における「説明できない格差」を7%から2・5%へ縮小したと明らかにした。
職種やグレードの違いに起因しない男女差を改めて確認したもので、是正の対象となる女性社員の基本給を引き上げている。
要因分析の結果、入社時点から年収ベースで約9%の差が認められたため、中途採用者の多さを踏まえて前職の賃金の影響を受けた結果と分析した。
同様の手法により今後も定期的にモニタリングする一方、採用手法の見直しを検討する。

管理職層300ポストに定義書――関西ペイント

関西ペイント㈱(大阪府大阪市、毛利訓士代表取締役社長)は、期待役割のレベルで区分した3階層の等級体系を整備し、ライン長と専門職向けに職群を複線化した。
期待役割は全社で共通する4~9つの要素から定義しており、ライン長では「人材育成」や部署の方針に関する「目標設定」を含む。
人事評価では、要素別に求められる行動をとっていたかを採点し、基本給の昇降給に反映する。
一方で、合計300に及ぶポストごとに職務定義書を設け、各部署で各ポジションのミッション、必要な資格なども明らかにした。
ミッションの達成度は目標管理形式で確認し、賞与の支給係数に差を付ける。

育児期の在宅勤務 努力義務化に慎重論も――労政審雇用環境・均等分科会

厚生労働省は、出産・育児を機に離職せずに就業を継続できる環境を整備するため、労働政策審議会雇用環境・均等分科会(分科会長・奥宮京子弁護士)で育児・介護休業法の改正を視野に入れた議論を開始した。
両立支援策の拡充に向けた論点には、子どもが3歳になるまでテレワークを認めることを事業主の努力義務にすることなどが挙がっている。
使用者委員からは、「業種・職種によってテレワークに向き・不向きがあり、努力義務化には慎重であるべき」として、一律の努力義務化に反対する意見が出た。

育休奨励金 基本給の120%支給――野村證券

野村證券㈱(東京都中央区、奥田健太郎代表取締役社長)は、男女を問わず育児休業を1カ月以上取得した社員に対し、基本給の1・2カ月分相当を支給する奨励金を新設した。
昨年度の男性育休取得率が87%に上る一方、5日を超えて取得する比率が12%に留まっていることから、長期間の取得を促す。
職場環境の整備に向けて、マネージャー層の人事評価に「育休を取りやすい環境を整えているか」などを問う項目も盛り込んだ。
併せて育休取得者の業務をカバーするなどの“支援業務”を、新たに評価の対象に含める。

13観点から役割を定義――パシフィックネット

IT関連業の㈱パシフィックネット(東京都港区、上田雄太代表取締役社長)は今年8月、“期待される役割”に基づいて全8階層を設ける新人事制度を導入した。
役割については多面的に捉えており、業務執行責任、チームワーク推進、メンバー育成など「期待役割」8つの観点と、達成へのこだわりやリーダーシップなど「意識と行動」5つの観点から定義している。
「役割給」は、目標管理をはじめ行動評価、スキル評価を実施して総合評価を求め、改定する。
制度移行と同時に役割に基づく再格付けを進めた結果、全社員の15%に当たる約30人の若手~中堅層が昇格を果たした。

非正規向け職業訓練を試行――厚労省・来年度のリスキリング推進施策

厚生労働省は来年度、リスキリングによる能力向上支援策として、在職中の非正規労働者が学びやすい職業訓練制度を試行する。
訓練を受講する労働者のための長期休暇制度を整備する企業向けの賃金助成制度も拡充する方針だ。
来年度予算概算要求で関連経費を計上した。
試行事業では、正社員に比べて訓練機会が乏しい非正規労働者720人を対象に、場所・時間を問わず受講できるオンライン形式と通学形式を組み合わせた訓練を実施する。
休暇制度整備への対応では、人材開発支援助成金を拡充し、中小企業に対する1日・1人当たりの賃金助成額を2000円程度引き上げる。

最低賃金 伸び率1位受け支援開始――佐賀県

佐賀県は、今年10月の最低賃金改定における引上げ率が全国で最も大きい5・51%に達することを受け、中小企業の賃金アップに向けた事業に乗り出す。
事業場内最賃を3%以上引き上げた事業者を支援する補助金を新設し、設備投資などに要した経費の3分の2を補助する。
労働者1人でも賃上げを実施した場合、最大120万円を交付する。
中小企業からの相談を受けるため、県内の士業団体などで構成した支援チームも設置する。
補助金の申請サポートや、専門家派遣による支援を予定している。

一般事業者・男性大型運転者 平均賃金は36.1万円に――全ト協 トラック運送事業の賃金

全日本トラック協会の「2022年度版トラック運送事業の賃金・労働時間等の実態」調査によると、一般貨物自動車運送事業者における男性運転者の職種別平均賃金(1カ月平均)は、けん引が40.3万円、大型が36.1万円、中型が30.6万円だった。
前年結果と比べると、けん引と大型が2%弱伸びた一方、中型は1.5%減少した。
運転者全体の平均賃金は34.4万円となり、そのうち運行手当や時間外手当を含む変動給の総額は15.9万円、給与全体の46.1%を占めている。
時間外手当は7万400円に上り、前年結果から6.2%(4100円)増加した。

月給者・所定内賃金 介護職員23.5万円に――介護労働安定センター 令和4年度介護労働実態調査

介護労働安定センターの「令和4年度 介護労働実態調査」によると、介護従事者の職種別所定内賃金は、月給制で働く介護職員が23.5万円、訪問介護員が23.7万円、看護職員が28.8万円だった。
調査対象の8職種すべてで改善し、全職種平均では前年結果から4.5%伸びている。
時間給者は、介護職員1074円、訪問介護員1407円、看護職員1517円だった。
処遇改善加算に関する対応(複数回答)では、「基本給の引上げ」を選択した事業者の割合が37.6%となっている。

手当を労使慣行と認めず――東京地裁

日刊紙を発行する新聞社で働く労働者が、60年以上続いた手当の一方的な廃止を不服として訴えた裁判で、東京地方裁判所(猪股直子裁判官)は手当支給を労使慣行と認めず、廃止に労働者の合意は必要ないと判断した。
手当は就業規則に規定がなく、長期間反復継続して支給され、労使双方から特段の異論は出ていなかったものの、会社は支給手続きにおいて、一貫して給与とは別に取り扱うなど、労使双方の規範意識によって支えられていたとまではいえないと指摘。
法的効力を有するとは認められないとした。

両立支援助成金拡充 “応援手当”支給を後押し――厚労省

厚生労働省は令和6年度、両立支援等助成金を拡充し、育児休業取得者の業務を代替する労働者に“応援手当”を支給する中小事業主向けの新コースを設定する考えだ。
業務引継ぎの体制を整備して手当を支給した場合に、育休取得者1人につき最大125万円を助成。
代替要員の新規雇用に対しても最大67・5万円を支給する。
短時間勤務など、育児期の柔軟な働き方に関する制度を複数導入した企業を支援するコースも創設する。

賃金引上げ後の申請可能に――厚労省

厚生労働省は8月31日、今年10月の地域別最低賃金の改定を前に、企業における賃金引上げを支援する業務改善助成金を拡充した。
一定規模の事業者については賃金引上げ計画の提出を不要とし、引上げ後の事後申請を認める。
事業場内最低賃金(事業場内で最も低い時間給)と最賃の差額が30円以内の事業場に限定していた対象事業場の範囲も拡大し、差額が50円以内の事業場を対象とした。
さらに、引上げ前の事業場内最賃額に応じて設定されている助成率の適用区分を見直し、最大の助成率10分の9が適用される範囲を従来の870円未満から900円未満に引き上げた。

傷病手当金 支給件数が2倍に増える――協会けんぽ・4年度給付状況

令和4年度の全国健康保険協会(協会けんぽ)の傷病手当金の支給件数は31・1万件で、前年度の15・4万件から倍増していることが分かった。
傷病別では半数近くを新型コロナウイルスが占め、精神疾患も前年度比で1割以上増えている。
新型コロナについては、4年8月9日~5年5月7日までの間、医療機関のひっ迫を回避するため、医師の意見書がなくても保険者の判断で支給するよう厚生労働省が通知していた。
支給総額は2割以上増加し、329億円となっている。

役職手当設け“役割”でメリハリ――サーラグループ

エネルギー事業などを展開するサーラグループ(愛知県豊橋市、神野吾郎グループ代表・CEO)は昨年から今年にかけて、基幹会社を中心に統一されていた人事制度をグループ約40社に拡大し、一本化を図った。
管理監督者層の賃金は、旧・基本給の一部を切り出し、新たにライン長のみに支給する「役職手当」を設け、待遇にメリハリを付けている。
今春からは65歳定年制へ移行し、報酬体系は定年まで一貫した制度とした。
基本給を構成する「付加給」などを調整して、60歳以降の水準を60歳時点の8割に引き上げている。
グループ共通の「期待人材像」も策定し、等級定義=6観点の期待役割を明らかにしたうえで、全社員を6段階の資格等級に格付けた。

職階別の所定内給与 事務課長61.1万円に――職種別民間給与実態調査

職階別の賃金実態を把握している人事院の「職種別民間給与実態調査」によると、事務課長の平均所定内給与額は61.1万円、技術課長は59.4万円だった。
非役職者である係員クラスと比べて、それぞれ2.02倍、1.93倍の水準となっている。
前年比では事務系の主任以下で1.9~2.5%増と堅調に伸びている。医療関連職種は、医師が100.4万円、薬剤師が33.6万円、看護師が33.4万円だった。
今春の係員に対するベースアップの実施率は47.3%に上っている。

「ジョブ型」移行状況 4割強が慎重に検討中――能率協会

日本能率協会(中村正己会長)が4000社の人事部門責任者に実施した調査によると、人事・評価・処遇制度を抜本的に見直し済み、あるいは1~2年以内に予定している割合が7割に上った。
「ジョブ型」を一部でも採り入れている企業は2割強に留まり、4割強が「慎重に検討中」としている。
未導入企業に理由を尋ねた設問では、人材配置や賃金決定の難しさを指摘する声がめだち、約半数が「やや柔軟に運用できる役割等級制度が妥当と考えた」と答えている。

外国人労働者 雇用適正化へネットワーク――群馬県

群馬県は、群馬労働局や群馬県警本部、駐日ベトナム大使館などで構成する「ぐんま外国人雇用適正化推進プラットフォーム」を立ち上げた。
情報交換会や、企業・監理団体向けの勉強会を通じて、技能実習生を含む外国人労働者の雇用管理面の問題解決をめざす。
駐日ベトナム大使館が外国人雇用に関するネットワークに参画するのは、全国で初めて。
共有した課題は大使館を通じて本国へ伝達し、送出国側のルール整備を促していく。

平均妥結額1.1万円に――厚労省 5年民間主要企業賃上げ

厚生労働省の令和5年春季賃上げ集計によると、民間主要企業における定期昇給込みの平均妥結額は1万1245円だった。
労使交渉前の平均賃金31.3万円に対する賃上げ率は3.60%となっている。
妥結額が1万円を超えるのは平成5年以来30年ぶりで、産業別でも20業種中13業種で1万円台だった。
最も高い造船の1万8144円と、最も低い電力・ガスの2410円の間では1.5万円超の開きがあった。
化学は1万3929円、自動車は1万2225円などとなっている。

令和4年度監督指導 4割超で違法長時間労働――厚労省

厚生労働省は、長時間労働が疑われる事業場を対象に令和4年度に実施した監督指導結果をまとめた。
4割を超える事業場で上限規制違反など違法な時間外労働が発覚している。
違反率は3割強だった前年度を上回った。
厚労省は「コロナ禍で雇用を制限していたが、経済活動が戻ってきたため」とみている。
労働時間の把握や健康診断を実施していないなど、健康障害防止措置に違反している事業場も3割近くに上った。

休職制度 「療養専念義務」規定を――産保法学会

一般社団法人日本産業保健法学会(代表理事・鎌田耕一東洋大学名誉教授)は産業保健の現場から寄せられた法的課題を解説したQ&Aを公表した。
精神疾患で休職中の従業員が、趣味の活動をしていた場合の対応など6つの質問に回答している。
上記の問いに対しては、ただちに懲戒処分を行うのは適当でなく、まずは就業規則に療養専念義務を規定し、義務から逸脱する行動を取る場合には、事前に医師・会社の許可を得るようにするのが重要とした。
休職期間中に趣味の活動をSNSで発信する行為は、一般的な服務規律である「風紀紊(びん)乱」に当たる可能性があるとしている。

地域最賃 引上げ額過去最大の41円

令和5年度の地域別最低賃金引上げ額の全国加重平均は過去最大の41円

中央最低賃金審議会(藤村博之会長)は、最低賃金引上げの「目安」について答申した。
目安どおりに引き上げられた場合の上昇率は4・3%、全国加重平均額は1002円となり、初めて1000円を突破する。
引上げ額は過去最大だった昨年の31円(3・3%)を大幅に上回った。
昨年度の最低賃金引上げ以降の消費者物価指数の伸び率が4・3%と、最賃の伸び率を大きく上回ったことなどを重視している。

リスキリング推進 必要な人材像の把握促す――広島県

広島県内の公労使で構成するリスキリング推進検討協議会(会長・湯﨑英彦広島県知事)は、報告書をまとめ、DXの実践に当たり、企業が必要な人材像を把握することが重要と提言した。
企業の取組みを促すため、部門ごとに必要なスキルをまとめた整理表を示した。
今後、自社の状況を簡単に確認できる診断ツールを提供する。
診断結果を基に、伴走支援などの支援策につなげていく。

500ポストを全5等級で格付け――群馬銀行・来年6月に新制度

㈱群馬銀行(群馬県前橋市、深井彰彦頭取)は、来年6月に人事制度を改定し、管理職層に職務基準の仕組みを採用する。
現在500人いる管理監督者のポジションを職務評価し、全5等級に格付ける。
年功的要素を残していた職能資格を全廃して範囲職務給一本の体系に改め、5段階評価に応じて率による昇降給を行う。
200~300種類の職務記述書を設け、ポジションごとに必要な業務経験やスキルを全社的に明示する。
人事権は保持しつつ、個人のキャリア形成に沿って“適所適材”を図っていく。

介護職員・基本給 2700円増で18.7万円に――厚労省 介護従事者処遇等調査

厚生労働省の令和4年度「介護従事者処遇状況等調査」によると、ベースアップ等支援加算を取得している事業所で働く介護職員(月給制・常勤)の平均基本給は18.7万円、手当および一時金を加えた平均給与額は31.8万円だった。
それぞれ1年前と比べて2700円、1万7490円伸びている。
勤続年数別の平均給与額は、1年28.2万円に対し、5年は30.8万円、10年は32.6万円だった。
昨年1年間に給与水準の引上げを行った事業所のうち、ベアに当たる「給与表改定」と回答した割合は22.2%に留まる。

未払賃金 2万社で79億円支払う――厚労省

是正指導によって企業から支払われた未払い賃金は計79億円
厚生労働省は、令和4年における賃金不払い事案に対する監督指導結果を明らかにした。
定期賃金や割増賃金などの不払いが疑われる事業場を調査し、121億円の不払いを確認した。
労働基準監督署の是正指導により賃金を支払ったのは延べ1万9708事業場で、支払い総額は79億円に上る。
調査した事業場は商業が最も多い。
内容が重大・悪質だった163件については司法処分を行っている。
厚労省は、令和3年12月に閣議了解された価格転嫁対策の一環で、監督指導を強化してきた。

定年後再雇用 「6割未満違法」の判決破棄――最高裁

定年後再雇用者の賃金が旧労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)に違反するかが争点となった裁判で、最高裁判所第一小法廷(山口厚裁判長)は基本給のうち定年前の6割を下回る部分と、賞与の一部の不合理性を認めた二審判決を破棄し、審理を名古屋高等裁判所に差し戻した。
基本給と賞与の支払い目的・性質や労使交渉の経緯の検討が不十分としている。
判決について元厚生労働省労働基準局長の中野雅之弁護士は「最高裁は『6割』が基準になるのを避けたかったのではないか。
賃金は基本的には労使交渉で決めるべき部分が大きいということだろう」と分析した。

評価の5割が「バリュー評価」――島田電機製作所

㈱島田電機製作所(東京都八王子市、島田正孝代表取締役社長)は、基本給の中心となる職能給について、主に行動評価とバリュー評価の結果から導く「総合点」で昇降給を行っている。
等級ごとに計60号俸を設け、1ピッチ当たりの金額には400~1300円と差を付ける。
評価に関しては、総得点の5割を全社員共通のバリュー評価や企業理念などに関する筆記試験の結果が占める。
「ボトムアップ型の組織」を志向するなか、同僚の働きやすさへ貢献する社員を高く評価する。

管理職層を職務基準に――ネットワンシステムズ

IT大手のネットワンシステムズ㈱(東京都千代田区、竹下隆史代表取締役 社長執行役員)は、管理職層に対してポジションを基準に処遇する新人事制度を導入した。
専門職を含めて組織に必要なポジションを定義し、役割の大きさで7段階に区分したもので、それぞれに見合う実力を持つ人材を任用していく。
併せて評価制度の枠組みも一新し、等級やポジションごとに定める「行動定義」に基づく行動評価を採り入れた。
月例給を平均8%引き上げ、シニア層に対する基本給の逓減措置も廃止している。

個人事業者の業務上災害 注文者に報告義務付け――厚労省

厚生労働省は、個人事業者や中小企業経営者などの業務上災害防止に向けた対策のあり方を議論している有識者検討会で、個人事業者の直近上位の注文者に対し、個人事業者が被災した業務上災害の報告を義務付ける案を示した。
報告制度を活用して災害実態を把握し、必要な規制の立案に活かす。
報告対象として、事業場またはその附属建設物内で発生した死亡災害または休業1カ月以上が見込まれる負傷災害を想定。
中小企業経営者が被災した場合は、所属企業に報告を義務付ける。
いずれも罰則は設けない。

