傷病手当金 通算1年半受給可能に――厚労省

厚生労働省は傷病手当金の支給期間の通算化などの内容を盛り込んだ、健康保険法等の一部改正法案を通常国会に提出した。現行制度では、受給が可能な期間を支給開始日から1年6カ月としているが、法案は支給開始日から通算して1年6カ月受給できるとしている。職場復帰により一旦手当が不支給になり、その後同じ疾病・負傷で再度手当を受給する場合、職場復帰していた期間を除いて1年6カ月、手当の受給が可能になる。がん治療では、再発により入退院を繰り返すケースが多く、通算化を求める声が多数挙がっていた。施行は令和4年1月1日となっている

柔軟な働き方実現めざす――東京都

東京都は、長期的な政策方針を示した「『未来の東京』戦略(案)」を取りまとめた。2030年までの重点戦略に「誰もが輝く働き方実現」や「女性活躍推進」などを掲げている。時間・場所にとらわれない柔軟な働き方を実現するため、テレワーク導入から定着までの支援を展開するほか、企業が利用できるサテライトオフィスの充実を図るとした。女性や高齢者、外国人など多様な人材が希望に応じて働くことができる環境整備や、中小企業における“副業・兼業人材”の活用支援にも取り組む。

カスタマーハラスメント 省庁連携し対処マニュアル――厚労省

厚生労働省は、企業や労働者がカスタマーハラスメントおよびクレーマーハラスメントに対処するためのマニュアル作成に向け、関係省庁横断的な連携会議をスタートさせた。顧客や取引先からの暴力や悪質なクレームなどといった迷惑行為は、純然とした労働問題として捉えるべきか疑問視する見方がある。厚労省と労使に加え、経済産業省、国土交通省、消費者庁などが連携して対応する必要があるとした。職場のパワーハラスメントとの相違点を踏まえた実態調査を行い、令和3年度中にマニュアルをまとめる考えである。

休廃業・解散最多1万2千件

東京商工リサ-チの調査によると都内企業の2020年の休廃業や解散が1万2357件に上り(前年比2.8%増)6年連続で最多更新したことがわかった。

その大きな要因として、新型コロナウイルスの影響で経済の先行きが不透明になり、高齢の経営者が事業継続の意欲を維持できなくなったのではないかと分析している。
同社によると、休廃業・解散は倒産以外で事業を停止する事で、産業別では飲食、宿泊などを含む「サ-ビス業他」が最多の4,345件で全体の35.2%を占めた。
このうち飲食店は473件で前年比15.6%増だった。
次に多かったのは、情報通信業で1,303件で全体の10.3%、製造業が1,203件で全体の9.7%だった。

休廃業や解散した企業の代表者の年齢は70歳代が38.5%と最も多く、70歳以上が調査開始以来初めて全体の6割を超えた。
後継者育成が進まないまま、代表者が高齢化していることがうかがえる、と分析している。

以上

特別手当不支給は合法――東京地裁

企業買収のあっ旋などを営むGCA㈱(東京都千代田区、渡辺章博代表取締役)で働く労働者が、特別手当の不支給は違法な賃金減額と訴えた裁判で、東京地方裁判所(館洋一郎裁判官)は請求を全面的に棄却した。特別手当は降格に伴う賃金減額への配慮が目的で、支給の有無が使用者の裁量に委ねられている「任意的恩恵的給付」に当たると判断。不支給に当たって労働者の同意は必要ないとした。労働者は平成25年に解雇されたが、30年1月に解雇を無効とする判決が確定し、31年に復職していた。

離職者へ短期集中講習――東京都・21年度事業

東京都は2021年度、誰もがいきいきと活躍できる都市の実現をめざし、多様なニーズに応じた雇用対策・就業支援に重点的に取り組む。人材を確保したい業界団体と連携し、コロナ禍で離職した人に短期講習プログラムなどを実施して再就職につなげる事業を新たに開始する。労働者派遣の枠組みを通じて複数の職種を経験させながら、正社員としての就職を後押しする雇用創出・安定化支援事業については、対象者数を大幅に増やすとともに、対象者を正社員として採用した企業に助成金を支給する。

令和2年 送検事案約400件を公表――厚労省

全国の都道府県労働局が、悪質・重大事案として企業名を公表した司法処分事件が、令和2年の1年間で約400件に達していることが、厚生労働省のまとめで分かった。都道府県別では、東京の11件を大きく上回り、大阪が32件で最多となった。北海道も25件と大阪に次いで多くなっている。違反条項別では、労働安全衛生法第20条および第21条の「事業主の講ずべき措置等」の違反が約200件に上り約半数を占めた。同法第100条違反の「労災かくし」も44件と少なくない。

