社会福祉施設 2割が休憩時間確保せず――彦根労基署

滋賀・彦根労働基準監督署(枡谷佳幸署長)が管内の社会福祉施設全387事業場に求めた自主点検の結果によると、休憩時間を確保していない事業場が約2割に上ることが分かった。理由として「施設利用者の状況に左右されるため」と答えた事業場が約8割を占めている。安全衛生面を尋ねた項目からは、利用者サービスに関するヒヤリハット活動のみ実施している事業場が、全体の3割を占める実態も浮かび上がった。同労基署は、利用者に重点が置かれ、労働者への対策が不十分なことを問題視し、広く注意を呼び掛けている。

就業規則の周知を否定――東京高裁

派遣会社でトラック運転者として働いていた労働者2人が未払い残業代の支払いなどを求めた裁判で、東京高等裁判所(石井浩裁判長)は「運行時間外手当」などを固定残業代と認めた一審判決を変更し、同社に計380万円の支払いを命じた。手当は就業規則で残業への対価と明示されていたが、周知が図られておらず、労働契約の内容にならないと指摘。通常の労働時間の賃金に当たるため、残業代が支払われていないと判断した。同社は就業規則を額縁に入れ掲示していたと主張したが、同高裁は「かなりの厚さ(45枚)のあるものを額縁で掲げるのは不自然」と退けている。

雇調金不正受給 261件32億円超える――厚労省

厚生労働省の集計によると、新型コロナウイルス感染症の拡大によって特例的に手厚い措置で雇用を支えてきた雇用調整助成金などの不正受給が、令和3年末までに261件、32億円超に達していることが分かった。雇用関係がない者を雇用関係があるように装ったり、休業していないのに休業を行ったように見せ掛けたケースなどが典型的。最近の特徴として、不正受給を扱う一般報道を見た従業員などからの通報が増加していることや不正事案の複雑化・巧妙化による調査の長期化などが指摘されている。

小規模・男性でピーク587万円――国税庁 民間給与実態(令和2年細部集計)

国税庁の民間給与実態(令和2年分)によると、従業員30~99人の小規模事業所に勤務する男性の平均年間給与は、586.7万円がピークだった。中規模の500~999人においては1.21倍の711.8万円、大規模の5000人以上では1.49倍の874.2万円となっている。20~24歳の水準に対するピーク時の指数は、小規模が209、中規模が230、大規模が356で、賃金カーブにも規模間格差がみられた。資本金2000万円未満の株式会社における平均年間給与は、男性・正規が424.9万円、女性・非正規が137.1万円だった。

無効な36協定で違法残業――岩国労基署・送検

山口・岩国労働基準監督署(赤尾裕一郎署長)は、ベトナム人技能実習生2人に違法な時間外・休日労働を行わせたとして、縫製業のY・M㈱(山口県岩国市)と同社の労務管理責任者を、労働基準法第32条(労働時間)と第35条(休日)違反の疑いで山口地検岩国支部に書類送検した。時間外・休日労働は最長の実習生で月135時間に上り、そのうち15時間が2日間の休日労働による。同社から36協定の届出はあったが、内容を理解していない実習生を一方的に過半数代表に選んでおり、無効と判断した。

無期雇用転換権利 使用者に明示義務化――厚労省改正案

厚生労働省は、多様化する労働契約のルールに関する検討会(座長・山川隆一東京大学大学院教授)の報告書(たたき台)を明らかにした。労働契約法第18条規定の無期転換ルール見直し案を示している。要件を満たす労働者に対して、無期転換申込機会の通知を使用者に義務付けるべきであるとした。無期転換申込権発生前の雇止めを抑制する方策として、労働契約の更新上限を新たに設ける場合、その理由の説明を使用者に義務付けるなどとしている。

JAM ベア要求4700円に

各産業別労働組合が統一要求日を迎え、昨年を上回る賃上げ要求の状況が明らかになってきた。機械・金属の中小労組が8割を占めるJAMでは、平均要求額が8635円(3・39%)となり、同一組合による比較で前年を840円上回っている。ベア等の改善分は規模計で4647円、100人未満に限れば4969円で、中小が大手を上回る傾向が続いている。流通、サービス関係の労組が加盟するUAゼンセンでは、平均要求額が8855円(3・25%)となり、前年比では731円上回った。短時間労働者の要求は、時給ベースで37・0円(3・69%)となっている。

