時間外規制は段階的に――政府が働き方改革実行計画

政府は、平成29年度から10年間程度を見据え、全9分野19項目にわたる働き改革実行計画をまとめた。罰則付きの時間外労働上限規制を導入するための労働基準法改正案を30年度の国会に提出し、徹底した周知期間を設けた上で段階的に施行していく方針である。法施行後5年経過後の適当な時期に制度を見直す。同一労働同一賃金に関しては、パートタイム労働法など3法を改正する予定とした。労働者の副業・兼業の促進に向けては、29年度中にガイドラインを作成する。

働き方改革で1月分の労働時間削減へ――IT業界

年間総労働時間の1カ月分を削減へ――情報サービス産業協会(横塚裕志会長)は、労働時間の大幅な削減に向けた具体的目標値などを盛り込んだ「働き方改革宣言」を策定した。働く人の心身の健康の確保や、社会貢献と自己実現につながる「ワクワク感」に満ちた働き方を実現することを、業界を挙げて宣言するもの。業務の見直しなどを通じて「年次有給休暇取得率90%以上」「時間外労働の月平均20時間以下」を実現し、労働日数20日分(年間総労働時間の1カ月相当)の労働時間短縮をめざすとした。

職位変えず年10%ずつ漸減――日置電機の65歳定年制

日置電機㈱(長野県上田市、細谷和俊社長)は、今年4月から65歳定年制へ移行し、併せて70歳までの継続再雇用制度を導入した。年金支給開始年齢の引上げに連動して段階的に進めてきた定年延長の取組みを、一気に前倒ししている。60歳以降は基本給部分を年10%ずつ漸減するものの、定年までのトータルでは平均70%の水準を確保した。役職定年により60歳でライン長のポストからは外れるが、職能資格制度に基づく職位は変更しない。定年後の継続再雇用制度では、職種系統別に4種類の給与レンジを設け、個人のレベルを勘案して基本給を決定。人事考課は年2回の業績賞与に反映し、正社員と同じ月数をベースに±10%の差を付ける。週3日勤務や1日6時間勤務なども選択可能とした。

働き方改革へ徹底監督――厚労省が29年度労働行政運営方針

過重労働の恐れがある事業場に対し徹底監督を展開――厚生労働省は、平成29年度地方労働行政運営方針を明らかにし、長時間労働是正などの働き方改革を強力に推進する意向を明らかにした。問題となっている特別条項付き時間外労働協定などについて、労使当事者が正しく締結できるよう関係法令の周知・指導を強化するとした。各方面からの情報収集により、時間外・休日労働が1カ月80時間を超えている疑いのある事業場への監督指導も重視する。

営業時間を平均2時間短縮――リンガーハット

㈱リンガーハット(東京都品川区、秋本英樹代表取締役社長、社員=496人、パート・アルバイト=4,607人)は、4月から首都圏を中心に53店舗で営業時間を平均2時間短縮し始めた。従業員の安定した確保と、モチベーション向上をめざす。現場の負担軽減に向け、店舗へ自動釣銭機などの機械導入も推し進めている。

夏冬とも前年並み70万円強――経団連・東京経協「2016年賞与・一時金調査」

経団連・東京経協による「2016年夏季・冬季賞与・一時金調査」によると、大手・非管理職の平均支給額は夏季75.0万円、冬季73.0万円だった。対前年増減率では夏季が0.6%増、冬季は同水準となり、13年夏季以降の増加傾向にブレーキがかかっている。管理職は夏季が1.6%増の147.5万円とプラスだったが、冬季は1.1%減の138.4万円とマイナスに転じた。一方、平均支給額における考課査定分の割合は、非管理職34.0%、管理職48.5%に。業績連動方式の採用率が55.0%となり、調査開始以来の最高値を更新している。

「女性の就労に関する意識の変化」

2016年4月1日に女性の職業生活における活躍の推進に関する法律(女性活躍推進法)が施行され1年が経過しました。
実際の女性の社会進出はどのような状況なのか。2017年1月に内閣府の男女共同参画局が発表した「全国女性の参画マップ」によると、管理的職業従事者(会社役員、管理的公務員等)に占める都道府県別女性の割合の上位は、

1位 ・・・ 高知県   21.8%
2位 ・・・ 青森県   20.3%
3位 ・・・ 和歌山県  18.4%
4位 ・・・ 徳島県   17.4%
5位 ・・・ 岡山県、広島県、熊本県  17.2%
8位 ・・・ 京都府   16.6%
9位 ・・・ 長崎県   16.4%
10位   ・・・   東京都   15.8%
11位   ・・・ 大阪府   15.7%
で地方が上位を占める結果となっている。

同じく内閣府の「男女共同参画白書」での、女性の就労意識の変化を1992年と2014年での比較をみると、

□女性は職業を持たない方が良い                     ・・・   2.8% →  1.9%
□結婚するまでは職業を持つ方が良い               ・・・ 10.8% →  5.6%
□子供ができるまでは職業を持つ方が良い         ・・・ 11.1% → 11.6%
□子供ができてもずっと職業を続けるほうが良い・・・ 26.3% → 45.8%
□子供ができたら職業を辞め大きくなったら再び・・・ 45.4% → 32.4%
職業を持つ方が良い
となっており、“子供ができてもずっと職業を続けるほうが良い”とするのが大幅に増え半数近くに上っている。しかし、待機児童など育児を行いながら働くには、まだ環境が整っているとは言い切れないのが現状。

