氷河期世代対策 正社員就職6000件超えに――大阪労働局

大阪労働局(木暮康二局長)は、昨年度からスタートした「就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」の取組み状況を公表した。ハローワークの職業紹介による正社員就職は6868件に上り、1年当たりの目標とする5600件を上回っている。若手の獲得が難しい企業や、氷河期世代に当たる年齢層が薄い企業で採用に至っているケースがめだつ。同労働局では昨年度の結果を踏まえ、今年度は面接会のさらなる充実をめざすとしている。

定年までの賃金支払命じる――東京地裁

㈱ディーエイチシーで働いていた労働者が、懲戒解雇処分を不服とした裁判で、東京地方裁判所(生田大輔裁判官)は処分を無効と判断し、同社に賃金計1200万円の支払いなどを命じた。労働者はタイムカードの改ざんなどを理由に平成30年7月に懲戒解雇となった。同地裁は「処分を正当化するほど企業秩序に重大な悪影響を生じさせるものとまでは認められない」と指摘。懲戒解雇を無効と判断し、定年となる令和元年11月までのバックペイ支払いを命令している。

天災対応 定期的に従業員訓練実施――東京都

東京都は、地震などの自然災害発生時における社員の帰宅抑制に積極的に取り組む企業の事例集を作成した。平成30年度に創設した「一斉帰宅抑制推進企業認定制度」の認定企業の取組みをまとめたもの。3日分の備蓄品を廊下やロッカーなどの空きスペースに分散して管理したり、緊急時に慌てずに行動できるよう定期的に訓練を実施したりしている企業がめだつ。災害時の初期行動などをまとめたカードを従業員に配布し、携帯させるケースも多い。

紛争解決援助制度 パワハラ関連が3割強――神奈川労働局・令和2年度集計

神奈川労働局(川口達三局長)が取りまとめた令和2年度の雇用均等関係法の施行状況で、労働局長による紛争解決援助件数計69件のうち、パワーハラスメントに関するものが3分の1の23件を占めていることが分かった。会社側が対策を講じたにもかかわらず、労働者から対応が不十分と申し立てられるケースがめだつとしている。仮に会社としての対応が十分だった場合、紛争解決に向けて再発防止策への指導、当時者が顔を合わせずに済む業務の振分けなどの助言を行っている。

元職場へ復職させる義務なし――東京地裁

福祉輸送専門のバス会社に勤める労働者が、休職明けに元の職場へ復職させなかったのは違法と訴えた裁判で、東京地方裁判所(三木素子裁判長)は元の職場に復職させる義務はないと判断した。労働者は精神疾患で休職に入り、休職中に降格処分を受け営業所から本社に配置転換となった。訴訟提起前に降格を不服とする労働審判を申し立て、降格前の賃金支払いを受ける地位のみを確認する審判が確定していた。同地裁は審判により配転は確定していると指摘。営業所でなく本社に復職させたとしても、復職配慮義務違反は認められないとしている。

労災保険特別加入 フードデリやIT人材も対象に――厚労省

厚生労働省は、労災保険の特別加入制度の対象範囲を急ピッチで拡大している。今年4月から芸能従事者、アニメーション制作従事者、柔道整復師など合計約30万人に対象を広げたのに続き、新たにフードデリバリーを含む自転車配達員やフリーランスの情報サービス事業者合計約30万人へ拡大する考えだ。働き方の多様化や社会経済の発展に向けてフリーランスを有効活用するのが狙い。就業保護を強めて安心して働ける基盤を整備する。

雇用のミスマッチ拡大、コロナ禍での円滑移動に壁

総務省が5月14日発表した労働力調査によると2021年1月~3月の失業者214万人のうち、
「希望する種類・内容の仕事がない」と答えた人は64万人と30%あった。

2019年の調査では20%台後半だったが、
新型コロナの感染拡大が雇用市場に影響を与えた2020年~2021年は3割台が続いている。
就職を希望するが求職活動をしていない人も全体の37%にあたる95万人が
「適当な仕事がありそうにない」と理由を答えている。

一方で、出産・育児や介護・看護のために求職活動をしていない人は大きく減った。
新型コロナウイルスの感染拡大が長期化する中で、
雇用吸収力が大きかった飲食や宿泊など一部のサ-ビス業では雇用が蒸発。
他方で医療・福祉などは直近の2021年3月も有効求人倍率が2~3倍とコロナ禍でも引き続き強い。

デジタル・トランスフォ-メ-ション(DX)に関連した職種も求人は堅調だが、
働き手の希望やスキルが一致せず、労働移動が進まない状況になっている。

2021年1月~3月期で失業が1年以上になった人は、前年同期比8万人増の65万人になった。
6カ月~1年未満の人も39万人と13万人増えており、
コロナ禍で職を失った人が再就職しづらい状況となっている。

以上

「管理監督者」で是正勧告受ける――熊本市

熊本市は、36協定を超えて時間外労働を行わせていたなど3つの法違反があり、熊本労働基準監督署から是正勧告を受けて改善を図ったと公表した。時間外手当の誤支給が発覚したほか、管理監督者に準ずる者として協定の適用外としていた人事職員について、同労基署から「除外対象に当たらない」と指摘を受け、月122時間に及んでいた時間外労働の改善を求められている。併せて同市職員が斜面から滑落した労働災害についても是正勧告を受けた。

建設業 賃金上昇率2%実現へ

国土交通省と建設業の業界団体は、建設技能労働者の賃金水準2%引上げに向けた取組みを本格化する。国交省はこのほど、総務省との連名で、ダンピング対策のさらなる強化などを地方公共団体に対して要請した。日本建設業連合会がおおむね2%以上の賃金上昇に向けた下請契約の締結に取り組むことを決議しているほか、全国建設業協会でも、下請会社への指導などを行うことを事業計画に盛り込んでいる。今年3月に開いた赤羽一嘉国交大臣と建設業4団体の意見交換会において、担い手の確保に向けておおむね2%以上の賃金上昇をめざすことを確認していた。

脳・心疾患労災認定基準 勤務時間の不規則性重視――厚労省

厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準を20年振りに見直す方針を明らかにした。労働時間の長さ以外の負荷要因である「勤務時間の不規則性」を総合的に考慮して業務上外を判断するとした。具体的には、拘束時間の長い勤務、休日のない連続勤務、勤務間インターバルが短い勤務、不規則な勤務・交替制勤務・深夜勤務――を挙げている。出張の多い業務においては、とくに4時間以上の時差を伴うケースは、過重負荷判断に当たって重視すべきとした。