平均妥結額1.1万円に――厚労省 5年民間主要企業賃上げ

厚生労働省の令和5年春季賃上げ集計によると、民間主要企業における定期昇給込みの平均妥結額は1万1245円だった。
労使交渉前の平均賃金31.3万円に対する賃上げ率は3.60%となっている。
妥結額が1万円を超えるのは平成5年以来30年ぶりで、産業別でも20業種中13業種で1万円台だった。
最も高い造船の1万8144円と、最も低い電力・ガスの2410円の間では1.5万円超の開きがあった。
化学は1万3929円、自動車は1万2225円などとなっている。

令和4年度監督指導 4割超で違法長時間労働――厚労省

厚生労働省は、長時間労働が疑われる事業場を対象に令和4年度に実施した監督指導結果をまとめた。
4割を超える事業場で上限規制違反など違法な時間外労働が発覚している。
違反率は3割強だった前年度を上回った。
厚労省は「コロナ禍で雇用を制限していたが、経済活動が戻ってきたため」とみている。
労働時間の把握や健康診断を実施していないなど、健康障害防止措置に違反している事業場も3割近くに上った。

休職制度 「療養専念義務」規定を――産保法学会

一般社団法人日本産業保健法学会(代表理事・鎌田耕一東洋大学名誉教授)は産業保健の現場から寄せられた法的課題を解説したQ&Aを公表した。
精神疾患で休職中の従業員が、趣味の活動をしていた場合の対応など6つの質問に回答している。
上記の問いに対しては、ただちに懲戒処分を行うのは適当でなく、まずは就業規則に療養専念義務を規定し、義務から逸脱する行動を取る場合には、事前に医師・会社の許可を得るようにするのが重要とした。
休職期間中に趣味の活動をSNSで発信する行為は、一般的な服務規律である「風紀紊(びん)乱」に当たる可能性があるとしている。

第305話「ク-ルビズ実践、中小は4割」

帝国テ-タバンクの調査(7月7日~11日インタ-ネット1277社から回答)によると、夏の節電対策としてク-ルビズを実践している中小企業は約4割にとどまっていることがわかった。
大企業の7割に比べ大幅に少なかった。
電気料金が高騰する中、効果的な節電対策は急務になっているが、「大企業は社内の制度として取り組むケ-スが多いが、中小企業では社員それぞれの判断にゆだねられる場合が多い」と分析している。

回答結果(複数回答可)
 ◇ク-ルビズを実践している
    大企業・・・70.1% 中小企業・・・44.7% 小規模企業・・・36.2%
 ◇こまめな消灯を実施している
    大企業・・・74.5% 中小企業・・・66.4% 小規模企業・・・66.7%
 ◇推奨する冷房温度
    セ氏26度・・30.7% セ氏27度・・22.9% セ氏25度・・18.7%

以上

地域最賃 引上げ額過去最大の41円

令和5年度の地域別最低賃金引上げ額の全国加重平均は過去最大の41円

中央最低賃金審議会(藤村博之会長)は、最低賃金引上げの「目安」について答申した。
目安どおりに引き上げられた場合の上昇率は4・3%、全国加重平均額は1002円となり、初めて1000円を突破する。
引上げ額は過去最大だった昨年の31円(3・3%)を大幅に上回った。
昨年度の最低賃金引上げ以降の消費者物価指数の伸び率が4・3%と、最賃の伸び率を大きく上回ったことなどを重視している。

リスキリング推進 必要な人材像の把握促す――広島県

広島県内の公労使で構成するリスキリング推進検討協議会(会長・湯﨑英彦広島県知事)は、報告書をまとめ、DXの実践に当たり、企業が必要な人材像を把握することが重要と提言した。
企業の取組みを促すため、部門ごとに必要なスキルをまとめた整理表を示した。
今後、自社の状況を簡単に確認できる診断ツールを提供する。
診断結果を基に、伴走支援などの支援策につなげていく。

500ポストを全5等級で格付け――群馬銀行・来年6月に新制度

㈱群馬銀行(群馬県前橋市、深井彰彦頭取)は、来年6月に人事制度を改定し、管理職層に職務基準の仕組みを採用する。
現在500人いる管理監督者のポジションを職務評価し、全5等級に格付ける。
年功的要素を残していた職能資格を全廃して範囲職務給一本の体系に改め、5段階評価に応じて率による昇降給を行う。
200~300種類の職務記述書を設け、ポジションごとに必要な業務経験やスキルを全社的に明示する。
人事権は保持しつつ、個人のキャリア形成に沿って“適所適材”を図っていく。

第304話「違法残業1万4147事業所」

厚生労働省は全国の労働基準監督署が2022年度に立ち入り調査した3万3218事業所のうち、43%にあたる1万4147事業所で違法な時間外労働(残業)が見つかり、是正勧告を行ったと発表。
調査は、長時間労働に関する内部からの情報提供や、従業員からの労災申請があった事業所などを対象に実施。
違法残業が確認された事業所は、新型コロナ禍で休業する事業所が多かった20年度(8904事業所)、21年度(1万986事業所)に比べて大きく増加した。
22年度に違法残業が確認された事業所のうち、「過労死ライン」とされる月80時間超の残業が行われていた事業所は5247事業所(37%)だった。
月100時間超が3320事業所(23%)、月200時間超も168事業所(1%)あった。
業種別では、小売業などの「商業」が最も多く3291事業所(23%)。
「製造業」が2802事業所(20%)、「接客娯楽業」1491事業所(11%)が続いた。
厚労省では「感染収束に伴い、事業活動を再開させた企業が増え、違法残業も多くなり、長時間残業の解消に向け、企業向けの啓発活動などを強化していく」としている。

