時間外限度基準を罰則付き法律に――厚労省・労政審が建議

厚生労働省の労働政策審議会(樋口美雄会長)は、現在、大臣告示に留まっている時間外限度基準を法律に格上げし、罰則をもって強制力を持たせるべきであるとする建議をまとめた。臨時的な特別の事情がある場合は、例外とするが、その際においても年720時間、単月では休日労働を含み100時間未満を限度とする。自動車の運転、建設業、新技術・新商品の研究開発、医師に関しては適用を緩和する。法施行には、十分な準備時間を設けるとした。

働き方改革 自らの手でより良い内容へ――連合・「36協定」対応中心に

連合は、現場で働く当事者自らの手で働き方改革をより良い内容に仕上げていくスタンスで今後の動向に対応する。長時間労働是正キャンペーンのキックオフ集会をこのほど開催して意思統一を図っており、とりわけ重要になる「36協定」について、広く世間一般を念頭に適切な対応の仕方を周知していく方針を決めた。同一労働同一賃金ガイドライン案の「手引き」もこのほどまとめて公表、同協定締結当事者の考え方にも改めて踏み込む構えをみせている。

総合職・大卒60歳で2,370万円――経団連・東京経協「モデル退職金調査」

経団連と東京経協が共同実施した退職金・年金調査によると、60歳退職金は総合職の大卒2,370万円、生産・現業労働者の高卒1,820万円だった。2年前の前回調査からめだった変化はみられず、支給月数では順に40.6カ月、44.2カ月となっている。算定方式ではポイント方式が65.4%を占め、全体の8割が賃上げと連動しない別建て方式を採っている。年金制度の導入割合では、増加傾向が続く確定拠出年金(企業型)が57.4%に伸び、次いで高い確定給付年金(規約型)50.2%との差を広げている。マッチング拠出の導入率は30.2%から35.8%に高まった。

時間外上限規制 5年後の見直しで緩和を――日商が意見書

日本商工会議所・東京商工会議所(三村明夫会頭)は、政府が公表した「働き方実行計画」に対する考え方を取りまとめ、塩崎厚生労働大臣などに提出した。罰則付き時間外労働の上限規制の施行について、中小企業の体制が整うまで十分な猶予期間を設けるよう求めたほか、施行5年後に見直しをする際は、規制をできるだけ緩和する方向で議論を進めることが重要と訴えている。高齢者の就業促進の方向性では、定年を一律に引き上げることに反対する姿勢を改めて示した。

 

休息時間は「原則11時間」――連合の政策・制度要求と提言

連合は、6月1日に熊本市で開催した中央委員会で、向こう2年間の「政策・制度要求と提言」を決定し、17春闘中間まとめも行った。雇用・労働政策では、「原則11時間」と明記した勤務と勤務の間の休息時間(勤務間インターバル)規制の導入や法定年次有給休暇の「6カ月継続勤務要件」の廃止を掲げたほか、連続勤務日数規制の導入検討なども盛り込んだ。来春から雇用義務制度の対象に加わる精神障害者(発達障害者を含む)については、「チーム」での就労支援に向けた環境整備を図る考え。

 

夫の給料44.2万円へ微減――日本生協連・生計費調査

日本生活協同組合連合会の2016年全国生計費調査によると、サラリーマン世帯の1カ月当たりの実収入は71.8万円となり、夫の給料は44.2万円だった。実収入が前年比900円増と横ばいだったのに対し、夫の給料は2,000円弱落ち込んでいる。一方で妻の給料は2,500円増の7.4万円、パート収入は1,100円増の2.6万円と改善し、実収入に占める妻の就労収入の割合が16.0%に高まった。上昇が続く税・社会保険料の合計は1.3%増の15.5万円、実収入に占める割合は21.6%となっている。

勤務間インターバルを努力義務化――厚労省が検討始める

厚生労働省は、勤務間インターバル制度を普及させるための具体的な検討に入った。労働時間等設定改善法の改正により一定の休息時間の確保を努力義務化する予定である。調査では、同制度を導入している企業割合は2%程度、検討を予定している企業を含めても10%に満たない状況にある。すでに導入済みの大手企業のケースを参考に制度設計する方針。今年度新設した助成金の活用拡大も図る。