パワハラ防止法関連 2千社超を是正指導――厚労省

厚生労働省は、事業主にパワーハラスメント防止措置の実施を義務付けた労働施策総合推進法(いわゆるパワハラ防止法)の施行状況を明らかにした。
義務化の対象を中小企業まで広げた令和4年度において、労働者や事業主から都道府県労働局に寄せられた同法関連の相談は5万840件で、前年度から倍増した。
雇用管理の実態把握を行った事業所のうち、2258事業所で同法違反がみつかり、是正指導を実施した。相談窓口の設置などパワハラ防止措置に関する指導が1655件に上る。

役割・職責は職務関連手当で――えびの電子工業

大手メーカーの協力企業として電子部品を製造するえびの電子工業㈱(宮崎県えびの市、津曲慎哉代表取締役社長)では、賃金は査定昇給を行う基本給をベースにしつつ、複数の職務関連手当を支給している。
特定の専門作業担当者向けの職種手当や担当業務における技能レベルに応じた技能手当を設けることで、役割や職責の違いを処遇に反映している。
高い職責・役割を担うには、業務管理能力の発揮度をみる「職制成長チェック」の評価を上げる必要がある。
一方で基本給に関しては、職務遂行能力などを全社員同一項目で評価し、評価ランクに応じて昇給額が決まる。

転居の可否を毎年選択制へ――あいおいニッセイ同和損保

あいおいニッセイ同和損害保険㈱(東京都渋谷区、新納啓介代表取締役社長)は、10月に人事制度を改定する。勤務地の範囲で3つに分けていた社員区分を一本化し、育児などのライフイベントがなければ採用時の区分から転換できなかった点を見直す。
今後は転居転勤の可否については、個人が毎年選択できる仕組みとし、手当の有無で処遇に差を付ける。
併せて非管理職層の資格区分を計6階層から4階層まで減らし、最低滞留年数を全廃して20歳代での管理職登用を可能にする。
新事業創出に必要な人材の確保をめざして、個別に職務を限定する専門職区分も創設する。

精神障害 請求・支給決定が過去最多――厚労省・過労死等労災補償状況

厚生労働省が取りまとめた令和4年度の「過労死等の労災補償状況」で、精神障害に関する労災請求件数と支給決定件数が前年度に続き過去最多を更新したことが分かった。
請求件数は前年度よりも300件以上多い2683件となり、支給決定件数は80件以上増えて710件に達した。
業種別では、請求・支給決定ともに医療・福祉、製造業、卸売業・小売業の順に多かった。
心理的な負荷を与えた出来事では、「上司等から、身体的攻撃、精神的攻撃等のパワーハラスメントを受けた」が最も多い。

退職金全額不支給は有効――最高裁

宮城県の公立学校で教員を務めていた労働者が、懲戒免職処分による退職金の全額不支給を不服として訴えた裁判で、最高裁判所第三小法廷(長嶺安政裁判長)は不支給処分を有効と判断した。
審査に当たっては、処分が裁量権の行使としてされたことを前提としたうえで、社会観念上著しく妥当性を欠き裁量権の逸脱・濫用といえる場合に違法とすべきと強調している。
労働者は公立校の教員の立場にありながら、飲酒運転という犯罪行為に及んでおり、約30年間誠実に勤務し、反省の情を示している点を踏まえても、裁量権の逸脱・濫用はないとした。

正社員男性 ピーク時は43.1万円――厚労省 雇用形態別賃金

令和4年賃金構造基本統計調査の雇用形態別集計によると、男性フルタイム労働者の所定内給与のピークは正社員が55~59歳の43.1万円、非正社員は再雇用世代である60~64歳の28.4万円だった。
ピーク時の水準を比較すると、正社員は非正社員の1.52倍となっている。
短時間労働者・非正社員の女性の1時間当たり賃金は、経験年数0年の1194円に対し、1~2年1228円、3~4年は1247円で、0年と3~4年は53円しか開いていない。

男性育休 長期の取得促進へ奨励金――福井県

福井県は、男性が長期の育児休業を取得しやすい環境を整備する企業を後押しするため、新たな奨励金制度を設ける。
育休中の男性従業員の代替人員として、派遣社員を活用したり新しく従業員を雇用したときに、15日当たり13万円を支給する。
部下を持つ上司が育休を取得した場合は支給額を16万円に引き上げ、上限を1社当たり384万円とした。
同僚への応援手当や育休取得者への手当創設を促す奨励金も設け、それぞれ最大支給額は120万円。
90日以上の育休を取得した場合にも50万円を交付する。すべての支援メニューを合わせ、1社当たり最大674万円を支給する。

管理職へ11段階ポスト給――伊予銀行

 ㈱伊予銀行(愛媛県松山市、三好賢治頭取)は昨年10月に人事制度を改定し、役割グレード別に昇降給を行う「役割給」をベースとしたうえで、管理職層に限ってはポジション別定額の「ポスト給」を新設した。
支店長や部課長のポストを計11段階のポストグレード(PG)に格付け、PG1とPG11の間で2倍強の差を付けている。
支店長については店格に応じて、PG4~11の8段階に格付けた。役割給とポスト給のおおよその比率は、本部のアドバイザーで1対1、旗艦店の支店長で1対2となっている。

非正規向け公的訓練 柔軟な日程・手法を検討――厚労省

非正規労働者のキャリアアップをめざし、柔軟な日程・手法による職業訓練に――厚生労働省は「公的職業訓練のあり方に関する研究会」(座長・今野浩一郎学習院大学名誉教授)を設置し、在職者に対する公的職業訓練の強化に向けた検討を進めている。
6月27日の第2回会合で、「働きながらでも学びやすい職業訓練」の制度設計に向けた論点を提示。
勤務曜日・時間が多様なシフト制労働者などに配慮し、通所日の設定の柔軟化のほか、オンライン訓練、オンデマンド型eラーニングの活用を提案した。

職長級年収額 とびで637万円に――CCUS・技能者の職種別年収 国交省

国土交通省がCCUS(建設キャリアアップシステム)の能力評価に応じて試算した技能者の年収額は、職長級(レベル3)の平均(全職種平均)で628万円だった。
職種別では、電気工事588万円、土工590万円、左官618万円、鉄筋636万円、とび637万円などとなっている。
公共工事労務費調査で収集した実在者8.5万人のサンプルを基に、試算したもの。
全職種平均のレベル別年収は、見習い相当の初級技能者501万円、中堅技術者569万円、高度マネジメントレベル877万円で、初級技能者と職長級の水準差は1.3倍だった。

学習志向尊重し配属を――経産省

経済産業省は、中小企業・小規模事業者の人材戦略を後押しするため、「人材活用ガイドライン」を策定した。
経営課題を解決できる人材の採用・育成に向けて、人事評価制度の策定やキャリアパスの見える化を提案している。
自ら希望するキャリアを構築できるように、本人の学びたい内容を尊重・優先して配属先・転属先を決めるなどの配慮も必要とした。
ガイドラインと同時に、各地方経済産業局を通じて収集した中小企業50社の取組みをまとめた優良事例集を作成している。

労働移動円滑化 モデル就業規則改正へ――政府・骨太方針を閣議決定

政府は6月16日、政策の指針となる「経済財政運営と改革の基本方針」(骨太の方針)を閣議決定した。
「新しい資本主義の加速」を柱に、成長分野への労働移動の円滑化やリスキリングによる能力向上支援など労働市場改革を進め、構造的に賃金が上昇する仕組みを構築するとした。
自己都合退職時の退職金減額といった労働慣行を改めて労働移動を促進するため、モデル就業規則の改正や退職所得課税制度の見直しを進める。
能力向上支援では、教育訓練給付など個人に直接給付する支援策を強化する。多様な働き方の推進にも注力し、選択的週休3日制の普及などに取り組むとした。

短時間女性 東京の時間給1530円――厚労省・令和4年 短時間労働者の賃金

厚生労働省の令和4年賃金構造基本統計調査によると、短時間労働者・女性の1時間当たりの所定内給与額は1270円だった。
都道府県別では、東京1530円が飛び抜けて高く、大阪や愛知が1300円台で続き、東北や九州の各県は1100円前後に集中している。
職種別に経験0年の水準をみていくと、看護師1649円、介護職員1127円、電話応接事務員1364円、販売店員1042円、飲食物調理従事者1040円、食料品等製造従事者1007円となっている。

36協定 手続き怠り特別条項無効――彦根労基署

滋賀・彦根労働基準監督署(古川八三署長)は、労働者4人に36協定の限度時間を超えて月100時間以上の時間外労働をさせたとして、電子部品の製造請負業を営む㈱サンファミリー(滋賀県長浜市)と同社営業所長を労働基準法第32条(労働時間)と第36条(時間外、休日労働)違反の疑いで大津地検に書類送検した。
同社は特別条項付の36協定を締結していたが、協定上の「限度時間を超えて労働させる場合における手続」として定めた「労働者代表者に対する事前通知」を怠っていた。
月99時間までの時間外労働と休日労働を可能とする特別条項は無効の状態だった。

特定技能2号 2分野から11分野へ拡大――政府

政府は、建設と造船・舶用工業の2分野のみに認めている在留資格「特定技能2号」について、9分野を追加して計11分野に拡大する運用方針を閣議決定した。
追加されるのは、特定技能1号の対象分野のうち、自動車整備、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業、飲食料品製造業、外食業、宿泊など。
最長5年までしか在留できない1号に対し、より高い技能が求められる2号は、在留期間に上限がなく長期就労が可能で、人手不足を背景に、経団連などが対象の拡大を要望していた。

男性育休促進へ給付率引上げ――政府・こども未来戦略方針素案

政府は、少子化対策の方向性を示した「こども未来戦略方針」の素案を明らかにした。
今後3年間の集中的な取組みとして、男性育休の取得促進や、働き方と子育ての両立に向けた多様な選択肢の確保などを挙げた。
両親ともに育休を取得した場合に、最大4週間手取り収入が減少しないよう、2025年度から育児休業給付の給付率を引き上げる。
多様な働き方を支えるセーフティーネットの構築に向け、28年度をめどに雇用保険の適用対象者を拡大。週所定労働時間が20時間未満の労働者も対象に加える。

働き方改革推進 登録コンサルが伴走支援――高知県

高知県は企業の働き方改革を推進するため、登録コンサルタントの定期訪問による伴走支援を開始する。
男性育休推進や人事制度見直しなどの取組みが対象。
登録コンサルについては、県内在住の社会保険労務士など国家資格保有者に研修を行い、養成する。
同県では中小企業の相談に対応できる社労士などが不足しているという。
研修や伴走支援を通じてノウハウを身に着けてもらい、継続的な支援を行える専門家を増やしていく。

男性所定内 東京・中企業39.3万円に――厚労省 令和4年都道府県別賃金

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」の都道府県別集計によると、中企業で働く男性・一般労働者の所定内給与は東京39.3万円、大阪34.8万円、愛知32.8万円だった。
前年結果と比べると順に2.8%増、2.9%減、0.1%減となり、東京と大阪の差は4.5万円に広がっている。
職種別では、システムエンジニアを含むソフトウェア作成者は、男性が東京38.4万円、大阪30.3万円、愛知27.9万円、同・女性は30.8万円、26.3万円、24.6万円で、同一地域の男女間で1~2割の差が付いている。

精神障害の労災認定 迅速審査へ評価表見直し――厚労省

厚生労働省は、精神障害の労災認定基準の見直しに向けた専門検討会の報告書案を明らかにした。
請求件数が大幅に増加するなか、審査を迅速・適切に行えるようにするため、業務上の心理的負荷に関する評価項目を追加・整理した新たな評価表を盛り込んでいる。
評価項目の1つに、カスタマーハラスメントを追加した。
パワーハラスメントに関しては、性的指向・性自認に関する精神的攻撃も対象になることを明確化した。

職長級の年収900万円に――積水ハウス

積水ハウス㈱(大阪府大阪市、仲井嘉浩代表取締役 社長執行役員兼CEO)の住宅施工部門では、来春から技能工の人事処遇制度を改定し、職長級の年収を最大900万円へ大幅に引き上げる。
新たに施工スキルの熟練度を3段階で評価する仕組みを採り入れ、昇格と連動させて多能工化を進めていく。
従来は熟練者に独立を認め、ともに施工を担うなどの体制をとってきたが、直接雇用化を進めて“内製化”を図る。
担い手となる高卒人材の増員をめざして、来年度の新卒採用計画は2.4倍、翌25年度は3.4倍に拡大する。

常用者男性 専門・技術職31.0万円に――厚労省・令和4年度下半期 中途採用時賃金

厚生労働省が集計した令和4年度下半期の「中途採用者採用時賃金情報」によると、常用者・男性の職業別平均賃金は、専門的・技術的職業31.0万円、生産工程・労務の職業22.7万円、輸送・機械運転の職業25.1万円だった。
産業別では、26.2万円の建設業や26.3万円の製造業で前年同期比0.8~1.2%増と伸びた一方、37.5万円の情報通信業は1.8%減少している。
宿泊業,飲食サービス業では男女ともに2%台半ばの伸びを示し、コロナ禍前(元年下半期)の水準を上回った。

中企業課長 所定内賃金46.3万円に――厚労省 令和4年賃構 役職者・標準者賃金

課長級の所定内給与は、大企業が59.2万円、中企業が46.3万円、小企業が39.3万円に
厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、課長級の規模間格差は大企業の水準に比べて中企業は22%、小企業は34%低くなっている。
新卒で入社した企業に継続勤務する労働者を指す「標準者」の賃金は、大学卒・男性で20~24歳が23.5万円、30~34歳が32.9万円、ピークの50~54歳は56.0万円などとなっている。

「3歳まで在宅勤務」盛り込む――厚労省・有識者研究会

厚生労働省は「今後の仕事と育児・介護の両立支援に関する研究会」(座長・武石恵美子法政大学教授)に、両立支援策の見直しの方向性に関する論点案を提示した。
育児との両立支援に向けて、3歳までの子を育てる労働者がテレワークで働けるようにする仕組みの導入を企業の努力義務とすることを盛り込んだ。
短時間勤務が困難な業務への代替措置としても、テレワークを位置付ける。
子の看護休暇については、対象となる子を現行の「小学校就学前」から「小学校3年生修了時まで」に広げる。

育休中の能力開発 受講費負担した企業へ助成――東京都

東京都は、育児休業中の従業員が自ら希望して受講したスキルアップにつながる講座に対し、受講費用を負担する企業への助成金制度を創設した。
中小企業の場合は負担した費用の3分の2、年間で計100万円を上限に助成する。
福利厚生の一環として自己啓発を支援する制度の導入を促すのが目的で、研修費用の全額を負担するのか一部なのかは問わない。
育休を4週以上連続して取得することを条件とし、長期間取得しやすい環境を整備するとともに、復帰への不安感から離職するケースを防ぐのが狙い。

役職・業務分野で役割給決定――東和銀行

㈱東和銀行(群馬県前橋市、江原洋頭取)は今年4月に人事制度を改定し、給与体系について年齢給などを廃止して、「基準給」と「役割給」の併存型とした。
役割給は、役職・職位の高さだけでなく、営業か内勤かの“業務分野の違い”なども勘案し、職務や職責に応じた役割等級(全34階層)に基づいて支給するもの。
管理職層では等級ごとに11階層の給与ランクを設け、5段階評価により±2ランクの昇降給を行う。
実績評価に加えて、新たに職位別の行動評価を取り入れ、役割に応じた処遇を実現した。

失業給付受取までを短縮化――政府・新しい資本主義実現会議

政府は新しい資本主義実現会議を開き、「三位一体の労働市場改革の指針」を取りまとめた。
構造的な賃上げを通じ、日本企業と外国企業間に存在する同一職務の賃金格差を縮小することを目標に設定。
実現に向け、リスキリングによる能力向上支援、成長分野への労働移動の円滑化、職務給の導入を一体的に進めるとした。
労働移動の促進施策として、自己都合離職者が失業給付を受け取るまでの期間を見直す。
リスキリング実施などを条件に、会社都合の離職時と同様に7日程度で受け取れるようにする。

テレワーク規則 違反による懲戒降格有効――東京地裁

携帯電話の大手販売代理店で働く労働者が、テレワーク規則違反による懲戒降格は違法と訴えた裁判で、東京地方裁判所(木田佳央人裁判官)は管理職から一般職への降格を有効と認めた。
同社はコロナ禍に伴い、一部従業員の在宅勤務を決めた。
その際のルールとして、始業・終業時のメール連絡やウェブでの勤怠打刻などを定めたが、労働者は運用開始直後から1年超にわたり連絡・打刻をしなかった。
同地裁は部下にルールを守らせる立場にありながら長期間怠っており、違反の態様は悪質と指摘。
調整給による不利益緩和があった点などを踏まえると、処分は適法と判断した。

大手の大卒モデル賃金 55歳61万円がピーク――中労委 令和4年賃金事情調査

大手企業の賃金実態を調べている中央労働委員会の「賃金事情調査」によると、大学卒の事務・技術(総合職)のモデル賃金は、22歳が22.5万円、35歳が39.2万円、45歳が54.1万円、ピークの55歳が61.2万円だった。
30歳以下と50歳以上は前年比プラスとなったが、35~45歳の働き盛りで0.6~0.7%減少している。
高校卒・生産は22歳が2.0%増の20.0万円、35歳が2.2%増の31.2万円、ピークの55歳は2.6%増の40.9万円だった。
22歳の水準に対するピーク時の賃金は、大学卒・総合職が2.7倍、高校卒・生産が2.0倍となっている。

企業・大学のマッチング強化を――産学協議会報告書

経団連と国公私立大学で構成する「採用と大学教育の未来に関する産学協議会」は、産学協同による人材育成の活性化に向けた報告書を公表した。
リスキリングを含め、リカレント教育を推進していくうえでの課題を整理し、企業や大学、政府それぞれにおいて取り組むべき事項を提言している。
課題には、個別のプログラムを求める企業と開発を担う大学とのマッチング機能の充実や、受講後の処遇への反映などを挙げた。
政府に対しては、マッチングのための公的なコーディネート機能の強化を求めた。