以上

介護職員・基本給 2700円増で18.7万円に――厚労省 介護従事者処遇等調査

厚生労働省の令和4年度「介護従事者処遇状況等調査」によると、ベースアップ等支援加算を取得している事業所で働く介護職員(月給制・常勤)の平均基本給は18.7万円、手当および一時金を加えた平均給与額は31.8万円だった。
それぞれ1年前と比べて2700円、1万7490円伸びている。
勤続年数別の平均給与額は、1年28.2万円に対し、5年は30.8万円、10年は32.6万円だった。
昨年1年間に給与水準の引上げを行った事業所のうち、ベアに当たる「給与表改定」と回答した割合は22.2%に留まる。

未払賃金 2万社で79億円支払う――厚労省

是正指導によって企業から支払われた未払い賃金は計79億円
厚生労働省は、令和4年における賃金不払い事案に対する監督指導結果を明らかにした。
定期賃金や割増賃金などの不払いが疑われる事業場を調査し、121億円の不払いを確認した。
労働基準監督署の是正指導により賃金を支払ったのは延べ1万9708事業場で、支払い総額は79億円に上る。
調査した事業場は商業が最も多い。
内容が重大・悪質だった163件については司法処分を行っている。
厚労省は、令和3年12月に閣議了解された価格転嫁対策の一環で、監督指導を強化してきた。

定年後再雇用 「6割未満違法」の判決破棄――最高裁

定年後再雇用者の賃金が旧労働契約法第20条(不合理な労働条件の禁止)に違反するかが争点となった裁判で、最高裁判所第一小法廷(山口厚裁判長)は基本給のうち定年前の6割を下回る部分と、賞与の一部の不合理性を認めた二審判決を破棄し、審理を名古屋高等裁判所に差し戻した。
基本給と賞与の支払い目的・性質や労使交渉の経緯の検討が不十分としている。
判決について元厚生労働省労働基準局長の中野雅之弁護士は「最高裁は『6割』が基準になるのを避けたかったのではないか。
賃金は基本的には労使交渉で決めるべき部分が大きいということだろう」と分析した。

第303話「仕事選び社会との接点も重要」

女性はなぜ働き続けたいと考えるのか。
人材サ-ビスのビ-スタイルホ-ルディングスの調査によると、「今後の生活に不安を感じるため」と答えた人が65.2%と最も多く、「社会と関り視野を広げたいため」「旅行や買い物など自分または家族の生活を豊かにするため」と答えた人も6割を越えた(複数回答)。
また、仕事をすることが「好き」と答えた人は77.8%だった。(「とても好き」と「どちらかといえば好き」の合計)。
「対価をもらえることで自己肯定感が高まる」という声や「自分のライフスタイルに合わせて仕事を無理なく続ける職場があれば、長く続けていけると思う」などの意見が寄せられた。
同社のしゅふJOB総研では「金銭面」と「社会との接点」は年代を超えた働く動機であるとし、「求職の際には給与条件とともに、その仕事を通じて社会とどんな接点が生じるかも大切な要素だ」と指摘している。

以上

評価の5割が「バリュー評価」――島田電機製作所

㈱島田電機製作所(東京都八王子市、島田正孝代表取締役社長)は、基本給の中心となる職能給について、主に行動評価とバリュー評価の結果から導く「総合点」で昇降給を行っている。
等級ごとに計60号俸を設け、1ピッチ当たりの金額には400~1300円と差を付ける。
評価に関しては、総得点の5割を全社員共通のバリュー評価や企業理念などに関する筆記試験の結果が占める。
「ボトムアップ型の組織」を志向するなか、同僚の働きやすさへ貢献する社員を高く評価する。

管理職層を職務基準に――ネットワンシステムズ

IT大手のネットワンシステムズ㈱(東京都千代田区、竹下隆史代表取締役 社長執行役員)は、管理職層に対してポジションを基準に処遇する新人事制度を導入した。
専門職を含めて組織に必要なポジションを定義し、役割の大きさで7段階に区分したもので、それぞれに見合う実力を持つ人材を任用していく。
併せて評価制度の枠組みも一新し、等級やポジションごとに定める「行動定義」に基づく行動評価を採り入れた。
月例給を平均8%引き上げ、シニア層に対する基本給の逓減措置も廃止している。

個人事業者の業務上災害 注文者に報告義務付け――厚労省

厚生労働省は、個人事業者や中小企業経営者などの業務上災害防止に向けた対策のあり方を議論している有識者検討会で、個人事業者の直近上位の注文者に対し、個人事業者が被災した業務上災害の報告を義務付ける案を示した。
報告制度を活用して災害実態を把握し、必要な規制の立案に活かす。
報告対象として、事業場またはその附属建設物内で発生した死亡災害または休業1カ月以上が見込まれる負傷災害を想定。
中小企業経営者が被災した場合は、所属企業に報告を義務付ける。
いずれも罰則は設けない。