定年廃止で200万円支給――埼玉県

埼玉県は、高齢者雇用の拡大に向けた取組みを強化するため、今年度から「働くシニア応援プロジェクト」を展開する。定年制を廃止した企業などを対象に最大200万円を支給する助成金を創設したほか、昨年度スタートしたシニア活用に関する企業認定制度に新たなランクを設けた。シルバー人材センターによる労働者派遣事業の機能強化も図り、ホワイトカラーの仕事に従事してきた高齢者が経験を活かせる業務を開拓していく。

65歳までの選択定年制導入――ホンダ

本田技研工業㈱(東京都港区、八郷隆弘社長)は、60歳から65歳の間で自らリタイア時期を決められる選択定年制を導入した。60歳到達の半年前に退職時期を自己申告するが、その後も年1回、短縮・延長の機会を設けている。従来の再雇用制度では賃金水準が現役時代の50%程度にまで下がっていたが、組合員層には新たに一律80%に圧縮した基本給表を整備。等級格付けは維持し、従来同様に人事評価による昇降給を行う。併せて65歳まで積増しを行うかたちに退職金カーブを見直した。給与原資の再配分を図った「総合的労働条件の見直し」の1つとして、給与体系の一部改定、割増賃金率変更などと併せ、移行原資を確保している。

「残業削減の即効薬は1つにあらず」

日本労働組合連合会(連合)が現場社員1775人に対し「どうすれば残業を減らせるかと思うか」について実施した調査が発表された。

1位  適正な人材配置を行う             55.6%
2位  上司による労働時間の適切な管理      25.7%
3位  ワ-クライフバランスの意識改革          24.0%
4位  会社との話合いで職場環境を改善      23.0%
5位  意味のない会議やミ-ティングを減らす   22.4%
6位  残業規制の法律、ル-ルを新たに作る   21.1%
7位  労働者自身が仕事にメリハリをつける      13.9%
8位  長時間労働が評価される風潮をなくす    13.5%

「適正な人材配置」が群を抜いて1位になっている。残業が多い現場で社員を増やせば各自の負担は減るはずだが、その業務に特定の技術や資格、経験が必要な場合は簡単には増やせないのと、人手不足が顕著な昨今では人員補充がそもそも難しい。
2位以下が団子状態なのは、残業を減らす正解は1つでないことを意味している。

以上

平成30年大卒求人初任給 前年上回る水準提示が多数――労働新聞社調査

平成30年3月卒業見込みの大学生を対象にインターネットなどで公開されている求人初任給の水準を労働新聞社が調べたところ、売り手市場の下、前年水準を上回る金額提示が多い実態が分かった。技術系と総合職では21万円を超す水準が定着した感があり、営業プロパーなど収益向上の鍵を握る職種の平均は23万円を超えている。給料の多寡を学生心理に訴えたい企業の心理が透けてみえる。

来年元日の全店休業めざす――全国携帯電話販売代理店協会

一般社団法人全国携帯電話販売代理店協会(竹岡哲朗会長)は、携帯電話キャリア企業へ定休日設定や営業時間短縮などを訴えたり、集合研修を行うことで、従業員満足度(ES)を上げて職場への定着率を高めようと活動している。「来年の元日は全店休みにしたい」と話しており、販売代理店の労働環境を改善していく。女性活躍の好事例共有にも取り組む。

専門・技術職28.5万円に――厚労省・28年度下半期の中途採用者賃金

昨年度下半期に中途採用された常用者・男性の賃金は、専門的・技術的職業28.5万円、事務的職業31.6万円、生産工程、労務の職業22.9万円などとなった。27年度下半期に比べると全体では0.4%の微減となるなか、事務的職業で1.6%増、生産工程、労務の職業で0.9%増などと伸びている。女性は全体平均で2.1%増と改善し、前年同期比では4年連続のプラスだった。なかでも事務的職業が3.0%増の20.8万円、販売の職業が2.3%増の17.8万円と堅調に伸びている。