育休復帰後 部下0人は不利益取扱い――東京高裁

アメリカン・エキスプレスで部長職として働く女性労働者が、育児休業復帰後に部下を0人にされたことなどを不服とした裁判で、東京高等裁判所(永谷典雄裁判長)は、同社の対応を均等法と育介法が禁じる不利益取扱いのほか、人事権濫用、公序良俗違反に当たると判断した。
労働者は女性管理職のロールモデルとされ、37人の部下を擁していたが、復職後は部下なしの部長相当職となり、電話営業を命じられた。
同高裁は妊娠前と比べると、業務内容の質が著しく低下していると指摘。
キャリア形成に対する期待感を害したとして、慰謝料など計220万円の支払いを命令した。

管理職層を単一等級に――スカパーJSAT

メディア事業および宇宙事業を展開するスカパーJSAT㈱(米倉英一代表取締役執行役員社長)は、管理職層を単一等級に大括り化したうえで、ライン長の職務や開発・営業などに関する専門業務をふさわしい人材に1年単位で任せる新人事制度を導入した。
基本給は能力基準とする一方、担当する職務の価値は「役職手当」で反映するもので、ライン長は役職別定額とし“ジョブアサイン(特命)”と呼ぶ専門業務に関しては経営への貢献度や専門性などに基づいて個別に決定していく。
非管理職層から管理職への昇格基準を厳格化し、外部講師による「アセスメント」をパスした人材のみを登用する。

「年収の壁」問題解消を――日商・東商

日本商工会議所・東京商工会議所(小林健会頭)は、最低賃金に関する政府への要望を取りまとめ、初の要望事項として、「年収の壁」問題の解消を訴えた。
最賃の大幅な引上げの影響で、労働時間の調整が頻発しているとした。
廃止も含めた第3号被保険者制度の抜本的見直し、所得税制における控除額引上げなどが必要としている。
同時に、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会との連名でも要望を出し、中小企業が賃上げ原資を確保できる環境の整備に向け、取引適正化への取組み強化を求めた。

失業時の基本手当 安易な離職防止が課題――雇保制度研究会・中間整理案

厚生労働省は、雇用保険制度のあり方を検討してきた「雇用保険制度研究会」(座長・山川隆一明治大学教授)の議論の中間整理案を明らかにした。
約1年間の議論で出た委員の意見を列挙し、今後の制度運営の選択肢として提示している。
新しい資本主義実現会議で議論されている、自己都合離職者に対する基本手当の給付制限期間の見直しについては、安易な離職や受給目的の離職の防止が課題と指摘。
「失業中の生活の安定を含めて考えると、給付制限は1カ月程度でも良い」との意見を盛り込んでいる。

SE所定内 男性は34.6万円に――厚労省 令和4年賃構調査(職種別)

厚生労働省「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、役職者を除いた男性の職種別所定内給与は、社内システムエンジニアを含む「ソフトウェア作成者」が34.6万円、「自動車組立従事者」が27.9万円、スーパーや小売店の「販売店員」が25.2万円だった。
女性では、看護師30.5万円、ソフトウェア作成者28.7万円、販売店員20.1万円などとなっている。
ソフトウェア作成者・男性の経験年数別の水準は、0年の24.6万円に対して15年以上では1.7倍の41.5万円となっている。

専門性高い人材 採用活動開始日前倒し――政府

政府は、令和8年春卒業予定の学生の就職・採用活動について、専門性が高い学生の採用選考開始日を前倒しする方針を決定した。
対象は、卒業年度の直前の春休みに2週間以上の日程で行われる「専門活用型インターンシップ」に参加し、専門性が高いと判断された学生。
要件を満たした学生に対しては、政府の現行ルールで大学4年の6月1日以降としていた選考開始日を3カ月前倒しし、大学3年の3月から行えるようにする。

民間企業夏季賞与 15年ぶり40万円超も――シンクタンク・予想

民間企業の1人当たり夏季賞与の平均額が、2年連続で増加する見込みであることが、シンクタンク3社の予想により分かった。
増加幅の予測は1・8~2・8%増と、やや差が出る形となっており、最も高い予想をした三菱UFJリサーチ&コンサルティングはリーマン・ショック直前の2008年以来15年ぶりに40万円を超えるとしている。
最も厳しい予想をしたみずほリサーチ&テクノロジーズは22年度下期の企業収益に弱含みがみられるとして、支給月数が横ばいになると分析した。

管理職継続なら年収維持――ダイワコーポレーション

倉庫業の㈱ダイワコーポレーション(東京都品川区、曽根和光代表取締役社長)は今年4月から定年再雇用者向けに全4階層の新人事制度を導入し、報酬制度を整備した。
引き続き役職に就く人材は定年前の年収を維持する。
非役職者の基本給も定年前の8割に引き上げ、対象外だった家族手当なども支給する。
評価制度も適用し、今後は年1回、昇降給および昇降格を行う。
平均年齢は36歳と若く、定年到達者が増えるのも2030年代に入ってからと見込むが、先手の対策によって人材の定着を図る。

技能実習廃止し新制度へ――政府有識者会議・中間報告たたき台

<外国人技能実習制度を廃止して新たな制度に転換へ>
政府が設置した技能実習制度および特定技能制度のあり方に関する有識者会議は、制度見直しに向けた中間報告書のたたき台を明らかにした。
目的と実態のかい離がみられる技能実習制度を廃止し、人材確保と人材育成を目的とする新たな制度の創設を検討すべきと提言している。
技能実習に設けている転籍制限は緩和する方向。
監理団体は要件を厳格化したうえで存続することとし、監理能力の向上を図っていく。

同一労働同一賃金 中小含め報告徴収へ――東京労働局

東京労働局(辻田博局長)は今年度、大手企業を中心に進めてきた同一労働同一賃金に関する指導を強化し、中小・零細企業を含めて規模を問わずに報告徴収を行う。
今年3月から開始している管内全18労働基準監督署による情報収集の結果を基に、著しい格差がみられた企業は労働局に呼び出し、1社ごとに改善指導をする。規模301人以上の企業に義務付けられた男女間の賃金の差異などの情報公表についても履行を求め、公表された内容によってはヒアリングの対象とする。

大卒・男性で23.0万円に――厚労省 令和4年賃構 新規学卒者の賃金

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、通勤手当を含む男性の新規学卒者の所定内賃金(同年3月卒)は、大卒23.0万円、高卒18.3万円だった。
大卒では1000人以上の大企業で23.5万円、100~999人の中企業で22.9万円、10~99人の小企業で21.9万円となっている。
前年に比べて、大企業は4200円増、中企業は3600円増と伸びたのに対し、小企業は800円減少した。
一方、女性に関しては小企業で高騰しており、大卒が9300円増の22.1万円、高卒が9500円増の17.6万円となり、大卒では男性を上回った。

最賃履行へ重点監督――厚労省

厚生労働省は、令和5年度地方労働行政運営方針を策定した。
最低賃金・賃金の引上げに向けた支援の推進を重点施策の1つに掲げた。
企業における賃金引上げの参考になるよう、労働基準監督署が企業の好事例などを紹介し、取組みを後押しする。
最賃改定時には、最賃の履行確保に問題がある業種などを対象とした重点監督を展開する。
賃金支払い方法として新たに認められた「デジタル払い」については、制度の周知を進めるとともに、法令違反の疑いがある企業に対して指導を実施していく。

時間外労働 労働者が自己申告せず――大阪中央労基署

大阪中央労働基準監督署(下岡恵輔署長)は、人事部員3人と営業部員1人が行った時間外労働のうち、会社に申告しなかった時間について、割増賃金を支払わなかったとして、鉄道業の南海電気鉄道㈱(大阪府大阪市)と同社人事部担当課長、元SC営業部担当課長の1社2人を労働基準法第37条(割増賃金)違反などの疑いで大阪地検に書類送検した。
同社が残業時間を一定の範囲に抑えるよう指示していたために、4人が超過分の申告を控えていたとみている。
実際の時間外労働は最長月108時間に上る。

育児支援施策も加算対象に――東京都・魅力づくり奨励金

東京都は、従業員のエンゲージメント向上や賃金引上げに取り組む中小企業を対象とする「魅力ある職場づくり推進奨励金」を今年度から拡充した。
新たに結婚や育児支援の取組みを支給対象に加えたもので、短時間正社員制度やセレモニー休暇、産休・育休取得者の同僚に対する手当などを創設した場合、取組みごとに10万円、最大で30万円を支給する。
エンゲージメント施策や賃上げと併せて取り組む場合、最大130万円の奨励金が受給できる。
非正規社員を正規雇用に転換した企業に対する助成金にも、同様に育児支援で加算する仕組みを追加し、最大98万円を助成する。

男性育休取得推進 実績ある企業が助言――埼玉県・新事業

埼玉県は今年度から、男性の育児休業取得推進のため、取得実績のある企業の人事担当者を、他の企業への助言を行う推進員に任命する。
「育休を取得させたいが、代替要員が確保できない」などの課題を抱えた企業が推進員を訪問し、ノウハウを学ぶ。
同県ではこれまで、社会保険労務士などの専門家派遣による支援を行ってきたが、さらに実際に同じ立場で課題を解決した担当者に話を聞ける機会を提供し、企業の取組みを促進する。

部長の月給モデルは59万円――アイティフォー

㈱アイティフォー(東京都千代田区、佐藤恒徳代表取締役社長)は今月、約20年ぶりに人事制度を改定した。
役割や職責に応じた賃金体系をめざし、役職手当を引き上げ、職種手当の支給対象を見直している。
新たに役職別のモデル年収を社内に示し、部長に関しては子供2人を持つケースで月例給が10.2%増え、約59万円になるとしている。
不透明だった昇格要件を明確化したのと併せて、若年層がキャリアパスを描きやすくして離職の防止をめざしている。

ハラスメント対策を徹底――厚労省・第4次均等基本方針案

厚生労働省は、男女労働者の均等な雇用機会・待遇の確保に向けた施策の方向性を示す「第4次男女雇用機会均等対策基本方針」案を労働政策審議会の分科会に提示した。
依然として男女格差は解消していないと指摘し、性差別禁止などの均等法の履行を確保しつつ、働き続け、能力を伸長・発揮できる環境を整備する必要があるとした。
その取組みの1つにハラスメント対策の推進を掲げた。
近年の法改正内容の周知を徹底するほか、就職活動中の学生に対するセクハラへの対応も周知啓発するとした。

フルタイム男性 ピーク時41.7万円に――厚労省 令和4年賃構調査(概況)

厚生労働省の「令和4年賃金構造基本統計調査(概況)」によると、一般労働者・男性の所定内賃金は34.2万円(前年比1.4%増)だった。
年齢階級20~39歳において2.2~2.7%増とめだって伸びている。
ピークを迎える55~59歳は41.7万円で0.7%増に留まった。
企業規模別では、常用労働者1000人以上の大企業が38.7万円、100~999人の中企業が33.1万円、10~99人の小企業が30.8万円で、伸び率は同じ順に2.8%増、1.0%増、1.5%増となっている。

通勤手当不支給 不合理性なしと判断――津地裁

大手電子部品メーカーの日東電工㈱で働く非正規労働者60人が、正社員との間の待遇格差を不服として訴えた裁判で、津地方裁判所(竹内浩史裁判長)は労働者らの請求を一部認め、同社に計3200万円の支払いを命じた。
扶養手当とリフレッシュ休暇、特別休暇、年次有給休暇の半日取得を不合理とする一方、通勤手当や賞与・賃金差などは不合理と認めなかった。
通勤手当については、代替手段として通勤バスを手配していた点を重視。
旧労働契約法第20条(不合理な条件の禁止)における「その他の事情」として考慮し、不合理性はないと判断している。

都内の大卒求人初任給 専門・技術職は21.7万円――東京労働局 学卒者の初任賃金

東京労働局の「学卒者の初任賃金」調査によると、今春に入社する大卒の職業別求人初任給(中位数)は専門・技術職が21.7万円、事務職が21.0万円、販売職が21.5万円だった。
それぞれ前年から1.4%増、0.7%増、2.4%増と伸びている。
職業計の金額階級別分布状況では、23万円以上が全体の25.4%を占め、20万円台と21万円台が19.1%で続いている。
高卒については、専門・技術職が18.6万円、販売職が18.3万円、技能職が18.2万円などとなっており、おおむね1.5%程度増加している。
20万円以上の求人が全体の3割を占めていた。

トラック運転者 残業代の明確区分性否定――最高裁

トラック運転者の残業代の適法性が争われた裁判で、最高裁判所第二小法廷(草野耕一裁判長)は1000万円超の請求を棄却した二審判決を破棄し、審理を福岡高等裁判所に差し戻した。
通常の労働時間の賃金と残業代の明確区分性を欠くと判断している。
会社は残業代として、基本給と残業時間から算出する「時間外手当」と、時間外手当額に応じて増減する「調整手当」を支給。
結果的に残業の多寡によって賃金総額が変わらない仕組みを採用していた。
最高裁は適法な残業代かどうかは、時間外手当と調整手当が全体として残業の対価といえるかを検討するべきと指摘。
制度改定の経緯を踏まえ、調整手当には旧賃金制度下で通常の労働時間の賃金だった歩合給が相当程度含まれていると評価している。

同一賃金徹底へ強化期間――厚生労働省

厚生労働省は、非正規労働者の賃金引上げを推進するため、3月15日~5月31日を「同一労働同一賃金の取組み強化期間」に設定した。
春季交渉での賃金引上げの流れを非正規労働者にも波及させるのが狙いだ。
経済団体に対し、賃上げに取り組む際に同一労働同一賃金の観点を踏まえた対応を求める協力要請文書を発出した。
パート・有期雇用労働法の履行確保に向けた取組みも強化する。
同法に基づく報告徴収を行う前に、労働基準監督署が非正規労働者の処遇を確認する取組みを全国で開始。
労基署の調査結果を踏まえ、4月から都道府県労働局が報告徴収を実施していく。

小規模・男性でピーク609万円――国税庁 民間給与実態統計調査(令和3年細部集計)

国税庁の民間給与実態(令和3年分)によると、従業員30~99人の小規模事業所に勤務する男性の年間平均給与のピークは55~59歳608.5万円だった。
小規模と比べて、中堅規模の500~999人は1.22倍の740.3万円、大規模の5000人では1.47倍の895.1万円などとなっている。
賃金カーブについても規模間格差は顕著にみられ、20~24歳を100とした場合のピーク時の指数は、小規模が216、中規模が240、大規模が365だった。
正社員における年収800万円超の割合は、男性の15.4%に対して女性は3.2%に留まっている。

一貫処遇で65歳定年制へ――住友化学

住友化学㈱(東京都中央区、岩田圭一代表取締役社長 社長執行役員)は、来年4月から段階的に65歳定年制へ移行するため、労使で最終的な協議中であることを明らかにした。
処遇面については、60歳到達後も既存の職務・役割に基づく人事制度を一貫して適用する意向だ。
組合員層の場合、現在は定年後に再雇用されると年収が定年前の40~50%程度に低減しているが、労組には60歳以降90~95%程度になる移行後のモデルを示し、協議を進めている。

育休中の社保料免除 14日以上取得で要件統一を――全国社労士会

全国社会保険労務士会連合会(大野実会長)は、会員社労士から働き方改革を阻害している法制度や法規制に対する意見を吸い上げ、改善点を6分野17項目に集約した政策提言を発表した。
育児・介護と仕事の両立支援分野では、育児休業中の社会保険料の免除要件を「14日以上取得した場合」に統一すべきとしたほか、介護休業にも免除規定を適用するよう求めている。
多様な働き方を推進する側面からは、割増賃金算定時に副業・兼業の労働時間を通算する仕組みの撤廃を提言した。

現金給与総額 2.0%増加し32.6万円――厚労省 毎月勤労統計(4年平均確報)

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和4年平均(確報)の月間現金給与総額は32.6万円だった。
前年結果から2.0%増加し、2年連続で前年を上回っている。
一方で物価変動を加味した実質賃金指数は1.0%落ち込んだ。
一般労働者の所定内給与は1.3%増の31.9万円、所定外給与は5.1%増の2.6万円などとなっている。
パートタイム労働者の時間給は1242円で、19円増加した。

ベア要求 中小6割超が9千円以上――JAM

中小規模の機械・金属産業の労組が8割を占めるJAМ(安河内賢弘会長)は、2月27日現在で賃金改善分の要求額が8729円になったと明らかにした。
300人未満の中小に限っても8759円と同水準にあり、うち6割超が要求方針の9000円以上を要求している。
賃金構造維持分を含む平均賃上げ額は、1万2762円だった。
JAMでは消費増税後の2015年にもベア9000円の方針を掲げているが、いずれの数字も当時の同時期を大幅に上回り、過去最高の水準となっている。

福利厚生策 3手当含めて合計20種以上――X Mile

人材ビジネス系ベンチャーの㈱X Mile(=クロスマイル、野呂寛之代表取締役)は、将来的な上場を見据えて人事制度の見直しを進めており、福利厚生施策としては20種類以上の制度を設けている。
手当面では、子供1人当たり月額1万円を支給するほか、オフィスから3キロメートル以内に住む人材に2万円の住宅手当を支払う。
来年度には賞与制度を採り入れる予定で、年俸の一部を切り出して原資に充てる。
そのために来年1年間でベースアップを図り、年収額の大幅な引上げをめざしている。
業績評価に関しては、昨年から達成度70%を標準評価とする仕組みを採用し、一人ひとりに高い目標の設定を求め、挑戦を促す。

リーダー登用で月給3割増も――古河電工

古河電気工業㈱(東京都千代田区、小林敬一代表取締役社長)は一昨年12月に組合員層の人事制度を改定し、交替勤務の製造現場などでチームを率いるリーダー向けの区分「監督職」を新たに設けた。
基本給を一本化するのに併せて水準を大きく引き上げるとともに、役職手当の支給額を最大3万円に高めた。
低位の資格等級から初任クラスのリーダーに任用された場合、月例給は2~3割アップする。
次代の候補者も不足するなか、処遇向上により若年層のチャレンジを促す。

