「短時間正社員制度」を導入――広島電鉄

広島電鉄㈱(広島県広島市中区、椋田昌夫代表取締役社長、1706人)は、多様な働き方を認めることによる労働力確保に向け、全正社員がいつでも理由を問わずに一定期間、労働時間を短縮することができる「短時間正社員制度」を今年9月に導入する。労働時間は個別に設定し、1週あるいは1日の最低労働時間も設けない。同時に、既に導入している「シニア社員制度」の雇用上限年齢を66歳から70歳へ引き上げる。基本給は同一労働同一賃金の考えに基づき、職種別の時給制は維持しつつ、時給換算した際に正社員の初任給と同等になるよう引き上げる予定とした。

総理に「高度プロ」等見直しを要請――連合・神津会長

連合の神津里季生会長は7月13日、国会に上程済みの改正労働基準法案を一部見直すよう、官邸に安倍総理を訪ねて直談判した。長時間労働を助長しかねない企画業務型裁量労働制の対象業務拡大や高度プロフェッショナル制度の創設部分についてで、政府与党の数の力が大きい中、秋の臨時国会への上程が見込まれる長時間労働是正に焦点を置いたもう一つの改正労基法案とセットで成立するおそれがあるためだ。連合傘下の一部産別からは要請書提出に反対意見が上がっている。

引上げ事業所の平均2.6%――厚労省・小企業の賃金改定状況

今年6月までに賃金改定を行った小規模事業所の改定率は、平均で2.6%に――。厚生労働省の賃金改定状況調査で明らかになったもので、前年調査に比べてわずかに0.1ポイント低下した。引下げや凍結した事業所も含めた平均では、1.2%だった。引上げ実施率が47.9%に高まり、改定しない事業所36.2%との差を広げている。1時間当たり賃金額は一般労働者が20円増の1,532円、パートが13円増の1,051円だった。

中途正社員を3分の1以上に――同友会が日本型雇用改革案

経済同友会(小林喜光代表幹事)は、「岩盤」としてほぼ原型のまま存在する日本型雇用慣行の改革案を提言した「人材の採用・育成・登用委員会報告書」を明らかにした。中途採用正社員(キャリア採用)の拡大、日本型職務記述書をベースとした納得性ある評価、年齢による一律退出の廃止などを進めて、未来志向の持続可能性の高い制度に改めていく必要があるとした。欧米方式ではなく、日本人の「心の態度」を生かして生産性向上をめざすものとしている。

ダイバーシティ推進室を設置――日本通運

日本通運㈱(東京都港区、齋藤充代表取締役社長、3万2094人)は、安定的な戦力確保と企業としての競争力強化に向け、社内に「ダイバーシティ推進室」を設置した。活動の柱に、女性活躍推進、専門職人材の育成、グローバル経営人材の採用・育成強化の3点を掲げている。まずは女性活躍推進に重点を置く方針で、女性社員が管理職をめざす「意識醸成」や、「継続就労支援策の拡充」などに取り組む。

コア能力を昇格・昇給に――マルハニチロ

マルハニチロ㈱(東京都江東区、伊藤滋社長)では、一般社員層に“コア能力”をベースとした等級体系を導入している。社員全員に求められる能力として4領域12要素を設定し、その発揮レベルを絶対評価して昇格、昇給と連動させるもの。等級別に作成している評価シートでは、各要素を判断するための視点4~6項目を示しており、上司と部下の間でコア能力が発揮された行動を確認する。基本給は上下限額のみを定める接続型の設計とし、等級別の昇給額テーブルで運用している。最低在級年数を超えた以降、わずかに減額するルールも入れている。

長時間労働者の情報を共有――労政審が産業医制度改革で建議

厚生労働省の労働政策審議会(樋口美雄会長)は、働き方改革を踏まえた「今後の産業医・産業保健機能の強化」について建議をまとめ、塩崎厚生労働大臣に提出した。過重な長時間労働やメンタル不調などのリスクが高まっているため、労働者自身が産業医・産業保健スタッフに直接健康相談できる態勢整備を図る考え。一定の長労働時間を行った労働者に関する情報を産業医へ速やかに提供する仕組みも整備するとした。厚労省では、同建議に沿った法整備を進める意向。