以上

ダイバーシティ 企業向け行動指針を策定――経産省

経済産業省は、人材の多様性を生かし、中長期的に企業価値を生み出し続けるダイバーシティ経営を推進するため、企業の実践すべき取組みを示した「ダイバーシティ2・0行動ガイドライン」を策定した。ダイバーシティを経営戦略に組み入れつつ達成目標と工程表を策定することや、経営トップをリーダーとする推進体制の整備を取組みの第一歩に挙げている。人事制度の見直しや部下の多様性を生かせる管理職の育成も必要とした。

関西スーパーマーケット/評価と時間数でパート賞与

㈱関西スーパーマーケット(兵庫県伊丹市、福谷耕治社長)は、1年契約のパートタイマーに1級から3級の3段階の等級体系を適用し、年1回の定昇、年2回の賞与支給で報いている。人事考課として半年ごとに約20項目を採点したうえ、5段階の相対評価に基づいて標準標語2号の昇給を実施。賞与では等級別の単価に半年間の稼働時間数を乗じ、さらに評価によって0.9倍から1.1倍で処遇している。最上位等級に正社員転換の挑戦機会を与える一方、レジ部門に限っては役職者への登用も行うなど、職域拡大も進めている。

3段階で人事考課実施――オーティーエス/パート活躍策

ファッション関連の商品の検品や値付け、配送作業などを行う㈱オーティーエス(東京都江戸川区、田中優一郎代表取締役社長、760人)は、全社員の8割を占めるパート社員の活用に向け、研修や評価制度を充実させている。評価は3段階で行い、翌年の時給に反映。長く働き続けることができるよう、勤務シフトの調整にも力を入れる。正社員同様の永年勤続表彰制度も導入。これらの取組みが評価され、「平成28年度パートタイム労働者活躍推進企業表彰」の奨励賞に輝いた。

超大手を300円ほど上回る平均1300円台に――中堅クラスの17春闘

金属労協(JCM・相原康伸議長)の17春闘集中回答日(3月15日)とほぼ同時期に業界大手を含む中堅企業の回答も示され、本紙の単純集計によると、ベースアップを含む賃金引上げを行った110社の平均は1,352円となった。前年(1,281円)よりやや高い水準で推移しており、超大手クラスの賃上げ水準を300円ほど上回っている。前年と比較可能な同一企業の水準もだいたい同じ状況で、人手不足を背景に、労使が積極的交渉姿勢に傾いていることがうかがえる。

勤務間インターバル制度・試験導入を合意――ゼンショーホールディングス

「すき家」などを展開する㈱ゼンショーホールディングス(東京都港区、小川賢太郎代表取締役社長、正社員=7,563人)は、社員に勤務間の休息時間を確実に与える「勤務間インターバル制度」を試験的に一部店舗で導入する方針を明らかにした。今春闘で労使が合意し、社内に設置した働き方改革を促す第三者委員会の提言を受けてのもの。24時間営業は維持しながら、11時間の休息を確保できるようにしていく。今春闘では他にも、ニトリなどが同制度の導入を合意している。

正社員・男性のピーク44.1万円に――厚労省・雇用形態別賃金

平成28年賃金構造基本統計調査の雇用形態別集計によると、フルタイム勤務者の所定内給与のピークは正社員・男性が50~54歳44.1万円、非正社員・男性が60~64歳25.5万円だった。20~24歳に比べて2.08倍まで高まる正社員に対し、非正社員は1.35倍となっている。短時間労働者・女性の時間給は、正社員1,394円に対し非正社員が25%低い1,040円だった。勤続5年以上の非正社員では雇用期間の定め無しが1,076円、定め有りが1,075円となり、格差がみられなかった。

「女性の活躍推進についての男性の本音」

男性250人を対象に、ヘイズ・スペシャリスト・リクル-トメント・ジャパンが女性活躍推進についての意識調査結果を発表した。

□女性を登用することのメリットは
①優秀な人材の獲得につながる   ・・・ 68%
②製品開発やプロセスなどにおけるイノベ-ションの促進につながる ・・・ 57%
③労働力人口の増加につながる   ・・・ 54%
④企業イメ-ジの向上につながる   ・・・ 42%
⑤生産性の向上につながる      ・・・ 25%

□女性を登用することへの不満、不安は
①女性だからという理由で登用され能力が伴っていない            ・・・ 41%
②結婚育児などて離脱するリスクがあり重要な仕事を任せづらい   ・・・ 31%
③育児中の女性は重要な仕事を任せづらい                ・・・ 30%
④セクハラやパワハラに気を遣いコミュニケ-ションが取りづらい         ・・・ 25%
⑤未婚の女性や男性同僚への負担が大きい                   ・・・ 23%

以上