就業継続支援策 仕事免除より早期復帰を――物流連

物流事業者81社と14の業界団体で組織する日本物流団体連合会(物流連、池田潤一郎会長)は、女性活躍推進に関する調査検討報告書をまとめた。
30歳前後で離職率が高まる傾向を踏まえ、就業継続の支援策としては育児休業や時短勤務などの仕事を免除する制度ではなく、働く時間・場所を柔軟にして早期復職、早期フルタイム化を図るべきと指摘した。
併せて海外研修に3年前倒しで参加させるなどの取組みを紹介し、育児などのライフイベント前に多くの経験を積む機会を付与すれば、成長意欲の高い人材を増やすことにもつながるとしている。

専門家無料派遣でサポート――神奈川産保センター

神奈川産業保健総合支援センター(渡辺哲所長)は、令和5年度から、運転者の健康起因事故防止をめざす企業に、保健師や管理栄養士などの専門家を無料で派遣するサービスを開始する。
労働者の定期健康診断での異常所見を放置することが、脳梗塞や心筋梗塞の発症につながり、重大な交通事故や労働災害の発生要因になるとみて、企業における健康教育を支援する。
労働者に再検査を促す方法や、コンビニ食が多くなりがちなドライバーの食事の選び方、健診の結果を取り扱う際の規定作成支援などを行う。
神奈川県警と連携し、広報活動も強めていく。

大卒・事務技術 非管理職35歳で32.6万円――関経連ほか 2022年度関西地域の標準者賃金

関経連など関西地域の9つの経済団体が共同で実施した「標準勤続者賃金」調査によると、大卒・事務技術のモデル賃金は、非管理職の22歳が21.5万円、35歳が32.6万円、45歳が38.4万円、55歳が41.2万円だった。
管理職では35歳40.4万円、45歳48.7万円、55歳56.1万円などとなっている。
前年結果からは多くの年齢ポイントで伸びており、増加率は1%前後のケースが多い。
ピークを迎えるのは非管理職・管理職ともに55歳だった。

トラック運転者 残業代支払いめぐり弁論――最高裁

トラック運転者の残業代支払いの適法性が争点となった裁判で、最高裁判所第二小法廷(草野耕一裁判長)は弁論を開いた。
会社は運送先などに応じて賃金総額を決め、月ごとの時間外労働に応じた「時間外手当」を支給していたが、時間外手当の額が増えると、同額分の「調整手当」が減る制度を採用。
結果的に、時間外労働が増えても賃金総額が変わらない仕組みとしていた。
原審の福岡高等裁判所は、時間外手当を適法な残業代と認定する一方、調整手当は残業代と認めなかった。
判決は3月10日に言い渡される。

中退共・財政検証 付加退職金に上限設定へ――労働政策審議会部会取りまとめ

労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会(山本眞弓部会長)は、一般の中小企業退職金共済制度(一般中退)の財政検証を行い、今後の退職金水準のあり方に関する意見を取りまとめた。
財政の安定化を図り、長期的に安定した制度として維持していくため、利益が生じた際に支給している付加退職金に上限を設ける。
各年度において同退職金に充てる額の上限として、累積剰余金の1%を設定する。
運用結果にかかわらず支給している基本退職金の予定運用利回りは、現行の「1%」を維持する。

情報サービス産業 大卒35歳モデル32.6万円に――情報労連 ITエンジニア実態調査

情報労連の「ITエンジニアの労働実態調査」によると、大卒のモデル賃金は22歳21.6万円、35歳32.6万円、45歳40.5万円などとなり、ピークの55歳は43.9万円だった。
35歳時点で初任時の1.51倍、45歳時で1.87倍、55歳時で2.03倍となる賃金カーブを描く。
回答企業における最低額および最高額から集計した職種別賃金レンジは、システムエンジニアが26.4万~43.3万円、プロジェクトリーダー等が36.0万~50.6万円となっている。
学歴別の初任給は、高卒が17.8万円、短大・高専・専門卒が19.6万円、大卒が21.3万円だった。

8要素で行動面を絶対評価――TIS

IT大手のTIS㈱(東京都新宿区、岡本安史代表取締役社長)は、4月から全社共通のコンピテンシーを採り入れた新人事制度を導入する。
現行の相対評価を改めて自律的な行動を促すのが狙いで、全8要素を3段階で絶対評価し、昇給や昇格の基準に用いる。
併せて等級体系も整理し、役割の違いが不明確だった等級は統合した。
部署を率いるマネージャー層には職務記述書を設け、外部からの人材獲得も見据える。
改定によって基本給を平均6%、最大で17%引き上げ、管理職層に導入してきた5段階洗替え方式は廃止する。

すべての階層で能力開発を――厚労省・労政基本部会報告書(素案)

厚生労働省は、加速する経済・社会の変化のなかにおける労働政策の課題について、労働政策審議会労働政策基本部会の報告書(素案)を作成した。
企業の成長には労働者による新たな技術の習得が不可欠とみて、現場労働者から経営者までの各層でリスキリングなど能力開発に主体的に取り組むことが企業に求められるとした。
政策面では、スキルの見える化ツールの開発や専門家の助言・相談といった支援を講じるべきとしている。

育成担当へ3つの役割手当――ユニ・チャーム

ユニ・チャーム㈱(東京都港区、高原豪久代表取締役 社長執行役員)は、社員の成長を支援する人材向けに3種類の役割手当を創設した。
課長級のマネージャーに対して毎月2万円を支給するほか、入社3年目までの新人の指導役に1万5000円、就職を希望する学生を入社まで導く役割には1万円を支給する。
グループの国内勤務者の3分の1が、いずれかの手当の対象となった。
同社ではこれまで物価高に対応する手当などは支給しておらず、一律のベースアップではなく特定の役割への重点配分を決めている。

5等級30職種別に職務定義書――KDDI

㈱KDDI(東京都千代田区、髙橋誠代表取締役社長)では、5階層のグレードと30種類の職種=専門領域から社員を格付ける独自の“ジョブ型人事制度”を運用している。
ジョブディスクリプションは、グレードおよび専門領域別に作成し、職務遂行上必要な専門スキルのほか、「課題形成」や「チームビルディング」などの「業務遂行をするうえで求められる普遍的な人間力」などを掲載している。
昇給や昇格に反映する能力評価の一部には、行動特性を多面評価する仕組みを採り入れた。
評価者は普段から仕事を一緒にする同僚5人で、「やり切る力」や「傾聴力」の有無などについて5段階でチェックする。

OKR活用し“挑戦”促す――名古屋銀行

㈱名古屋銀行(藤原一朗取締役頭取)は4月、評価制度のなかにチャレンジングな目標の設定を求める「OKR」の手法を採り入れる。
困難な課題に挑戦するなかで行員の積極性を引き出すのが狙いで、掲げる目標は必ずしも収益に直結しなくても良いとしている。
1~2月に掛けては集中的に考課者研修を開き、良い目標例などを共有した。
一方では、経営環境が激変するなかにおいても顧客の課題解決を進めて持続的な成長へと導けるようにすべく、営業力の強化にも努めている。
昨秋には賃金体系を見直して営業職の水準アップを図るとともに、難関資格の取得をめざすプログラムなどの各種研修制度を充実させた。

事務課長所定内 52~56歳未満で60.7万円――人事院 民間給与の実態(令和4年確報)

事務系・技術系ごとに職階別賃金を調べている人事院の「職種別民間給与の実態調査」によると、課長級の所定内給与のピークは、事務課長が52~56歳未満で60.7万円、技術課長が同61.2万円だった。
大卒初任者を含む係員20~24歳未満の水準と比べると、それぞれ2.66倍、2.78倍となっている。
部長級は、事務系が72.6万円、技術系が75.8万円だった。
定年後再雇用者は、係員が26.5万円、課長が41.9万円、部長が55.4万円などとなり、定年前の同職階の水準と比べると、係員と課長で30%、部長で25%低かった。

専任教員の無期転換認める――大阪高裁

羽衣国際大学の専任教員を務めていた労働者が、無期転換申込後の雇止めを不服として訴えた裁判で、大阪高等裁判所(冨田一彦裁判長)は雇止めを有効とした一審判決を変更し、労働者の無期転換を認めた。
労働者は3年の有期労働契約を2回締結し、無期転換申込権を行使したが、同大学は大学教員任期法が定める先進的な教育研究をする教育研究職に該当し、10年特例が適用されるとして、期間満了後に雇止めとしていた。
同高裁は労働者の担当授業の大半は介護福祉士の国家試験対策だったと指摘。
研究の側面は乏しく、特例の対象にならないとした。

在宅勤務の影響 2割弱で欠勤・休職者増加――情報労連・ITエンジニア実態調査

情報産業労働組合連合会(安藤京一中央執行委員長)が実施した「ITエンジニアの労働実態調査」によると、在宅勤務の影響でメンタル面が原因の欠勤・休職者が「増加している」と回答した企業の割合は18・5%だった。
社内のコミュニケーションが悪化したとする企業も36・6%に上っている。
一方で実施割合や頻度は高く、在宅勤務を行うエンジニアが「6~8割」とする企業は約3割を占め、「ほぼすべて」も17・9%と少なくない。
最も該当者が多い実施頻度を尋ねた設問では、「週3日程度」が32・1%で最も多く、全体の約7割が「週3日程度」以上としている。

ベア分9000円要求へ――JAM

機械・金属の産業別労働組合JAM(安河内賢弘会長)は、賃金構造維持分4500円を確保したうえで、9000円を基準に「人への投資」を要求するとした2023春闘方針を決定した。
引き続き個別賃金要求に取り組むとし、高卒直入者の所定内賃金として30歳27万3000円、35歳31万3000円を全加盟単組が到達すべき水準に設定している。
組合員約25万人の賃金実態を集計する独自の全数調査を踏まえて決めたもので、それぞれ前年から3000円引き上げている。

無期転換ルール・省令案 労働条件の明示強化――厚労省

厚生労働省は、有期契約労働者の無期転換ルールに関連し、申込機会の確保に向けた労働基準法施行規則などの改正省令案を明らかにした。
無期転換申込権が発生する労働契約更新時に行う労働条件明示事項として、申込機会があることと、転換後の労働条件を追加する。
さらに、雇止めを巡る紛争を防止するため、契約締結・更新時の明示事項に、通算契約期間と更新上限回数を加えるとした。
施行予定日は令和6年4月1日。

役割レベルと評価でメリハリ――凸版印刷

凸版印刷㈱(東京都文京区、麿秀晴代表取締役社長)は、監督職・専門職を格付ける一般社員層の最上位等級に対し、洗替え方式の「業績期待給」を支給している。
個々人が担う役割や職務のレベルを期初にあらかじめ3段階で格付けしたうえ、5段階評価とのマトリクスで支給額に差を付けているもの。
裁量労働制の適用者には労働市場の水準を踏まえた専用の給与テーブルを用意して、さらにメリハリを利かせている。
一方でDX分野の専門人材に限っては、6段階でレベル付けしており、上位レベルでは評価次第で管理職と同水準の報酬も可能としている。

流通で14,500円以上基準に――UAゼンセン

多様な産業・業種の労働組合が加盟するUAゼンセン(松浦昭彦会長)は、2023労働条件闘争方針を決定する中央委員会の開催に先駆けて会見を開き、業種別3部門の要求方針案を明らかにした。スーパーマーケットなどの組合が中心の流通部門が総額1万4500円以上の基準を掲げたほか、製造産業部門、総合サービス部門は5%相当の1万2000円以上の要求を行うとしている。短時間組合員については、流通、総合サービスの2部門とも60円以上の時給引上げをめざす。

労災認定 外部研修で退職強要――大阪労働局・労災保険審査官

大阪労働局の労働者災害補償保険審査官が、学校法人追手門学院の職員2人がうつ病を発症したのは、外部コンサル会社による研修などを用いた退職強要が原因であるとして、労災認定を肯定していたことが分かった。同研修の受講者18人中3人がうつ病を発症しており、1人は労基署から労災認定を受けた。他の2人は発症時期が研修前であるとして、休業補償給付を不支給処分とされていた。審査官は「機能障害など症状が顕在化した時期(研修後)に発症した」と見直し、労基署の処分を取り消した。

裁量労働制見直し 専門型も本人同意必要に――労政審労働条件分科会・報告

労働政策審議会労働条件分科会は、裁量労働制見直しの方向性に関する報告書をまとめた。労働者に専門業務型を適用する際、企画業務型と同様に対象者本人の同意を必須とするよう見直すのが適当とした。適用後に同意を撤回するための手続きの整備も企業に義務付ける。健康・福祉確保措置のメニューに、勤務間インターバルの確保や深夜業の回数制限などを追加することや、専門型の対象業務として、銀行・証券会社での合併・買収(M&A)の考案・助言業務を加えることも提言している。厚労省は報告書を受け、省令改正などの手続きを進めていく。

物価上昇への対応 4割が「主にベアで」――生産性本部

日本生産性本部のイノベーション会議(座長・大田弘子政策研究大学院大学長)が賛助会員に実施した調査によると、消費者物価の上昇を正社員の給料に反映するとした企業は、約6割を占めた。4割弱が「主に月例賃金に反映(ベースアップ)」するとし、2割弱が「主に一時的な現金支給(賞与や手当等)」としている。従業員300人以上に限ればベアでの対応を示唆した割合は47・9%に高まるが、300人未満では26・2%に留まり、55・7%が「対応する予定がない」と答えた。一方で重要度の高い投資分野を尋ねた設問では、9割超が「従業員への投資」を挙げている。

労災認定 持帰り残業を労働と認めず――行田労基署

埼玉・行田労働基準監督署(武田昌代署長)が、大手半導体関連メーカーで研究開発プロジェクトに従事していた労働者がうつ病を発症したのは、業務上によるものではないとして、休業補償給付を不支給処分としていたことが分かった。審査・再審査請求も棄却済み。再審査では「プロジェクトを遅延させないために必要に応じて持帰り残業をすることを含めた、包括的な業務指示があった」とした。しかし各業務の期限指定まではなかったとして、持帰り残業を労働時間と認めなかった。

被扶養者 非該当通知は処分に当たる――最高裁

健康保険組合の被保険者が、配偶者が被扶養者に該当しないとする通知の取消しを求めた裁判で、最高裁判所第三小法廷(長嶺安政裁判長)は、非該当通知は被保険者資格に関する処分に当たると判断した。社会保険審査官・会による審査・再審査の対象になるとしている。健康保険法第189条1項は、被保険者資格に関する処分に不服がある場合、審査・再審査請求ができると定めている。被扶養者に該当しない旨の通知が処分に当たるかどうかは、これまで明らかでなかった。

定昇分含め6%程度要求へ――UAゼンセン闘争方針案

繊維・流通・サービスなどの産業で働く185万人が加盟するUAゼンセン(松浦昭彦会長)は、賃金体系維持分に加えて4%程度、合計で6%程度の賃金引上げを求めるとする労働条件闘争方針案をまとめた。連合が掲げた賃上げ分3%程度との方針を踏まえ、格差是正に向けてさらに1%程度の上積みをめざす。全体の6割を占める短時間組合員にも同様の基準を示し、総額では時間当たり50円増を目安として上積みを求めるとした。今年10月から社会保険適用拡大にかかる企業規模要件が100人超に引き下げられていることを受け、キャリアアップ助成金の活用などを促し、適用拡大に取り組むともしている。

社労士版「人権方針」を策定――全国社労士会

全国社会保険労務士会連合会(大野実会長)は、社労士の事業活動全般を対象とし、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた「人権方針」を策定した。重点的な取組み事項として、労働関連法令の遵守など10項目を掲げている。まずは会員社労士に国際的な基準や考え方を浸透させ、中小企業にも助言できる専門性を養う。すでにeラーニングを用いた研修に取り組んでおり、来年1~2月には集合研修型のケーススタディーも行う。社労士が人権を侵害した場合を想定し、通報できる窓口も設置している。

保険販売員の懲戒解雇無効――札幌地裁

日本郵便㈱でかんぽ生命の保険販売員として働いていた労働者が、不適切販売問題に関連して懲戒解雇処分になったのを不服とした裁判で、札幌地方裁判所(中野琢郎裁判長)は処分を無効と判断した。労働者は1人の顧客の17件・月額89万円の既契約を解約させ、新たに19件・月額120万円の契約を締結させる、いわゆる「乗換契約」で処分を受けた。同地裁は、労働者が顧客に不利益を十分説明していたと指摘。契約は意向に沿ったもので、処分事由は存在しないとした。同社はかんぽ生命の不適切販売をめぐって、これまで計28人を懲戒解雇にしている。

時間外違反率15%に低下――東京労働局・3年監督結果

東京労働局(辻田博局長)管内の18労働基準監督署が令和3年1年間に実施した定期監督結果によると、監督した1万130事業場のうち、違法な時間外労働が認められた割合は15%(1521事業場)で、20%を超える例年の傾向を下回った。同労働局は、新型コロナウイルスで仕事が減少した影響があるとみている。令和2~3年は監督実施数が1万件程度に留まっていたが、今年はウィズコロナ体制としてコロナ禍前の水準まで引き上げ、来年度以降も取締りを強化していくとしている。

労災支給取消し訴訟 特定事業主の原告適格認める――東京高裁

一般財団法人あんしん財団が職員に対する労災支給処分の取消しを求めた裁判で、東京高等裁判所(鹿子木康裁判長)は同法人の原告適格を認め、審理を東京地方裁判所に差し戻した。メリット制の適用がある特定事業主は、労災支給処分によって当然にメリット収支率が上がり、次々年度以降の保険料が増額される可能性があると指摘。直接具体的な不利益を被るおそれがあり、処分取消しを求める適格性があると判断した。一方、労働保険料の認定処分については、保険料額認定に至るまで訴訟で争えないのは合理的ではないとして、原告適格を認めなかった。