賞与9割減額は恣意的で人事権濫用――東京地裁が支払い命令

平成25年12月の賞与を前年同期比で93%も減額されたとして三菱地所グループのマンション管理会社(東京都中央区)の労働者が損害賠償を求めた裁判で、東京地方裁判所(合田章子裁判官)は、人事権濫用と判断し、減額分と慰謝料など約70万円の支払いを同社に命じた。ケアレスミスが多く勤務態度の劣悪さは認定したものの、賞与の額を46~93%減額するほどの重大な非違行為とまでは認められず、恣意的で著しく不合理とした。

 

事業段階別に3つの役割活用――セゾン情報システムズ

㈱セゾン情報システムズ(東京都豊島区、内田和弘社長)は、今年度から3つの役割タイプを使い分けるマルチジョブトラック制度の活用を始めた。従来の職種別の人材管理を廃止する一方、事業の創出/発展・改善/保守・管理というサイクルのどの段階で貢献すべきタイプかを定義することにより、会社・組織が掲げるビジョンへの共感・共鳴を促すのが狙い。評価制度はポテンシャルとパフォーマンスをそれぞれ5段階で絶対評価する体系へ移行し、基本給は両者のマトリクスで決定する。併せて昇・降格や採用の決済権を事業部門に委ね、事業ニーズへの迅速かつ柔軟な対応を図っている。

「優秀な人材の定義」

企業の人材採用にかかわる立場(経営者・役員・採用担当者・人事決裁者)にいる
400名に「あなたの会社の優秀な人材の定義」について聞いたアンケ-ト結果では
「定義づけすることが難しい」             ・・・・ 36.3%
「定義が確立されているとは思えない」  ・・・・   25.5%
となっており、かなり多くの企業で定義が決まっていない実体が明らかになった。
このことから、“どんな人材を採用するべきか”が明確にならず採用戦略への影響が
懸念される。また、育成戦略においても“どんな人材に育成するのか”という目標が
定められないため、的確な施策を打つことが難しくなる可能性が高い。

一方、定義づけされているケ-スでは、
「問題解決能力&論理的思考能力」        ・・・・ 30.3%
「コミュニケ-ションの高さ                            ・・・・ 25.8%
「志の高さ」                                ・・・・ 22.3%
「人間関係でのストレス耐性がある」           ・・・・   18.5%
「タイムマネジメント能力が高い」               ・・・・ 14.3%
「自分の考え方に強い自信を持っている」   ・・・・ 12.8%
などがあったが、企業ごとに人材が活躍できるフィ-ルドは異なるので100の会社があれば100の“優秀な人材像”があってもおかしくない。
我が社の“優秀な人材像”の明確化を改めて確認することの意義は大きい。

以上

成果や能力も考慮要素に――労政審が同一労働同一賃金で建議

労働政策審議会(樋口美雄会長)は、同一労働同一賃金の法整備に向けた「建議」を、塩崎厚生労働大臣に提出した。正規雇用労働者と短時間および有期契約労働者の間の待遇格差を不合理と判断する場合の考慮要素として、「職務の成果」「能力」「経験」を新たに例示するほか、比較対象を「同一の使用者」に雇用される正規雇用労働者とする。派遣労働者に関しては、一定水準を満たす待遇改善を労使協定の締結によって確保する方式を新たな選択肢に加えるべきであるとした。

人材育成支援 中小をネットワーク化――東京都

東京都は、中小企業に共通する人材育成上の課題を解決するため、地域での企業ネットワークを構築して支援を展開する「地域人材育成プラットフォーム化事業」を新たに開始した。職業能力開発センター2カ所が拠点となって1グループ当たり20社程度のネットワークを構築。5S活動の推進などグループ内で共通する課題を洗い出し、中小企業診断士などの専門家が人材育成プログラムの作成を支援する。効果的な取組みを行っている企業への視察も実施し、グループ内で先進事例を共有する。

SE男性のピーク44.2万円――厚労省・主要職種の賃金実態

システム・エンジニア男性のピークは44.2万円となり、大卒初任クラスの1.93倍に。平成28年賃金構造基本統計調査の職種別・所定内給与額によると、20~24歳に対するピーク時賃金の倍率は、男性では技術士2.05倍、大型貨物ドライバー1.26倍、機械組立工1.58倍などとなっている。女性ではシステム・エンジニアが1.70倍と高いが、福祉施設介護員などでは1割程度の差しかみられない。短時間労働者の時給では販売店員が941円、給仕従事者が958円となり、近年はともに年15円ペースで伸びている。