運送業 拘束時間短く偽り送検――魚津労基署

富山・魚津労働基準監督署(岡利光署長)は、運転者の拘束時間などの記録を求めた際、虚偽の運転日報を提出した運送業者を富山地検に書類送検した。運転者35人の2カ月分の日報で荷積作業時間などを偽り、実際の拘束時間より合計2047時間38分短く記載していた。改善基準告示違反により地方運輸局から営業停止などの処分が下されるのを恐れ、告示が定める1日13時間、月293時間の限度を超えないよう、事務員ら他の労働者が乗務したとみせかけるなどしていた。

カスハラ 行為態様別に対処策――厚労省

厚生労働省は、カスタマーハラスメント対策企業マニュアルを作成した。顧客などからの暴行、脅迫、ひどい暴言、不当な要求といった著しい迷惑行為に、事業主がどう対応すべきかを提示している。事業主の基本方針・基本姿勢の明確化と従業員への周知・啓発、従業員(被害者)のための相談体制整備、実際にカスハラが発生した場合の対処方法などをあらかじめ定めておく必要があるとした。時間拘束型、リピート型、暴言型などカスハラの態様別対処方法も明記している。

高卒就活の併願可能に――大阪府・大阪労働局など

大阪府は令和5年3月新規高卒者の就職活動について、今年9月5日の応募開始日から1人2社まで併願できるようにする。大阪労働局などと検討会議を開いて申し合わせた。高卒採用の1次募集は、全国的に「1人1社制」が慣例で、複数社に応募できるのは10月以降のいわゆる2次募集からのみ。応募開始日から併願可能なのは秋田・沖縄・和歌山の3県に留まっていた。こうした慣例は、高卒者の早期離職率が大卒者に比べて高い要因として指摘されていることなどから、同府は見直しを検討していた。

年休時季指定 始期・終期は明確性必要――東京地裁

建材などを扱う商社で働いていた労働者が、年次有給休暇の取得を不当に拒否された結果、休職期間が短くなり自然退職になったと訴えた裁判で、東京地方裁判所(小野瀬昭裁判官)は労働者の請求を全面棄却し、休職期間満了による退職を有効と判断した。労働者は休職前に年休消化を申し出ており、取得が認められていれば休職期間が伸びていたと主張したが、同地裁は年休の時季指定は「始期・終期が明確であることが必要」と指摘。労働者の申し出は「3日からは年休をいただき、その後は病欠でお願いします」というもので、終期の明確性を欠くと評価した。

デジタル人材 年間1万人を確保・育成――東京都・能力開発計画案

東京都は、令和3~7年度を対象とする第11次職業能力開発計画案をまとめた。デジタル社会を担う人材の計画的な確保・育成を重点施策に掲げ、年間1万人のデジタル人材の確保・育成を図るとした。若者・女性などを対象とした職業訓練を強化するほか、中小企業が行う従業員のリスキリング(再開発)に対する支援などを展開していく。中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の課題把握から、リスキリング方針の策定、講習の実施などについて一体的な伴走型支援を新たに開始する。

第264話「23年卒の採用見通し」

リクル-トが発表した2023年新卒者の採用に関する調査で、大学生・大学院生の採用が22年卒に比べて「増える」と答えた企業が10.3%で、「減る」の3.9%を上回った。
22年卒の調査では「減る」が11.6%と「増える」7.7%を上回っていた。

23年卒の採用を業種別で見ると、飲食店・宿泊業は「増える」の回答が「減る」を14ポイント上回った。
22年卒の調査では「減る」が「増える」を15.7ポイント上回っており、コロナ禍で採用を抑制していた反動が大きいと言える。

他にも情報通信業で10.9ポイント、機械器具製造業で10.6ポイントそれぞれ「増える」が「減る」を上回った。

従業員規模別では500人以上の企業で「増える」が21.4%、100人未満で8.5%となり、いずれも「減る」を上回った。
特に大企業での採用意欲が回復している傾向が見られた。

また、採用戦略として初任給の引き上げ実施、もしくは予定しているかでは「既に取り組んでいる」が21.8%、「今後取り組む予定である」が22.7%だった。
業種別では、建設業と小売業で「既に取り組んでいる」「今後取り組む予定だ」と回答した割合が、それぞれ52.4%、52.9%と多かった。

人手不足に対して初任給などの待遇の改善で対応する動きが高まっていることがうかがえた。

以上