解雇無効時の金銭救済制度 導入是非で労使対立――労働政策審議会分科会

解雇無効時の金銭救済制度の導入の是非を巡り、労働政策審議会労働条件分科会で労使の主張が対立している。使用者側が「紛争解決に向けて労働者の選択肢を増やす制度」、「解決金額の予見可能性が高まる」として導入を訴えているのに対し、労働者側は、企業による訴訟外での示談強要が頻発する可能性を指摘しつつ、「労働審判など現行制度で十分。新たな制度で救済される労働者は全くいない」と反発。見解に隔たりが大きく、公益側からは、救済が想定される労働者の実態把握を厚生労働省に求める声が上がった。

定昇込み5%で正式決定――連合

連合は12月1日、千葉県内で中央委員会を開き、2023春闘方針を正式に決定した。賃金要求指標に関しては10月に示していた基本構想どおりとなり、ベア3%程度、定期昇給分込みで5%程度を求める。議案提起に先立って挨拶した芳野友子会長は、リスキリングによって賃金の高い企業への労働移動を促す政策に対し、「企業として賃上げの必要がなくなる可能性がある」と懸念を示した。持続的な成長と分配の好循環を達成するためには、「短期・中長期にわたる賃上げが不可欠」と改めて訴えている。

ウーバーイーツ 配達員の労働者性認める――都労委

東京都労働委員会(金井康雄会長)は、UberEatsJapan合同会社とサービスの利用契約を結ぶ配達パートナーの労働者性を認め、配達パートナー30人で構成するウーバーイーツユニオンからの団体交渉に応じなかったとして、同社の不当労働行為を認定した。一定の禁止行為を規定したり、違反した場合にはアカウントを停止するなど配達員を強く統制し、事業に不可欠な労働力として組織に組み入れていたと判断している。同社が登録手続きなどの業務を委託していたUberJapan㈱についても、同様に団交に応じるよう命令した。

定年後の再雇用拒否は有効――東京高裁

NHKのコールセンターで働いていた労働者が、定年後に再雇用されなかったことなどを不服とした裁判で、東京高等裁判所(岩井伸晃裁判長)は再雇用拒否を有効と認めた一審判決を維持した。労働者には就業規則所定の解雇事由があり、人事評価も極めて低かったと指摘。改善指導にも従う姿勢がなく、再雇用しない客観的・合理的な理由があったとした。同センターでは、ハラスメント電話があった際、上司に転送するルールとなっていたが、労働者はルールを守らず、視聴者との間で口論となるトラブルを複数回起こしていた。

100人以上の改定額 840円増の5530円――賃金引上げ等の実態調査

令和4年の賃金改定額はコロナ禍前と同水準の5534円に回復――。厚生労働省の「賃金引上げ等実態調査」によると、規模100人以上の1人平均賃金改定額は前年を840円上回り、率では0.3ポイント増の1.9%だった。規模別では5000人以上の6478円(1276円増)に対し、100~299人は4738円(626円増)に留まっている。定昇制度を持つ企業におけるベア実施率は、一般職29.9%(12.2ポイント増)、管理職24.6%(9.5ポイント増)だった。

事業場外みなし 製薬会社MRに適用認めず――東京高裁

外資系製薬会社で外勤の医療情報担当者(MR)として働いていた労働者が、残業代などの支払いを求めた裁判で、東京高等裁判所(村上正敏裁判長)は事業場外みなし労働時間制の適用を認めない判決を下した。勤怠管理システムの導入後は直行直帰が基本のMRについても、始業・終業時刻の把握が可能になったと指摘。労働時間を算定し難いときに当たるとはいえないとした。一審の東京地方裁判所は、具体的な訪問先やスケジュールは労働者の裁量に委ねられており、上司の指示・決定もなかったとして、事業場外みなし制の適用を認めていた。

同一賃金 労基署が事実関係確認へ――厚労省

厚生労働省は、非正規雇用労働者の待遇改善に向け、パート・有期雇用労働法に基づく報告徴収を行う都道府県労働局の雇用環境・均等部門と、労働基準監督署の連携を強化する。新たに、労基署が定期監督などを利用して非正規雇用労働者の基本給や諸手当などの処遇について事実確認を実施し、労働局における報告徴収の対象企業の選定に活かしていく。同法に基づく是正指導の実効性の強化を狙う。同一労働同一賃金の遵守に向けた取組みを徹底するため、労働基準監督官を全国計で52人増員する方針だ。

男性育休2人以上で奨励金――東京都・5年度予算要求

東京都は、来年度の予算要求に「適正な労働環境を確保する事業」として前年比26億円増となる116億円を盛り込んだ。育児休業の取得を進める企業への奨励金制度について、従来の3コースから4コースに拡充する。複数人の男性社員に育休を取得させた企業を対象とする新コースを加え、男性育休をより促進する狙い。新事業としてはほかにも、働く女性の健康問題についての啓発や、若手人材の定着を目的とし、社員満足度の向上に取り組む企業に対する経費の補助を予定している。

セクハラ・パワハラ 行為者と会社に賠償命じる――東京地裁

㈱データサービス(東京都新宿区、坂本哲也代表取締役社長)で働く労働者が2人の上司によるセクハラ・パワハラは違法と訴えた裁判で、東京地方裁判所(西澤健太郎裁判官)は同社と上司らに対し、慰謝料など計103万円の支払いを命じた。自身の誤りが原因のミスにもかかわらず、労働者の責任として不必要に叱責して謝罪を求め、ミスにより生じた費用を負担させた行為や、飲み会で労働者に3度抱きついた行為などを不法行為と指摘(表)。セクハラに関する相談に対し、同社が対応しなかったのも債務不履行に当たるとした。

産業雇用安定助成金 能力向上支援など3コース――厚労省

厚生労働省は、在籍型出向により雇用維持を促進する産業雇用安定助成金(産雇金)制度を見直し、2つの新コースを加えて3コース体制とする方針だ。新たなスキル習得のために在籍型出向を行い、復帰後に賃金を引き上げた事業主を対象とする「スキルアップ支援コース」(仮称)と、業態転換などのために必要な人材を雇い入れた事業主向けの「事業再構築支援コース」(仮称)を創設する。スキルアップ支援コースの新設は今年度第2次補正予算案に盛り込まれており、年度内の開始を見込む。今後、雇用調整助成金の受給企業を対象に個別に周知し、産雇金の活用を促していく。

総合職モデル 大卒35歳で32.4万円――22年度版 愛知のモデル賃金

愛知県経営者協会が実施した「愛知のモデル賃金調査」によると、総合職・大卒のモデル賃金は22歳20.9万円、35歳32.4万円、50歳46.1万円などとなり、ピークは60歳47.5万円だった。前年結果に比べて全体的に微減傾向を示している。管理職の実在者賃金は、部長級が56.2万円、課長級が45.0万円で、それぞれ1.1%増、0.2%増とわずかに伸びた。60歳・会社都合のモデル退職金は平均支給額が1328万円、支給月数が28カ月となっている。

運送業者 安全委員会開かず送検――上田労基署

長野・上田労働基準監督署(森孝行署長)は、安全管理者に作業場の巡視などを行わせず、安全委員会も月1回以上開催していなかったとして、一般貨物自動車運送業のアート梱包運輸㈱(長野県東御市、従業員310人)を労働安全衛生法第11条(安全管理者)および第17条(安全委員会)違反などの疑いで、長野地検上田支部に書類送検した。令和4年7月、同社の倉庫内で労働者がコンテナを積み重ねて運搬していた際、コンテナが倒壊して下敷きとなり、腰椎椎体骨折の重傷を負う労働災害が発生している。同労基署によると、作業方法や設備に違反はみられなかったという。

前期高齢者納付金 「総報酬割」導入へ――厚労省

厚生労働省は医療保険者が拠出する前期高齢者納付金について、保険者ごとの報酬水準に応じて負担額を決める「総報酬割」を導入する方向での検討に入った。社会保障審議会の部会で見直し案を提示した。収入の高い大企業の従業員が多く加入する健康保険組合(健保組合)の負担は増加する一方、中小企業が中心の全国健康保険協会(協会けんぽ)の負担は減少するとみられる。厚労省は年内に医療保険制度改革の具体策をまとめ、改正法案を来年の通常国会に提出する予定だ。

基本給の決定要素 「仕事の内容」活用が8割――厚労省 就労条件総合調査

厚生労働省の「令和4年就労条件総合調査」によると、基本給の決定要素として最も用いられているのは「仕事の内容」で、管理職では79.3%、管理職以外では76.4%の企業が活用していた。次いで多かった「職務遂行能力」はともに66%台となり、10ポイント以上の差が付いている。賞与制度を持つ企業は87.9%で、このうち令和3年に賞与を支給した割合は92.8%だった。賞与制度がない企業は11.8%で、前回調査した5年前から2ポイント増加している。

課長代理からの降格有効――東京地裁

日産自動車㈱で働く労働者が、課長代理からの降格は違法として、課長代理の地位確認と差額賃金支払いなどを求めた裁判で、東京地方裁判所(小川理津子裁判長)は降格と賃金減額をともに有効と判断した。マネジメントを期待していると何度も指導されていたにもかかわらず、労働者は役割の重要性を理解できなかったと指摘。降格は役割等級制度に沿った運用で、人事権濫用はなかったと評価している。同社は賃金規程などで、役割定義(表)に照らして不相応な場合は降格とし、降格先の等級の賃金を適用すると定めていた。

厚生労働省 人材活性化で賃上げ促進

厚生労働省は、賃上げ支援や人材活性化を通じた賃上げ促進などを柱とする雇用・労働総合政策パッケージを策定した。コロナ禍での雇用維持支援や休業支援を中心とする緊急的・短期的政策から、賃金上昇と多様な働き方の実現を目的とする政策への転換を図る。施策メニューとして、賃金の底上げを図る業務改善助成金の拡充や、労働者のリスキリングを支援する企業が対象となる人材開発支援助成金の助成率引上げなどを挙げている。各施策は今年度補正予算などに盛り込む。

増員が不当労働行為に――大阪府労委

大阪府労働委員会(小林正啓会長)は、労働組合と協議せず、短期間に正規従業員・出向社員の計12人を補充したことは、組合の弱体化を企図したものであるとして、大阪市食肉市場㈱(大阪府大阪市)の不当労働行為を認定した。同社と組合が、経営状況に関して共通認識を持ったうえで人員補充について協議を行うことを定めた確認書の内容を踏まえて判断している。業務量や経営状況からみても「著しく不自然な増員」とした。同社の従業員に占める組合員数の割合は、人員補充後に過半数を割っている。

准看護学校教員の解雇有効――東京高裁

准看護学校で教員を務めていた労働者が、解雇を不服として労働契約上の地位確認などを求めた裁判で、東京高等裁判所(相澤哲裁判長)は解雇を有効とした一審判決を維持した。労働者は新人育成経験を買われ即戦力として採用されたが、入職当初から教育姿勢に関して生徒から苦情が寄せられ、年度末には多数の生徒から解雇を求める嘆願書が出された。上司はクレームが出るたびに改善指導をしたが、労働者は応じる姿勢がなく解雇には合理性があったとしている。労働者は適切な指導を受けていないと主張したが、同高裁は「およそ採用の限りでない」と退けた。

労災認定 事業主の「不服」表明可能に――厚労省

厚生労働省は、自社の労働災害の発生状況に応じて労災保険率が増減する労災保険のメリット制について、事業主が労働保険料の引上げ決定後に「労災認定は違法」として保険料決定に関する不服を申し立てられるよう、行政解釈の変更を行う考えだ。不服が認められ、労災給付の支給要件に該当しないと改めて判断された場合、保険料の増額は行わない。一方で、労働者に対する労災給付の支給決定自体は取り消さない扱いとする。近年、保険料決定処分の取消し訴訟において、保険給付支給の違法性の主張が認められるケースが現れていた。

賃上げ分3%程度要求へ――連合

連合は10月20日、来年の春季労使交渉の賃上げ要求に関し、ベースアップに相当する賃上げ分として3%程度、定期昇給相当分を含めて5%程度とする「基本構想」を確認した。過去7年間にわたり定昇込みで4%程度の方針としてきたが、物価上昇などを踏まえて28年ぶりに5%という数字を掲げる。賃金実態が把握できない中小組合などに対しては、賃上げ分として9000円、総額では1万3500円を目安に求めるとしている。

産業医勧告 不利益取扱い禁止は努力義務――東京高裁

産業医事務所が、労働安全衛生法に基づく勧告権行使を理由に顧客企業から契約を解除されたと訴えた裁判で、東京高等裁判所(石井浩裁判長)は同事務所の請求を棄却した。勧告権行使を理由とする不利益取扱いを禁止した安衛則の規定は「努力義務」と判示。委嘱契約は準委任に当たり、原則双方がいつでも契約解除できるが、安衛法が労働者の健康確保のために産業医に職務権限を与えていることを考慮し、契約解除が法の趣旨を実質的に失わせている場合は権利濫用に該当するとした。本事案では勧告後、産業医側が労働基準監督署の行政指導を示唆するなど、自ら対決姿勢を深めていったと指摘。信頼関係の破壊を認め、契約解除は有効と判断している。

産業保健活動 業務外疾病への対応課題に――厚労省

厚生労働省は、企業を取り巻く環境変化や中小企業での産業保健活動の低調さなどを踏まえ、効果的に活動を推進するための方策について検討を開始した。テレワークの拡大や女性の就業率上昇、高年齢労働者の増加に伴う健康問題への対応など、抱える課題の多様化を背景に、有識者検討会において産業保健のあり方について議論を重ねる。治療と仕事の両立支援など、業務と直接関係のない問題への対応をどのように位置付けるべきかなどが論点になる。産業医や衛生管理者が担うべき役割、選任義務のある事業場の範囲、中小企業への支援方策についても検討を進める。

10団体が最低年収目安策定――建専連

専門工事業者の団体らで構成する建設産業専門団体連合会(=建専連、岩田正吾会長)は、会員10団体が策定した「技能レベルごとの最低年収目安」を公表した。国土交通省が普及を進める建設キャリアアップシステム(CCUS)に則り、東京都内で勤務する場合の水準を示している。たとえば基礎ぐい工事技能者のケースでは、初任給相当で356万円以上、一人前レベルで403万円以上、職長レベルで576万円以上などとしている。人材確保に向けてキャリアパスを明示するとともに、仕事の繁閑で上下しがちな請負価格の適正化を図る材料にするのが狙い。

月253時間残業させ送検――岡山労基署

岡山労働基準監督署(小松原邦正署長)は、36協定の締結・届出なく労働者6人に違法な時間外労働をさせたとして、食料品製造業の㈱山陽フードサービス(岡山県倉敷市)と同社代表取締役を労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで岡山地検に書類送検した。同社は今年4月に、最も長い者で月253時間の時間外労働をさせた疑い。5月に同労基署が臨検した際、労働時間数を過少に記載した虚偽の勤務報告書を提出した疑いも持たれている。

家政婦 死亡を労災認定せず――東京地裁

家政婦紹介業を営む会社に家政婦兼訪問介護ヘルパーとして登録して働いていた労働者の遺族が、7日間の住み込み勤務後に死亡したのは会社の業務が原因と訴えた裁判で、東京地方裁判所(片野正樹裁判長)は労災と認めない判決を下した。勤務のうち、家事業務については雇用主が個人宅であり、労働基準法第116条2項で同法の適用が除外される「家事使用人」に当たると指摘。会社の指揮命令下で従事した介護業務は、週31時間30分に留まり、業務起因性を認めるのは困難とした。

平均年間給与 正社員・男性570万円に――国税庁 令和3年民間給与実態

国税庁の令和3年民間給与実態統計によると、昨年1年間を通じて勤務した正社員の平均年間給与は、男性が569.9万円、女性が388.9万円だった。前年結果と比べて、それぞれ3.6%増、1.4%増と伸びている。役員も含めた全体の平均給与は、男女計が443.3万円(2.4%増)で、男性は2.5%増の545.3万円、女性は3.2%増の302.0万円だった。業種別では情報通信業が624万円、製造業が516万円となり、425万円の運輸業,郵便業を除く全業種で前年結果を上回った。

偽装一人親方把握へ実態調査――国交省

国土交通省は、技能者を一人親方として装う「偽装一人親方」対策として、建設業者を対象に実態把握に乗り出す。毎年11月に社会保険の加入状況や賃金実態などを調査するのに当たり、契約する一人親方の働き方が適正かどうかを確認する「働き方自己診断チェックリスト」の活用状況を調べる。来年度はさらに一人親方の実態把握に向けた調査も実施する予定で、ガイドラインで示す「適正な一人親方の目安」である必要な実務経験年数10年以上などの基準について、改定の必要性を検討する。

精神不調 認識可能性認め降格無効に――東京高裁

上司への誹謗中傷などを理由とする降格処分の有効性が争点となった裁判で、東京高等裁判所(髙橋譲裁判長)は処分を無効とする判決を下した。裁判は物流アウトソーシングなどを営む会社で働く労働者が起こしたもので、同高裁は、会社は労働者の精神疾患発症を認識するのは難しかったとしても、心身の異常やその原因は処分時に認識可能だったと指摘。降格は懲戒権濫用に当たると判断した。労働者は上司との関係悪化や業務過多を再三訴えていたが、会社は改善措置を講じなかった。処分後、労働者は精神疾患で5カ月休職。この疾患は「上司とのトラブル」などが理由として裁判中に労災認定を受けた。労災認定における疾患発症日は処分前で、処分事由となった労働者の行為はいずれも発症日以降のものだった。

労災認定 暑熱を負荷要因と評価――京都下労基署

京都下労働基準監督署(田中淳史署長)が、急性心不全で死亡した自動車整備士に関し、労働時間以外に「暑熱環境」を負荷要因と認め、労災認定していたことが分かった。整備士の発症前2~6カ月の月平均時間外労働は最大77時間21分で、過労死ラインには達していない。同労基署は平成28年11月に整備士の遺族に対し、労災補償の遺族補償給付と葬祭料を不支給処分としており、これを不服とした遺族が行政訴訟を起こしていた。昨年の改正で労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価することを明確化した脳・心臓疾患の労災認定基準を踏まえて処分を取り消し、認定した。