親族を過半数代表と偽る――関労基署

岐阜・関労働基準監督署(米山宏治署長)は、技能実習生2人に対して違法な時間外・休日労働を行わせたうえ、協定なく家賃や光熱費を賃金から控除し、さらに申告への報復として直後の賃金を支払わなかったとして、縫製業のカッティングセンター相川(岐阜県関市)の個人事業主を、労働基準法第32条(労働時間)および最低賃金法第4条(最低賃金の効力)違反などの疑いで岐阜地検に書類送検した。事業主は、自らの親族を過半数代表として36協定、賃金控除協定を結んだこととし、日本語がほとんど話せない実習生らには一切周知していなかった。

パート社員 契約社員へ転換認めず――中労委・初審命令変更

中央労働委員会第2部会(岩村正彦部会長)は、駅などの清掃会社が組合員をパート社員から契約社員に転換させなかった事案で、契約社員に登用されたものとして取り扱うこととした初審命令を変更した。同社の対応は、組合員であることを理由とした不利益取扱いに当たらず、不当労働行為に該当しないとした。組合員は禁煙区域での喫煙をやめるよう指導された後も態度を改めなかったため、転換させなかったのは本人の勤務状況が原因で、会社の対応には合理性があると判断している。

障害者雇用納付金 100人以下企業に納付義務――厚労省

厚生労働省は、障害者雇用納付金制度の適用範囲拡大に向けて検討を開始した。同適用範囲は、これまで段階的に中小規模企業へ拡大してきたが、今回は常用労働者100人以下への適用が課題となっている。段階的適用に応じてその都度、障害者雇用が大きく前進する傾向がある。中高年層の障害者を長期継続雇用している場合の雇用率カウントを上積みすべきかも課題となる見込み。3つのワーキンググループを設置して専門的議論を進め、今年6月を目標に方向性を打ち出す。

過労死 取締役に賠償命令――東京高裁

治工具の製造販売を営む㈱サンセイで働く労働者が、脳出血で死亡したのは長時間労働が原因と遺族が訴えた裁判で、東京高等裁判所(北澤純一裁判長)は同社の取締役らへの請求を棄却した一審判決を変更し、同社と取締役1人に計2355万円の支払いを命じた。取締役は労働者の直属の上司だったが、発症の2カ月前の残業時間が月111時間、1カ月前が85時間に上っていたにもかかわらず、業務量を適切に調整するための具体的な措置を講じておらず、重過失があったと判断している。

違法な労働者供給 22人を受け入れて雇用――東京労働局

東京労働局(土田浩史局長)は、職業安定法で禁止されている労働者供給事業で受け入れた労働者を雇用したのち、さらに別の3社に労働者供給を行った派遣元事業主の㈱アクセル(大阪府大阪市)に対し、労働者派遣法に基づく事業停止命令と改善命令を行った。同社は、派遣事業などの許可がない会社と支配従属関係にある者22人を派遣労働者として雇用したうえで、別の3社と「労働者派遣契約」と称する契約を締結、労働者を3社の指揮命令下で労働させていた。

派遣労働待遇決定 約9割が労使協定方式――厚労省

厚生労働省は、派遣労働者に対する「同一労働同一賃金」の適用に当たり、派遣元が選択した「待遇決定方式」についての実態を初めて明らかにした。全体の9割近い圧倒的多数の派遣元が「労使協定方式」を選択し、「派遣先均等・均衡方式」は1割に満たなかった。「通勤手当」は、9割弱が実費支給、「退職金」は、5割強が前払い方式を選択していた。労使協定の締結相手は、9割以上が「過半数代表者」だった。

コロナ禍の副業

厚生労働省は昨秋、副業をする際、本業と副業で働く時間を合算したうえで労働時間の規制の対象とする運用指針を示した。

大手企業では、社員が副業に充てる時間に制限を設ける例が多いが、実際に本業の時間外の労働時間を正確に把握することは難しく、働く側の自主管理に委ねざるを得ないのが現状。

経団連が2019年に行った調査では、副業・兼業への懸念として「社員の時間管理が困難」「健康確保が図れない」ことなどが挙がった。
雇用の形式ではなく、請負契約で副業する人も多い。請負は労働基準法に基づく労働時間管理の対象ではないが、働きすぎとなる懸念があり実効性のある防止策の検討が必要となる。

また、多くの企業は副業する社員に対し本業で得た秘密を漏らさない、同業他社で働かないといった条件を定めている。それでも情報漏洩などを危惧して認めない企業も多い。
一方、副業を容認する企業が増えている背景には、すべての社員に十分な給料で終身雇用を続けることが難しくなっているという側面もあるとみられる。

マイナビが昨年行った企業の人事担当者への調査では、企業側が副業制度を導入した理由について、「社員の収入を補填するため」との回答が43.3%と最も多く、副業容認が待遇引き下げなどの方便として使われないよう用心する必要もある。

以上