200人を1年半無許可派遣――群馬労働局

群馬労働局(丸山陽一局長)は、無許可であるにもかかわらず自社で雇用する労働者約200人を1年半にわたり派遣していたとして、㈱マイスタッフ(同県太田市〈当時〉)と同社代表取締役を、労働者派遣法第5条(労働者派遣事業の許可)違反の疑いで刑事告発したことを明らかにした。同県太田警察署による書類送検を経て、公表している。労働者はすべてプラスチック製品組立加工業を営む1社へ派遣していた。許可を得ているか否かの調査を怠ったとして、派遣先にも是正指導している。

100%の賃金支払いを命令――東京高裁

飲食店で働いていた労働者が、自宅待機を指示され連絡を待っていた8カ月超の賃金支払いなどを会社に求めた裁判で、東京高等裁判所(秋吉仁美裁判長)は、100%の賃金請求を認め、350万円の支払いを命じた一審を維持する判決を下した。会社は控訴審で、自宅待機命令以降、労働者がいつまで仕事をしていなかったのかが明らかでなく、失業保険を受給していた場合はその分は減額すべきと訴えた。同高裁は減額にかかる事実は会社が主張すべきで、労働者が賃金や失業保険を得ていたとみられる事情もないとして、同社の主張を退けている。

建設業 社保未加入者の入場認めず――国交省

国土交通省は、建設業の社会保険加入における元請・下請企業の取組みの指針となる「下請指導ガイドライン」の改正案をまとめた。今年10月の改正建設業法施行で、建設業の許可要件に社保加入が加わることを受けた措置。元請は、保険未加入の作業員に対し、原則として現場への入場を認めない取扱いを徹底するとした。例外には、施工に欠かせない特殊技能を保有しており、入場を認めなければ施工が困難になる場合などを挙げた。

旧労契法20条 最高裁が5つの裁判で弁論

最高裁判所は、非正規労働者と正規労働者の待遇格差が問題となり、旧労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)の適否が争点となった5つの事件について、9月に弁論を開くことを決めた。弁論を行うのは佐賀・東京・大阪の日本郵便事件とメトロコマース事件、大阪医科薬科大学事件の5つで、高裁判決は変更になるとみられる。旧労契法20条については、平成30年に2つの最高裁判決が出ているが、事例判断に留まる部分も多く、予測可能性の低さが指摘されていた。最高裁が新たにどのような基準を示すかに注目が集まる。

中小の女性活躍後押し――東京都

東京都は、女性の活躍推進に取り組む都内中小企業への支援を強化する。取組みの意義・メリットや一般事業主行動計画の策定方法に関する研修会を開催するほか、研修会受講企業を対象に、行動計画の策定から目標達成に向けた実践までを専門家が個別に支援する「フォローアップコンサルティング」を実施する。女性管理職の登用を拡大するため、管理職を志す中小企業勤務の女性従業員や男性管理職向けの研修も開始する。

Society5.0 再教育へプログラム開発――厚労省

Society5.0の実現に向け、人材のリスキリング(再教育)とスキルアップ(学び直し)の支援を強化へ 厚生労働省は、今後の人材開発政策の在り方について方向性を明らかにし、資本と「人」へのさらなる投資が不可欠と訴えた。IoT、センシング、ビッグデータ、AI、ロボットなど、技術革新の進展に対応し、デジタル技術を利活用できる人材を育成するため、職業訓練プログラムの開発、職業訓練分野におけるICT活用の拡大などを進めるべきであるとしている。

タイムカード提出拒み送検――松阪労基署

三重・松阪労働基準監督署(古市泰久署長)は、違法な時間外労働の実態を隠すため、臨検の際に虚偽の陳述をし、営業部長である労働者1人のタイムカードを提出しなかったとして、コンクリート製品の製造・販売業の㈱大台(三重県多気郡)と同社代表取締役および取締役の計1社2人を、労働基準法第101条(労働基準監督官の権限)違反の疑いで津地検松阪支部に書類送検した。管理監督者であるためタイムカードを使用していないと主張していたが、実際はタイムカードでの時間管理を行っており、同労基署は管理監督者性を否定している。

人手不足業界へ集中支援――東京都

東京都は、建設業や製造業など人手不足分野の業界団体を通じて都内中小企業の人材採用を後押しする「業界別人材確保支援事業」を開始する。採用・育成に関する基礎知識の習得や多様な人材活用など、事業に参加する業界団体が選択したテーマに沿ったセミナーや個別コンサルティング、採用マッチング支援を各団体の会員企業に対して実施していく。業務に必要な資格・免許の取得支援やスキルアップ研修といった団体独自の取組みを対象に、費用の一部を補助する助成金制度も創設する。

契約申込みみなしの説明徹底――厚労相

厚生労働省は、審議会で行っていた労働者派遣制度の見直しに関する中間報告をまとめた。平成24年と27年の改正事項の普及状況は、「全体としておおむね定着が図られている」と評価している。改善すべき事項として、日雇派遣の年収要件と例外業務のあり方のほか、派遣労働者へのキャリアコンサルティング内容の説明義務化、労働契約申込みみなし制度の雇入れ時説明の徹底などを示した。

第242話「新型コロナ関連の経営破綻」

東京商工リサ-チの調べでは7月13日時点で「新型コロナ」関連の経営破綻は
2月2件、3月22件から4月・5月は80件台に急増、6月は103件と増加傾向に
ある。緊急事態宣言解除後、首都圏を中心に感染者数が再び増加しており、
企業は「新しい生活様式」への対応が求められている。
一方、コロナの感染拡大が収束に向わない現状から今後は、経営体力の乏しい企業の脱落を中心に破綻の増勢が続くと見られる。

[都道府県別状況] ~ 東京都が78件と突出し、大阪府30件、北海道20件と続き、以下静岡県15件、愛知県と兵庫県が14件、福岡県11件、福島県10件で10件以上の発生は8都道府県。

[業種別状況] ~ 来客数の減少、休業要請などが影響した飲食業が51件で最多。
次いで、インバウンド需要消失や旅行・出張の自粛が影響した宿泊業と、百貨店や小売店の休業が影響したアパレル関連(製造、販売)が40件と並び、消費関連の業種で突出している。

[負債額状況] ~ 倒産した255件のうち最多が1億円以上5億円未満で109件(42.7%)。
次いで、1千万円以上5千万円未満52件(20.3%)、5千万円以上1億円未満が35件 (13.7%)、10億円以上が34件(13.3%)、5億円以上10億円未満が25件(9.8%)の順。
負債1億円未満は87件(34.1%)を占めるが、100億円以上の大型倒産も3件発生。
小・零細企業から大企業まで「新型コロナ」関連の倒産が広がっている。

[形態別状況] ~ 破産が83.2%で最多。次いで民事再生法11.2%、取引停止処分が5.4%。8割以上が消滅型の破産を選択しており、業績回復見込みが立たず、不振が続いていたところに新型コロナのダメ-ジを受け、再建意欲やメドが立たない脱落型の倒産が大半となっている。

以上