パワハラ 職場環境は理由ならず――最高裁

パワーハラスメントを理由とする分限免職の有効性が争点となった裁判で、最高裁判所第三小法廷(林道晴裁判長)は処分を違法とした二審判決を取り消し、免職を有効と判断した。裁判は山口県長門市で消防士として働いていた労働者が処分を不服としたもので、二審の広島高等裁判所は消防組織という独特な職場環境や、パワハラ研修を受けさせていない点を考慮し、免職は重過ぎるとしていた。最高裁は、パワハラは5年を超えて繰り返され、職員全体の半数近くが被害に遭うなど、職場環境の悪化は公務の能率の観点からも見過ごせないと指摘。分限免職を適法と判示した。

デジタル払い 口座残高上限100万円に――厚労省

厚生労働省は、賃金のデジタル払い(資金移動業者の口座への賃金支払い)を可能とする労働基準法施行規則の改正省令案を明らかにした。使用者が労働者の同意を得た場合、一定の要件を満たして厚労大臣の指定を受けた移動業者の口座への資金移動によって賃金を支払えるようになる。指定要件には、口座残高上限額を100万円以下とすることや、ATMを利用して1円単位で通貨を受け取れることなどを盛り込む。企業には、賃金支払い方法の選択肢として、銀行口座や証券総合口座への振込みなども労働者に示すよう義務付ける。公布は今年11月、施行は来年4月1日の予定。

介護職員は月給22.3万円――介護労働安定センター 介護労働実態調査

介護労働安定センターの「令和3年度介護労働実態調査」によると、月給制で働く労働者の職種別所定内賃金は、介護職員が22.3万円、訪問介護員が22.4万円、介護支援専門員が26.5万円だった。前年結果からは横ばいで、それぞれ0.5%(1201円)増、0.5%(1198円)増、0.1%(151円)減となっている。時間給については介護職員が1031円(1.2%、12円増)、訪問介護員が1319円(1.6%、21円増)などと改善し、看護職員は2.5%(37円)増の1490円とめだって伸びた。月給労働者の賞与支給額は59.1万円となっている。

賃上げ取組む企業に奨励金――東京都

東京都は、物価高騰への緊急対策として、中小企業に対する支援事業を新設・拡大する。新規事業として、エンゲージメントの向上によって賃上げに取り組む企業に対する奨励金制度を設け、9月の補正予算案に7億円を計上した。賃上げにつながる取組みとして複数の項目を設定し、満たした項目数に応じて支給する。既存の事業も拡充し、自社内で実施するOff―JTの訓練への助成対象件数を従来の2倍の200社とする。業務のデジタル化に必要な機器・システムの導入に対する助成金制度では、賃上げ計画書を策定した場合に補助率を引き上げる措置を追加した。

飲食店店長 管理監督者性を否定――東京地裁

飲食店の店長を務めていた労働者が残業代の不払いなどを不服として訴えた裁判で、東京地方裁判所(布施雄士裁判官)は労働者の管理監督者性を否定し、運営会社に計980万円の支払いを命じた。労働者の月給は30万円で、勤務時間は不規則かつ長時間に及んだ。同地裁は労働者の月給は一般的な飲食店従業員の賃金である月給25万円と比べて必ずしも高額ではないと指摘。管理監督者に相応しい待遇とは到底いえないとして、残業代に加え、付加金の請求も認めている。

賃金台帳 労働時間数を過少に記入――伊万里労基署

佐賀・伊万里労働基準監督署(福田貴裕署長)は、賃金台帳に実際より過少な労働時間数などを記入していたとして、貨物自動車運送業のロジコン㈱(同県伊万里市)と当時の同社統括運行管理者を労働基準法第108条(賃金台帳)違反の疑いで伊万里区検に書類送検した。昨年7月、同社の労働者がトラック運転中に交通事故を起こし、6人が死傷している。同社に対しては昨年11月、労働者の過労運転を容認したとして、兵庫県警が道路交通法第66条の2違反の疑いで神戸地検尼崎支部に書類送検した。

付加金支払い命令を取消し――東京高裁

農林畜産物の生産・販売や飲食店経営を営む㈱hototo(山梨県山梨市、水上篤代表取締役)で働く労働者が残業代の支払いを求めた裁判で、東京高等裁判所(木納敏和裁判長)は、付加金支払いを命じた一審判決を取り消した。一審は未払い残業代に加え、80万円の付加金支払いを命令していた。同社は一審判決後に未払い分の残業代をすべて弁済。同高裁は最高裁判決(平成26年3月6日)を踏まえ、口頭弁論終結までに義務違反の状況が消滅したときは、付加金支払い命令ができなくなるとしている。

トラック運転者 休息期間の下限は9時間――労政審・作業部会報告

労働政策審議会の作業部会は、トラック運転者の労働時間等改善基準告示の見直しに関する報告を取りまとめた。現行基準で継続8時間以上としている1日の休息期間について、継続11時間以上を基本としつつ、9時間を下限に設定するのが適当とした。ただし、泊まりを伴う長距離運行に例外措置を設ける。運行途中の休息の下限を8時間とし、運行後に継続12時間以上の確保を求める。1カ月の拘束時間は「原則284時間まで、最大310時間まで」に見直す。現行よりも順に9時間、10時間の短縮となる。

中途採用の応募1・6倍に――ヤフー

ヤフー㈱(東京都千代田区、小澤隆生代表取締役社長)は、今春から拡充した「どこでもオフィス制度」の効果により、中途採用の応募者数が1・6倍に増えたと明らかにした。リモートワークの活用を前提に国内ならどこでも居住可能としたもので、1都3県以外からの応募が全体の35%にまで高まっている。既存社員が転居するケースも増え、契約社員を含めた対象者約8000人のうち、8月末現在で130人以上が飛行機・新幹線での通勤圏へ移り住んでいる。

貨物自動車運送業 拘束時間が上限超過し送検――奈良労基署

奈良労働基準監督署(尾形賢一署長)は、運転者2人に36協定の限度時間を超える時間外労働をさせたとして、貨物自動車運送業の㈱カズショウ(奈良県奈良市)と同社代表取締役を労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで、奈良地検に書類送検した。同社は協定に「改善基準告示の拘束時間の上限を時間外労働の限度とする」と付記していた。このため同労基署は時間外労働について、協定で定めた時間内に収まっていたか否かにかかわらず、休憩を含めた拘束時間が告示の上限を超えた時点から、すべて違法と判断した。

公立教員の残業代請求棄却――東京高裁

公立学校の教員に対する残業代の支払い義務が争点となった裁判で、東京高等裁判所(矢尾渉裁判長)は支払い義務がないと判断した一審判決を維持した。埼玉県内の公立学校の教員が、同県に240万円の支払いを求めたもので、給特法は残業の対価として月額給与の4%を教職調整額として支給すると定めており、労働基準法37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)の適用は排除されているとした。国家賠償法上の責任についても、自由意思を極めて強く拘束するような時間外勤務命令はなかったと指摘。責任を否定している。

第273話「20代女性、孤独感じる65%」

野村総研が20~60代以上の男女2,200人に調査したところ、「孤独を感じる」と答えた人の割合は全年代で上昇。
中でも20代女性は昨年から8ポイント増えて65%となり、最も割合が高かった。

職業別では専業主婦・主夫の6割が「新型コロナウイルス流行前と比較して孤独を感じることが増えた」と答えた。
コロナによる失業などの経済的困窮が影響している可能性があり、1度切れた人間関係を元に戻すのが難しいといった側面もありそうだ。

孤独が深刻になるほど家族以外の人を相談相手に選ぶ、という結果も出た。
孤独が「全く深刻ではない」人は51.3%が相談相手に配偶者を選んだが、「かなり深刻」と答えた人では15.2%に低下した。
一方、孤独が全く深刻でない人で「友人・知人を選ぶ」と答えたのは26.7%だったが、かなり深刻な人では53.1%に上昇。
専門家を選ぶ人も、同様に6.6%から23.5%に上昇した。

孤独の原因は家庭にある可能性もあり、多様な居場所づくりや相談支援体制の整備が求められる。

以上

年休5日の義務果たさず――久留米労基署

福岡・久留米労働基準監督署(古賀薫署長)は、労働基準監督官に対し虚偽の陳述を行ったとして、昭和建設㈱(同県久留米市)と同社の担当課長を労働基準法101条(報告等)違反の疑いで福岡地検久留米支部に書類送検した。同社は年間5日間の年次有給休暇を取得できていない労働者が複数人いるにもかかわらず、「全員取得できている」と虚偽の内容を記載した有給休暇管理簿を提出し、記載内容に基づいて虚偽の陳述を行った疑い。

無断で動画公開 団交拒否理由にならず――都労委

東京都労働委員会(金井康雄会長)は、労働組合が団体交渉の様子を撮影し、動画サイト上で公開したことを理由として以降の団交申入れに応じなかったテイケイ㈱(東京都新宿区)について、不当労働行為と認定した。動画はモザイク処理などで一定のプライバシーの保護を図っており、会社側の担当者が特定できるものであるとまではいえず、動画の公開により具体的に業務が妨害された事実もないとし、団交を拒否する正当な理由にはならないと判断している。

人への投資 出向通じた能力向上促進――厚労省・令和5年度

厚生労働省は令和5年度、在籍型出向を活用した労働者の能力向上を促進するため、産業雇用安定助成金に新コースとして「スキルアップ支援コース」(仮称)を追加する方針だ。政府が重点課題に掲げる「人への投資」の施策の一環で、労働者のスキルアップのために在籍型出向を行う出向元に対し、出向労働者の賃金の一部を助成する。出向元が新型コロナウイルス感染症による影響を受けているかは問わない。助成率は最大3分の2で、労働者1人1日当たり8355円を限度に支給する。

年休5日の義務果たさず――久留米労基署

福岡・久留米労働基準監督署(古賀薫署長)は、労働基準監督官に対し虚偽の陳述を行ったとして、昭和建設㈱(同県久留米市)と同社の担当課長を労働基準法101条(報告等)違反の疑いで福岡地検久留米支部に書類送検した。同社は年間5日間の年次有給休暇を取得できていない労働者が複数人いるにもかかわらず、「全員取得できている」と虚偽の内容を記載した有給休暇管理簿を提出し、記載内容に基づいて虚偽の陳述を行った疑い。

無断で動画公開 団交拒否理由にならず――都労委

東京都労働委員会(金井康雄会長)は、労働組合が団体交渉の様子を撮影し、動画サイト上で公開したことを理由として以降の団交申入れに応じなかったテイケイ㈱(東京都新宿区)について、不当労働行為と認定した。動画はモザイク処理などで一定のプライバシーの保護を図っており、会社側の担当者が特定できるものであるとまではいえず、動画の公開により具体的に業務が妨害された事実もないとし、団交を拒否する正当な理由にはならないと判断している。

人への投資 出向通じた能力向上促進――厚労省・令和5年度

厚生労働省は令和5年度、在籍型出向を活用した労働者の能力向上を促進するため、産業雇用安定助成金に新コースとして「スキルアップ支援コース」(仮称)を追加する方針だ。政府が重点課題に掲げる「人への投資」の施策の一環で、労働者のスキルアップのために在籍型出向を行う出向元に対し、出向労働者の賃金の一部を助成する。出向元が新型コロナウイルス感染症による影響を受けているかは問わない。助成率は最大3分の2で、労働者1人1日当たり8355円を限度に支給する。

減給制裁上限超え送検――川崎南労基署

神奈川・川崎南労働基準監督署(松本進吾署長)は、労働者1人に対し1回の額が平均賃金の1日分の半額を超える減給制裁をしたとして、金属製品製造業の京浜スチール工業㈱(同県川崎市)と同社代表取締役を労働基準法第91条(減給の制裁)違反の疑いで横浜地検川崎支部に書類送検した。同社は1事案に対する制裁として、昨年6~7月分の定期賃金から、各月の基本給の10%に当たる約5万円(計約10万円)を控除していた。

従業員へ900万円の賠償命令――東京地裁

東京ガスファシリティサービス㈱(東京都港区、西村優代表取締役社長)が元従業員に対し、客先の駐車場の不正利用などで被った損害の賠償などを求めた裁判で、東京地方裁判所(岡田毅裁判官)は元従業員に900万円の支払いを命じた。元従業員は同社が管理を受託する駐車場で働いていた。平成22年4月から自家用車で通勤するようになり、同駐車場を利用していたが、機械を不正に動かすなどの方法で料金を支払わなかった。同地裁は「悪質な故意による不法行為」と指摘。過失相殺を認めず、損害の全額の請求を認めた。

出生時育休 管理監督者も就業可能――厚労省

厚生労働省は、今年4月から順次施行している改正育児介護休業法のQ&A集を改定し、出生時育休期間中の就業に関する留意点を拡充した。労働基準法上の管理監督者に対しても、出生時育休中に部分就業を行わせることができるとしている。所定労働時間の合計の半分までとされている就業可能時間数の上限は、就業規則などで定めた所定労働時間から算出する。合意した時間数よりも働いた時間が少なかったことを理由に賃金減額を行うと、管理監督者性を否定する要素になるとして注意を促している。

減給制裁上限超え送検――川崎南労基署

神奈川・川崎南労働基準監督署(松本進吾署長)は、労働者1人に対し1回の額が平均賃金の1日分の半額を超える減給制裁をしたとして、金属製品製造業の京浜スチール工業㈱(同県川崎市)と同社代表取締役を労働基準法第91条(減給の制裁)違反の疑いで横浜地検川崎支部に書類送検した。同社は1事案に対する制裁として、昨年6~7月分の定期賃金から、各月の基本給の10%に当たる約5万円(計約10万円)を控除していた。

従業員へ900万円の賠償命令――東京地裁

東京ガスファシリティサービス㈱(東京都港区、西村優代表取締役社長)が元従業員に対し、客先の駐車場の不正利用などで被った損害の賠償などを求めた裁判で、東京地方裁判所(岡田毅裁判官)は元従業員に900万円の支払いを命じた。元従業員は同社が管理を受託する駐車場で働いていた。平成22年4月から自家用車で通勤するようになり、同駐車場を利用していたが、機械を不正に動かすなどの方法で料金を支払わなかった。同地裁は「悪質な故意による不法行為」と指摘。過失相殺を認めず、損害の全額の請求を認めた。

出生時育休 管理監督者も就業可能――厚労省

厚生労働省は、今年4月から順次施行している改正育児介護休業法のQ&A集を改定し、出生時育休期間中の就業に関する留意点を拡充した。労働基準法上の管理監督者に対しても、出生時育休中に部分就業を行わせることができるとしている。所定労働時間の合計の半分までとされている就業可能時間数の上限は、就業規則などで定めた所定労働時間から算出する。合意した時間数よりも働いた時間が少なかったことを理由に賃金減額を行うと、管理監督者性を否定する要素になるとして注意を促している。

第272話「18歳成人、大人の自覚?」

シチズン時計が改正民法施行により大人の仲間入りをした18、19歳の男女400人を対象に、“新成人として大切にしたい時間は”についてインタ-ネットで尋ねた。
最も多かったのは「勉強」と「仕事・アルバイト」が同率で39.5%だった。
3位は「睡眠」で29.3%、4位は「趣味」で26.5%だった。

“成人として持ちたい心構えは”では「行動に責任を持つ」が58.3%で最多。
「夢や目標に向け努力する」28.5%、「自分の時間を大切にする」が25.8%と続いた。

“最も関心のあること”では、親の同意なく契約できるようになったことを踏まえ、「クレジットカ-ドを作る」が32.5%と3分の1を占めた。

一方、“1日が25時間だったら、増えた1時間を何に使いたいか”との質問には、「睡眠」が32.0%で1位で、“大切にしたい時間”とは対照的な結果に。次いで「趣味」が15.0%だった。

以上

重層構造適正化へ実態調査――国交省検討会

国土交通省は、建設業を将来にわたって持続可能なものとするために必要な施策を考える有識者検討会を設立した。このほど開いた第1回会合では、論点として重層下請構造、建設技能者の処遇改善などについて議論した。下請にまで賃金改善が行き渡っていない原因の1つに重層下請構造があるとして、今年9月に実態調査に乗り出す予定を決めている。受注者側の建設業界だけではなく、発注者側の不動産業界にもヒアリングを実施し、処遇、賃金などの実態を確認する。今年度末には報告書を取りまとめる方針。

特定求人メディア 12月31日まで届出必要――厚労省

厚生労働省は10月1日から適用する「募集情報等提供事業の業務運営要領」を公表した。求職者の情報を収集する事業者を新たに「特定募集情報等提供事業」と定義し、届出制を導入したことを受け、該当する事業者には12月31日までにe―Govの電子申請を通じて届け出るよう求めている。届出制の対象になるのは求職者個人を識別できる情報だけでなく、経歴やメールアドレス、位置情報などを収集する事業者。届出を怠った場合は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される。

23年高卒求人初任給 技術・技能19.9万円に――労働新聞社集計

本紙調査による2023年3月卒の高卒求人初任給は、技術・技能系19・9万円、販売・営業系20・0万円、事務職18・9万円などとなった。販売・接客職や技術・技能系のうちの建設業で20万円台半ばに達したほか、人手不足が深刻さを増すドライバー職では21万円を超えている。募集賃金が高騰するなか、集計したサンプルの16・8%が固定残業代を含めた初任給を提示していた。

重層構造適正化へ実態調査――国交省検討会

国土交通省は、建設業を将来にわたって持続可能なものとするために必要な施策を考える有識者検討会を設立した。このほど開いた第1回会合では、論点として重層下請構造、建設技能者の処遇改善などについて議論した。下請にまで賃金改善が行き渡っていない原因の1つに重層下請構造があるとして、今年9月に実態調査に乗り出す予定を決めている。受注者側の建設業界だけではなく、発注者側の不動産業界にもヒアリングを実施し、処遇、賃金などの実態を確認する。今年度末には報告書を取りまとめる方針。

特定求人メディア 12月31日まで届出必要――厚労省

厚生労働省は10月1日から適用する「募集情報等提供事業の業務運営要領」を公表した。求職者の情報を収集する事業者を新たに「特定募集情報等提供事業」と定義し、届出制を導入したことを受け、該当する事業者には12月31日までにe―Govの電子申請を通じて届け出るよう求めている。届出制の対象になるのは求職者個人を識別できる情報だけでなく、経歴やメールアドレス、位置情報などを収集する事業者。届出を怠った場合は6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金に処される。

23年高卒求人初任給 技術・技能19.9万円に――労働新聞社集計

本紙調査による2023年3月卒の高卒求人初任給は、技術・技能系19・9万円、販売・営業系20・0万円、事務職18・9万円などとなった。販売・接客職や技術・技能系のうちの建設業で20万円台半ばに達したほか、人手不足が深刻さを増すドライバー職では21万円を超えている。募集賃金が高騰するなか、集計したサンプルの16・8%が固定残業代を含めた初任給を提示していた。

正社員男性 ピーク時42.9万円に――厚労省 雇用形態別賃金

令和3年賃金構造基本統計調査の雇用形態別集計によると、男性フルタイム労働者の所定内給与のピークは正社員が55~59歳の42.9万円、非正社員では再雇用世代の60~64歳27.5万円だった。男女別の平均所定内給与は、男性34.9万円、女性27.1万円で、男性の水準を100とした場合の女性の指数は77.6となっている。短時間労働者の非正社員・女性では、勤続0年が時間給で1193円、1~2年1246円、5年以上1309円などとなり、前年比で2.6%減、2.3%減、3.8%減と落ち込んでいる。

健康経営 中小もPDCA追加に――経産省

経済産業省は、健康経営を推進している企業を認定する「健康経営優良法人認定制度」の評価要件を見直す。中小企業を対象に特に優良な上位500社を認定している「ブライト500」の選出基準について、取組みに関する発信状況などを問う現行の3項目に加え、新たに「PDCAに関する取組み状況」と「経営者・役員の関与度合い」の2項目を追加する。認定後も持続的に取り組める体制があるかを測るとともに、経営者による健康経営の推進を促す狙い。

精神障害認定基準 評価事項にカスハラ追加――厚労省

厚生労働省は、精神障害に関する労災認定請求の大幅増加を受けて、認定基準の見直しに向けた検討を進めている。認定基準全般を検証し、より迅速・的確に心理的負荷を評価できるようにするのが狙い。このほど、有識者による専門検討会に対し、心理的負荷につながる「対人関係」に関する具体的出来事として、カスタマーハラスメントを追加する案を提示した。その内容として、「顧客や取引先、施設利用者等から(著しい)迷惑行為を受けた」を盛り込む。

正社員男性 ピーク時42.9万円に――厚労省 雇用形態別賃金

令和3年賃金構造基本統計調査の雇用形態別集計によると、男性フルタイム労働者の所定内給与のピークは正社員が55~59歳の42.9万円、非正社員では再雇用世代の60~64歳27.5万円だった。男女別の平均所定内給与は、男性34.9万円、女性27.1万円で、男性の水準を100とした場合の女性の指数は77.6となっている。短時間労働者の非正社員・女性では、勤続0年が時間給で1193円、1~2年1246円、5年以上1309円などとなり、前年比で2.6%減、2.3%減、3.8%減と落ち込んでいる。

第271話「大卒内定率 7月1日時点85%」

就職情報大手のディスコは2023年3月卒業予定の学生の内定率が7月1日時点で84.9%だったと発表。
前年同月を4.8ポイント上回った。回答全体のうち74.6%が就職活動を終了していた。
回答者数は1,207人で、「内定を得た」と回答した人は84.9%で、6月から8ポイント上昇した。
就職活動を終了した学生は74.6%で、前年同期より7.2ポイント上回った。
内定を得た学生の平均内定社数は2.5社と前年の2.3社に比べ微増だった。

就職活動を継続している学生は全体の25.5%を占める。
今後の方針・戦略を調べると、「新たな企業を探しながら、幅広く持ち駒を広げていく」と回答した人は30.3%と最も多く、6月から4.9ポイント上昇した。
内定を得たが、自分により合う企業が他にないか視野を広げている学生がいることがうかがえる。

以上

幹部候補に「自社株報酬」を――経産省・改訂版「企業統治システム指針」

経済産業省は、企業価値を高めるコーポレートガバナンス(企業統治)改革の実践に求められる取組みを示す「コーポレートガバナンスシステムに関する実務指針」を改訂した。新たに次世代の社長・CEOを支える幹部候補人材を育成し、エンゲージメントの向上を図る必要性を強調している。具体策として、中堅層から候補者を確保して早期育成を進めつつ、自社の株式を付与する「自社株報酬」の採用を提言した。企業価値や株価に対する意識を早い段階から高められ、優秀な人材の引留めにもつながるとしている。

新規採用以降は会社の「責」――東京高裁

都内を中心に飲食店を展開する㈲リバーサイドで働くアルバイト労働者が合意退職は無効と訴えた裁判で、東京高等裁判所(三角比呂裁判長)は労働契約上の地位確認のみ認めた一審判決を変更し、一部期間のバックペイ支払いを命じた。労働者が復職意思を明確にし、同社がアルバイトを新規に雇い入れた令和2年3月以降は同社の責めに帰すべき事由により就労できなかったと判断している。労働者は平成31年3月12日の勤務終了後、上司に「3月末か4月半ばには辞める」と告げ、以降のシフト希望を提出せず出勤もしなかった。同高裁は退職の時期があいまいなため、確定的な退職の意思表示といえないと指摘。合意退職成立を認めなかった。

裁量労働制見直し 本人同意を前提に適用――厚労省・検討会報告書

厚生労働省は、裁量労働制見直しの方向性などを示した「これからの労働時間制度に関する検討会報告書」を取りまとめた。労働者が自らの意思で自律的・主体的に働くことを選択できるよう、裁量労働制の適用に当たり、本人の同意を得るようにするのが適当と提言した。運用中に同意が撤回された場合には、制度の適用から外れることを明確化する。健康確保の徹底に向け、使用者に求める健康・福祉確保措置の強化も提起した。措置のメニューの追加や、複数措置の実施などの案を盛り込んでいる。

トップ人材育成へ独自研修――情報サービス産業協会

情報サービス産業協会(=JISA、原孝会長)は、数年後に社会のデジタル化をリードし得る「トップITアスリート」を育成するため、独自の研修プログラムを創設した。会員企業が送り出す入社10年目程度の15人を対象とし、7月から第1期の研修を開始した。約半年間、180時間以上にわたるプログラムでは、群馬県の協力のもと、実際に地方創生をテーマに課題探索から解決策立案に挑戦する体験型研修も行う。将来的には会員外からの参加も可能とし、500~1000人のトップITアスリート輩出をめざす。

新型コロナ 宿泊・自宅療養証明は不要――厚労省

厚生労働省は新型コロナウイルスの感染者に対する傷病手当金の支給に関するQ&Aを改訂した。支給申請に当たり、「宿泊・自宅療養証明書」の提出は必須ではなく、保険者が一律に添付を求めるのは適切ではないとしている。第7波に突入したなかで、医療機関や保健所の業務ひっ迫に配慮した形だ。何らかの証明書を求める場合には、HER―SYSの電子証明の活用が考えられるとした。やむを得ない理由により医療機関を受診していない場合は、事業主証明で労務不能かどうかを確認するとしている。

男女賃金差の公表義務化 正規、非正規など3区分で――厚労省・改正女性活躍関連省令施行

厚生労働省は7月8日、労働者301人以上の企業に対して男女の賃金の差異の公表を義務付ける女性活躍推進法の改正省令を施行した。情報の公表は、正規雇用労働者、非正規雇用労働者、全労働者の3区分で実施する。301人以上企業は毎年、雇用区分別に男女それぞれの平均年間賃金を算出したうえで、男性賃金に対する女性賃金の割合(%)を算出、公表しなければならない。事業年度の終了後、おおむね3カ月以内の公表が求められる。

第270話「テレワ-ク導入5割超す」

総務省の2021年「通信利用動向調査」によると、テレワ-クを導入済みと回答した企業の割合は前年比4.4ポイント増の51.9%となった。
5割を超えたのは、調査を始めた1999年以来初めて。コロナ禍前の2019年の調査からは2.5倍となった。
調査は、期間を定めずに雇用する従業員を100人以上抱える民間企業に対し、2021年8月末時点の導入状況を尋ね、2396社から回答を得た。

産業別のテレワ-ク導入割合は「情報通信業」が97.7%で最も高く、「金融・保険業」が82.4%で続いた。
テレワ-ク導入企業の割合は、2019年調査では20.2%だったが、コロナ禍が始まった2020年調査では47.5%と大幅に上昇していた。

以上

カスハラ対策 業界統一の定義・基準を――交運労協

交通運輸、観光サービス関係の産業別労働組合で構成する全日本交通運輸産業労働組合連合会(=交運労協、住野敏彦議長)は、カスタマーハラスメント防止ガイドラインをまとめた。厚生労働省の対策マニュアルに基づいて各種防止対策を示した一方、対策推進には業界として統一的なカスハラ定義、判断基準を共有しておくことが必須と訴えた。7月下旬以降、構成組織とともにトラック協会、ハイヤー・タクシー連合会などの各事業者団体との間で意見交換の場を持ち、業界別の基準作成につなげていきたいとしている。

デジタル人材育成を支援――愛知県

愛知県は7月から、業務のデジタル化などを推進する「デジタル人材」の育成を支援するため、中小企業約80社に対してITコンサルティングなどの経験が豊富な専門家を無料で派遣する事業を開始する。社員の意識改革やスキルマップ作成など各社の課題を抽出し、解決策の提案や情報提供を行う。さらに約15社に対し、個別の研修カリキュラムを作成し、実施を支援する。同県が昨年度行った調査によると、多くの企業が「自社の業務にも精通する人材」を求めていることから、社内での育成を後押しする。

固定残業代 一方的な減額認めず――東京高裁

医薬品開発業務の請負などを営む㈱インテリムで働いていた労働者が賃金減額などを違法として訴えた裁判で、東京高等裁判所(志田原信三裁判長)は固定残業代の減額を有効とした一審判決を変更し、一方的な減額は認められないと判断した。一審の東京地方裁判所は労働基準法所定の方法で算定した金額を下回らない限り、どのような方法で支払っても自由であると指摘。固定残業代を廃止し、実労働時間に応じた割増賃金を支払う扱いに変更するのに、労働者の同意は必要ないとしていた。

都内事業所 平均時給額1331円に――東京都 パートタイマー実態調査

東京都の「パートタイマーに関する実態調査」によると、都内事業所におけるパートの平均時給額は1331円だった。産業別では卸売業,小売業1202円、宿泊業,飲食サービス業1129円となり、4年前の前回調査と比べて46円増、15円減となっている。複数回答で賃金額の決定基準を尋ねると、「職務の内容」(66.3%)を選択した事業所の割合が最も高く、5割台で「能力・経験」(58.4%)と「最低賃金」(50.8%)が続いた。賞与を支給している事業所の平均年間支給額は、「1万円以上5万円未満」が32.6%、「5万円以上10万円未満」が24.6%を占め、6割弱が10万円未満としている。

派遣労働者 雇止めを不法行為と認めず――東京地裁

介護・看護の人材派遣を営む㈱グッドパートナーズで働く派遣労働者が、施設内の虐待の自治体への通報をきっかけに雇止めに遭ったのを不服とした裁判で、東京地方裁判所(林﨑由莉子裁判官)は雇止めを不法行為に当たらないと判断した。同社に事前に報告せず通報したことが理由と認定する一方、事前の報告を求める行為が違法性の高いものとはいえないと指摘。労働者の慰謝料請求を退けた。高齢者虐待防止法では、介護士は虐待が疑われる高齢者を発見した場合、速やかに自治体に通報しなければならないと定めている。通報を理由とした不利益取扱いは禁止されている。

副業容認など情報公開促進――厚労省

厚生労働省は、副業・兼業を行う際の労働時間管理のあり方などを示した副業・兼業の促進に関するガイドラインを改正する。ガイドラインにおける「企業の対応」事項として、副業などに関する情報公表の取組みを追加し、企業の方針に関する情報公開を推奨していく。労働者の職業選択の幅を広げ、多様なキャリア形成を促進するのが狙い。自社のホームページなどで、副業・兼業を許容しているか否かと、許容する際の条件を公開するよう促す。今年7月上旬に改定予定。

第269話「副業、転職時に重要視4割」

働く女性のうち、4割強が「転職先を決める際に、副業できるかどうかが重要な条件」と考えていることが、キャリアデザインセンタ-の調べでわかった。
2022年1~2月に、同社の女性向け転職サイトで、女性746人を対象に実施。
副業をしたことがあると答えたのは全体の34%あった。
副業経験がある人に月収を聞くと、「1~4万円」が53.8%と最も多かった。
平均すると6.2万円で、10万円以下の人が8割以上占めるものの、中には20万円以上の副業収入を得る人もいた。

一方、副業経験のない人の中で、今後副業を「機会があればやりたい」「ぜひやりたい」と考えている人は9割以上にのぼった。

また、副業OKかどうかが転職先を決める際に重要な条件になるか、という問いに対しては「非常に重要」「やや重要」の重要派が46.8%にのぼり、新型コロナウイルス下で働き方が変わる中、副業への期待は大きいと言える。

以上

常用者男性 専門・技術職30.6万円に――厚労省 中途採用時賃金(3年度下半期)

厚生労働省が集計した令和3年度下半期の「中途採用者採用時賃金情報」によると、常用者・男性の職業別平均賃金は、専門的・技術的職業30.6万円、生産工程・労務の職業22.6万円などとなった。前年下半期と比べて順に、0.3%、3.2%増加している。建設・採掘や運搬・清掃などの職業を含め、現業系では軒並み3%台の伸びを示した。都道府県別では、東京が34.0万円と突出して高く、神奈川が29.5万円、大阪が26.3万円、愛知が26.2万円、福岡が25.1万円などと続く。

育成活性化へ労使に補助金――中企庁・今後の政策方向性

人材育成の活性化へ労使双方にインセンティブを設ける――中小企業庁は、今後の中小企業政策の方向性を取りまとめた。企業の成長を妨げている要因として、経営者の高齢化による現状維持志向や人材の教育・経験不足を挙げている。経営層に対して人材育成の必要性の理解を促し、社員に研修プログラムなどを受講させる際には労使双方へ補助金を支給するなど、人的資本の投資を促す。経営スキルの強化を図るには大企業のOB人材の活用が有効として、マッチング機能を全国展開するとした。

休業手当支払いを命じる――東京高裁

東京都内にホテルを複数店舗展開するホテルステーショングループで働いていた労働者が、新型コロナウイルスの感染拡大により同意なく所定労働時間を減らされたと訴えた裁判で、東京高等裁判所(木納敏和裁判長)は減少した時間分の休業手当支払いなどを命じた一審を維持した。労働者は令和2年3~7月にかけ、1日の所定労働時間を2時間~3時間15分減らされた。同グループは赤字経営のなかで「従業員の生活に悪影響を及ぼさないように配慮した」と主張したが、同高裁は「所定労働時間を一方的に変更できる法律上の根拠にならない」と退けている。

大手モデル退職金 定年2564万円に――中労委 令和3年退職金・定年制調査

1000人以上の大手企業を対象とする中央労働委員会の「退職金、年金および定年制事情調査」によると、定年モデル退職金は大卒・総合職で2564万円、高卒・生産労働者は1840万円だった。2年前の前回調査と比べるとそれぞれ2.1%増、13.0%減となり、高卒・生産労働者で大きく落ち込んでいる。確定拠出年金(企業型)を採用する企業のうち、マッチング拠出を導入しているのは50.9%で、集計開始後初めて5割に達した。再雇用者の基本給設定については、「定年前の50%以上80%未満」が62.5%を占めている。

停職6カ月 裁量権の範囲逸脱せず――最高裁

富山県氷見市が元消防職員に対して下した2回の停職処分のうち、2度目の処分の違法性が争点となった裁判で、最高裁判所第三小法廷(長嶺安政裁判長)は「重きに失する」とした二審判決を破棄し、高裁に差し戻した。同職員は複数人への暴行などを理由に停職2カ月の懲戒処分を受けたが、処分を不服として同市公平委員会に審査請求をした。審査請求手続きで自身に有利な証言をさせようと同僚らに働き掛けたところ「反社会的な違法行為」であるとしてさらに停職6カ月となった。最高裁は同僚らへの働き掛けは報復を示唆した威迫行為で、明確な非行に当たると指摘。処分の種類・長さともに裁量権の範囲の逸脱はないと判断した。

改善基準見直し議論 労基署が荷主に配慮要請へ――労政審トラック作業部会

労働政策審議会の作業部会で進めているトラックドライバーに関する労働時間等改善基準告示の見直しに向けた検討において、労使間の意見集約が難航している。荷主都合による荷待ち時間が発生していることを理由に、使用者側が拘束時間の上限引下げや休息時間の拡大などに難色を示しており、労使見解に大きな隔たりが生じている状況だ。使用者側が荷主対策の強化を求めたため、厚生労働省が新たな荷主対策案を部会に提示した。把握した情報に基づき、全国の労働基準監督署が荷主に対し、改善基準への対応などについて個別に配慮要請を行っていくとしている。

ジョブ型採入れは自社流で――愛知経協

愛知県経営者協会(大島卓会長)は、メンバーシップ型の雇用システムの行き詰まりに対し、解決手段としてジョブ型の要素を加味した人事制度の検討は現実的などとする報告書をまとめた。共通理解がないままジョブ型という言葉が使われる現状への懸念から、改めて関連用語・概念の定義を試み、完全なジョブ型への移行は社会基盤の違いから困難と指摘した。多くの企業が直面するパフォーマンスと処遇の不一致などの課題を掘り下げ、その企業にふさわしい人事制度はその企業にしか考えられないなどと訴えている。

“中核人材”を副業で確保――関東経産局

関東経済産業局(濱野幸一局長)は、関東地域のサービス系企業の労働生産性向上を図るため、支援の方向性を示す報告書を取りまとめた。経営課題などを解決する“中核人材”の確保が重要と強調し、東京圏の専門人材が関東地域の企業を直接訪れる形態での副業・兼業の活用が有効と提言している。関東地域ぐるみで自治体、地元金融機関、商工会議所らによるネットワークを構築し、ニーズの掘り起こしや中核人材とのマッチングにつなげるとしている。

雇保制度のあり方検討――厚労省

厚生労働省は、学識経験者をメンバーとする「雇用保険制度研究会」(座長・山川隆一東大大学院教授)を設置し、雇用保険制度の中長期的な設計・運用の方向性について検討を開始した。財政安定化に向けた機動的な国庫負担の導入などを盛り込んだ雇用保険法改正法案の国会審議などにおいて、同制度をめぐる多くの課題が指摘されたため、制度の理念も含めて幅広く議論する。具体的には、基本手当や教育訓練給付・求職支援制度の効果検証を通じて適切な制度設計をめざす。支給総額の増加が見込まれる育児休業給付の財源や、非正規労働者に対する支援策も論点とする。

第268話「中小66%が影響懸念」

日本商工会議所と東京商工会議所は中小企業6,000社に実施した最低賃金引上げの影響に関する調査結果を取りまとめた。
今年の引き上げが30円となった場合、「経営に影響がある」と回答した企業が65.7%となった。
仮に、30円引き上げられた際の対策としては、「設備投資の抑制など人件費以外のコスト削減」が45.9%で最も多かった。
一方、「正社員の残業時間の削減」は37.7%、「一時金・福利厚生費の削減」は31.4%、「非正規社員の残業時間・シフトの削減」は30.3%と、労務面での対応を挙げた企業も少なくなかった。

政府は2016年に、「最賃の全国の加重平均額を1,000円になることを目指す」方針を示している。
引上げが1円だった20年を除き、16年から毎年3%台(25~28円)の大幅な引き上げが行われていることに対して、「現在の最賃額が負担になっている」と回答した企業は65.4%にのぼった。

以上

通勤手当 割増基礎に含めず送検――刈谷労基署

愛知・刈谷労働基準監督署(橋本圭一署長)は、割増賃金の基礎となる賃金に「通勤手当」と称した手当を含めなかったとして、タクシー業の安城交通㈱(愛知県安城市)と同社取締役総務部長を労働基準法第37条違反の疑いで名古屋地検岡崎支部に書類送検した。同社が通勤手当の名目で支給していた金額は、実際の通勤距離や費用と相関性がなく、基礎に算入する必要があったと判断している。同社は昨年1月、手当を基礎に含めないことで、労働者1人に対し、時間外・深夜労働に対する割増賃金の一部を支払わなかった疑い。

委託作業者の労働者性認定――中労委

中央労働委員会第1部会(荒木尚志部会長)は、電気メーターの取替え工事業者が個人請負契約を締結した作業者ら5人が所属する組合から求められた団体交渉に応じなかった事案について、団交拒否を不当労働行為と認定し、同社の再審査申立てを棄却した。作業者の労働者性を認めている。同社は作業者ごとに年間の工事計画件数を割り当てていたが、施工件数が月間計画の92%を下回った場合にリカバリープランを提出させるなど、毎月の進捗を管理していた。最終的に年間92%を下回ると、翌年度の割当てを減らしている。

停職の違法性めぐり弁論――最高裁

富山県氷見市の消防職員だった労働者が2度の停職処分を違法と訴えた裁判で、最高裁判所は2度目の停職処分の軽重を争点に弁論を開いた。二審の名古屋高裁金沢支部は複数人への暴言・暴行を理由に停職2カ月とした1度目の処分を適法と認める一方、被害者に不利な証言をしないよう圧力をかけたことを理由とした停職6カ月の処分は「重きに失する」として違法と判断していた。弁論で労働者は「不当な圧力を掛ける意図はなかった」、同市は「被害者に謝罪をするどころかさらなる圧力を与えており反省がみられない」とそれぞれ主張した。判決言渡しは6月14日。

第267話「7割が10年以内に退職」

日本経済新聞社が実施した女子学生への調査では多様なキャリア意識が浮かんだ。
新卒入社の会社で定年まで働き続けるとの回答は11.5%。10年以内の退職見込み
は68.9%に上った。

退職理由は転職や学び直し、起業など自身の意志に基づくキャリアシフトが48.7%。
結婚が20.3%、出産・育児が22.7%と一定数あった。
理想の働き方が多様化しているとみられ、女性の人材確保や就労意欲を高めるには、
企業が採用時から画一的なロ-ルモデルでなく柔軟なキャリアパスを示す必要があ
る、としている。

以上

大手の大卒実在者賃金 55歳57万円がピーク――中労委 令和3年賃金事情調査

大手企業の賃金実態を調べている中央労働委員会の「賃金事情調査」によると、大学卒の事務・技術(男性)の実在者平均所定内賃金は、22歳で22.2万円、35歳で39.0万円、45歳で49.9万円などとなり、ピークの55歳では56.6万円だった。全体的に前年比プラスの傾向を示したものの、35歳では0.2%減、40歳では1.2%減と落ち込んでいる。役付手当の平均支給額は、定額制の場合で部長級が7.7万円、課長級が4.7万円、係長級が2.4万円となり、5年前の前回調査と比べて1~3割アップしている。

リスキル推進に報酬提示を――経産省

経済産業省は、人的資本経営の実現に向けた検討会の報告書を取りまとめ、経営環境の急速な変化に対応するための人材戦略の1つとして、リスキル・学び直しの推進を掲げた。現在の職務にかかわらず機会を提供するため、労働時間の一定割合をリスキルに活用できる制度を導入するなどとしたほか、挑戦を促すうえではリスキル後に期待される報酬水準や処遇、ポジションを示すことが重要と提言している。

都の時短命令は違法――東京地裁

飲食業を営む㈱グローバルダイニング(東京都港区、長谷川耕造代表取締役社長)が、東京都による令和3年3月18日付けの時短営業命令を不服として訴えた裁判で、東京地方裁判所(松田典浩裁判長)は命令を違法と判断した。命令は緊急事態宣言解除までを対象としており、効力が生じる期間は4日間しかなかったことが確定していたと指摘。それにもかかわらず、あえて発出する必要性を合理的に説明できていないと強調している。一方、同社が求めた104円の損害賠償については、都知事に過失があるとまではいえないとして、請求を棄却した。

繁忙期に月180時間残業――小諸労基署

長野・小諸労働基準監督署(末永信二署長)は、労働者2人に対し、時間外労働の上限規制を超えて働かせたとして、フランス料理店を営む㈲Ryobi(長野県軽井沢町)と同社代表者を労働基準法第36条(時間外および休日労働の上限規制)違反の疑いで長野地検佐久支部に書類送検した。同社は繁忙期の1カ月間に最長で180時間の時間外・休日労働をさせることで、月100時間の上限を超過した疑い。1日の時間外労働についても、36協定で定めた上限7時間を超えていた疑いが持たれている。

同一労働同一賃金 4割強で待遇差是正推進へ――東京都調査

東京都が都内3000社に実施したパートタイマーに関する実態調査によると、正社員との不合理な待遇差をなくすための取組みを実施済み、もしくは実施を予定している企業の割合が4割強に上った。そのうち、職務評価などを通じて根拠の明確化のみで対応するとした割合は18%に留まり、77%がパートの待遇に対して何らかの改善に取り組んでいる。改善内容別の取組み割合は、休暇制度の見直し45%、基本給の引上げ・変更36%、賞与の支給対象拡大30%などとなっている。

留学費用 賃金と相殺は有効――東京地裁

大成建設㈱で働いていた労働者が留学費用と相殺された賃金の支払いを求めた裁判で、東京地方裁判所(和田山弘剛裁判官)は相殺を有効と認め、相殺後の残金730万円の返還を労働者に命じた。労働者は同社の社外研修制度で海外の大学に留学したが、復職後1カ月も経たないうちに自己都合退職した。両者は復職後5年以内に自己都合退職した場合は留学費用を返還し、賃金との相殺についても異議を申し立てないとする誓約書を交わしていた。同地裁は、労働者は自由意思で相殺に合意したと指摘。労働基準法が定める全額払い違反はなく、相殺は有効と判断した。

人事評価整備で企業成長へ――中小企業白書

中小企業庁は、2022年度版の中小企業白書を取りまとめ、人事評価制度を導入する重要性を強調した。企業規模21~50人の企業では現状、導入率が6割弱に留まる点などを指摘。従業員の能力開発につながるほか、制度のある企業の方が、ない企業より売上高増加率が4ポイント高いとのデータを示した。環境変化に合わせた制度の見直しも求められるとし、頻繁に見直しを行う企業ほど売上高増加率が高い傾向にあるとしている。

ポスト消滅による解雇有効――東京地裁

クレディ・スイス証券㈱(東京都港区、桑原良代表取締役社長兼CEO)で働いていた労働者が部署・ポスト消滅による解雇を不服として訴えた裁判で、東京地方裁判所(佐藤卓裁判官)は解雇を有効と判断した。同社は部署廃止後に計5つの社内公募を提示しており、解雇回避努力を尽くしたと評価している。労働者は社内公募ではなく任用の保証があるポジションを提示すべきと主張したが、同地裁は「社内公募という人事制度を採用している同社に対し、特別な措置を求めるに等しい」と認めなかった。判断枠組みはいわゆる整理解雇の4要素を用いている。

ホワイトカラー 能力診断ツールを開発――厚労省

厚生労働省は、40~60歳代のミドルシニア層のホワイトカラー職種向けに職業能力を診断できる「ポータブルスキル見える化ツール」を開発し、職業情報提供サイト「jobtag」内で公開した。「現状の把握」や「計画の立案」といった自身のスキルを15分程度で入力すると、本人の持ち味を生かせる職務や職位が示される仕組みで、労働者のキャリアの形成・転換に生かすことができる。キャリアコンサルタントなどの支援者が、企業内の労働者のキャリア自律と自己啓発を促すための相談や、求職者の職業相談の場面で活用することなどを想定している。

第266話「最低賃金引上げの影響」

日本商工会議所と東京商工会議所が中小企業6000社に実施した最低賃金引き上げの
影響に関する調査結果によると、今年の引き上げ額が30円となった場合、「経営に影
響がある」と回答した企業が65.7%にのぼった。
仮に30円引き上げられた際にとる対応策としては、「設備投資の抑制など人件費以外
のコスト削減」が45.9%で最も多かった。

一方、「正社員の残業代の削減」は37.7%、「一時金、福利厚生費の削減は」31.4%、
「非正規社員の残業時間、シフトの削減」は30.3%と、労務面での対応を挙げた企業
も少なくなかった。

政府は2016年に、「最低賃金の全国加重平均額を1000円になることをめざす」方針
を示している。引上げが1円だった20年を除き、16年から毎年3%台(25~28円)の
大幅な引き上げが行われていることに対し、「現在の最低賃金額が負担になっている」
と回答した企業は65.4%あった。

 以上

改善基準 拘束時間超過で違法残業――新潟労基署

新潟労働基準監督署(佐藤一成署長)は、運転者1人に対し36協定の延長時間を超える時間外労働を行わせたとして、貨物自動車運送業の富士興業㈱(新潟県新潟市)と同社の新潟営業所長および運行管理者を労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで、新潟地検に書類送検した。「改善基準告示における拘束時間の上限を時間外労働の限度とする」としていた36協定の記載に基づき、拘束時間の上限を超えた労働を違法な時間外労働とした。

10月以降開始した育休に適用――厚労省

厚生労働省は10月1日に施行となる育児休業中の社会保険料免除の要件改正に関するQ&Aをまとめ、地方厚生局などに通知した。改正後の要件は10月1日以降に開始した育休に適用し、施行日をまたぐ育休には改正前の要件を適用するとしている。たとえば9月15日~10月10日に1度目の育休、10月11日~10月31日に2度目の育休を取得したケースでは、1度目の育休には改正前、2度目の育休には改正後の要件を適用する。9月に賞与を支給した場合は免除の対象になるが、10月に支給した場合は対象にならないとした。

解雇無効時の金銭救済制度 権利行使は労働者に限定――厚労省

厚生労働省の有識者会議「解雇無効時の金銭救済制度に係る法技術的論点に関する検討会」(座長=山川隆一東京大学大学院教授)は、解雇が無効の際に企業からの金銭支払いによって雇用が終了する救済制度について、「権利行使は労働者に限定する」、「個別の法律で禁止されている解雇も対象とする」といった内容の報告書を取りまとめた。企業が支払う金銭額を算定する際の考慮要素として、退職前の給与額や年齢、勤続年数などを挙げている。同制度を導入するか否かは、今後労働政策審議会で議論する。

最低賃金法違反 高齢者の時給650円に引下げ――津島労基署

愛知・津島労働基準監督署(鈴木基義署長)は、労働者3人を最低賃金額未満の時給で働かせたとして、織物修正加工業の㈱アイ・アール・ジェイのほか、同社取締役会長や顧問社会保険労務士事務所の社労士など計5人を最低賃金法第4条(最低賃金の効力)違反の疑いで津島区検に書類送検した。同労基署によると、同会長は高齢を理由に時給を引き下げており、変更額は人によって異なる。最も低い者で時給650円。同社は3年前に技能実習生に関する同法違反で送検されている。

大学教授 講義に就労請求権認める――東京地裁

東京福祉大学で教授の地位にあった労働者が、平成28年の秋以降、同大学が講義を一切担当させなかったのを不服とした裁判で、東京地方裁判所(布施雄士裁判長)は労働者の就労請求権を認め、債務不履行による慰謝料など計106万円の支払いを命じた。雇用契約書に「最低でも週4コマ」という時間数の明記があり、同大学には講義を担当させる義務があったと判断している。一般に、労働は義務であり権利ではないとの考えから、就労請求権は認められない傾向にある。さらに使用者の就労を受領する具体的義務に踏み込み、債務不履行責任を認めた判決は初めてとみられる。

改正育介法対応 権利侵害行為を是正指導――厚労省・令和4年度行政運営方針

厚生労働省は令和4年度地方労働行政運営方針を作成した。多様な人材の活躍を促進するため、4月から段階的に施行されている改正育児介護休業法の周知と履行確保に重点的に取り組むとした。男性の育休取得促進を目的とした出生時育休(産後パパ育休)を労働者に取得させないなどの権利侵害行為や、育休取得を理由とした不利益取扱いが疑われる事案を把握した場合、事業主に対して報告徴収と是正指導を積極的に実施する。改正法に沿った企業の取組み事例集の活用も事業主に呼び掛けていく。

私立高校 教員8人に残業代払わず――大阪南労基署・送検

大阪南労働基準監督署(千葉卓克署長)は、私立高校の教員8人が行った部活指導などの時間外労働に対し、割増賃金の一部を支払わなかったとして、学校法人浪速学院と同法人役員を労働基準法第37条(割増賃金)違反の疑いで大阪地検に書類送検した。同法人は是正勧告を受けたことを契機に、それまでシステムで管理していた勤怠確認に自己申告制を導入し、部活の指導を「業務外」と扱うなどして、教員からの残業申請を却下していた。

コロナ理由の団交拒否認めず――中労委

中央労働委員会第3部会(畠山稔部会長)は、新型コロナウイルスによる緊急事態宣言を理由に団体交渉を拒み、書面による回答を続けた㈱小西生コン(愛知県名古屋市)の対応について、初審命令に続き不当労働行為に当たると認定した。義務的団交事項にかかる団交は労使が同席、相対峙して協議、交渉を行うことが原則とし、組合側が感染対策に配慮した開催時期・方法を提案していたことも踏まえ、直接話し合う方式を採ることが困難な特段の事情はなかったと判断している。

意思表示の錯誤無効認める――東京地裁

警備業大手のテイケイ㈱で働いていた労働者が退職強要を受けたと訴えた裁判で、東京地方裁判所(戸室壮太郎裁判官)は退職の意思表示の錯誤無効を認め、労働契約上の地位確認とバックペイ支払いを命じた。判決によると、同社は令和元年5月9日の終業後に労働者をホテルに連れて行き、遅刻を申告せずその分の賃金を受け取っていたのは詐欺罪に当たるとの虚偽説明をし、「去る者追わずっていうのはある」などと告げた。同地裁は、労働者は退職届を書かなければ警察に連れて行かれると誤信していたと指摘。意思表示は錯誤に基づくものとして、無効と判断した。

23年度から720時間以内に――日建連

大手ゼネコンらで構成する日本建設業連合会(宮本洋一会長)は、2024年4月から建設業にも適用される時間外労働の上限規制に向け、「時間外労働削減ガイドライン」を策定し、17年に掲げていた自主規制目標の計画を前倒しした。全会員企業に対して、23年度から年720時間以内などの法令に適応するよう求める。実態調査では労働時間の削減状況が伸び悩んでおり、20年度調査では従業員の約11%、1万3363人が年720時間を超えていた。現場で監督業務に当たっている者がめだち、会社へ戻ってから行う事務作業が労働時間増加の原因とみている。

企業規模要件 1年のうち6カ月で判断――厚労省・社保適用拡大の取扱い

厚生労働省は、今年10月に施行される短時間労働者への健康保険・厚生年金保険の適用拡大について、日本年金機構に事務の取扱い上の留意点を通知するとともに、取扱いに関するQ&Aを明らかにした。今回の適用拡大では、短時間労働者の社会保険加入の企業規模要件を「常時100人超」に引き下げる。同通知などでは「常時100人超」について、同一法人事業所における厚生年金保険被保険者の総数が、1年間のうち6カ月以上100人を超えることが見込まれる場合を指すとした。