大卒・事務技術 非管理職35歳で32.6万円――関経連ほか 2022年度関西地域の標準者賃金

関経連など関西地域の9つの経済団体が共同で実施した「標準勤続者賃金」調査によると、大卒・事務技術のモデル賃金は、非管理職の22歳が21.5万円、35歳が32.6万円、45歳が38.4万円、55歳が41.2万円だった。
管理職では35歳40.4万円、45歳48.7万円、55歳56.1万円などとなっている。
前年結果からは多くの年齢ポイントで伸びており、増加率は1%前後のケースが多い。
ピークを迎えるのは非管理職・管理職ともに55歳だった。

トラック運転者 残業代支払いめぐり弁論――最高裁

トラック運転者の残業代支払いの適法性が争点となった裁判で、最高裁判所第二小法廷(草野耕一裁判長)は弁論を開いた。
会社は運送先などに応じて賃金総額を決め、月ごとの時間外労働に応じた「時間外手当」を支給していたが、時間外手当の額が増えると、同額分の「調整手当」が減る制度を採用。
結果的に、時間外労働が増えても賃金総額が変わらない仕組みとしていた。
原審の福岡高等裁判所は、時間外手当を適法な残業代と認定する一方、調整手当は残業代と認めなかった。
判決は3月10日に言い渡される。

中退共・財政検証 付加退職金に上限設定へ――労働政策審議会部会取りまとめ

労働政策審議会勤労者生活分科会中小企業退職金共済部会(山本眞弓部会長)は、一般の中小企業退職金共済制度(一般中退)の財政検証を行い、今後の退職金水準のあり方に関する意見を取りまとめた。
財政の安定化を図り、長期的に安定した制度として維持していくため、利益が生じた際に支給している付加退職金に上限を設ける。
各年度において同退職金に充てる額の上限として、累積剰余金の1%を設定する。
運用結果にかかわらず支給している基本退職金の予定運用利回りは、現行の「1%」を維持する。

情報サービス産業 大卒35歳モデル32.6万円に――情報労連 ITエンジニア実態調査

情報労連の「ITエンジニアの労働実態調査」によると、大卒のモデル賃金は22歳21.6万円、35歳32.6万円、45歳40.5万円などとなり、ピークの55歳は43.9万円だった。
35歳時点で初任時の1.51倍、45歳時で1.87倍、55歳時で2.03倍となる賃金カーブを描く。
回答企業における最低額および最高額から集計した職種別賃金レンジは、システムエンジニアが26.4万~43.3万円、プロジェクトリーダー等が36.0万~50.6万円となっている。
学歴別の初任給は、高卒が17.8万円、短大・高専・専門卒が19.6万円、大卒が21.3万円だった。

8要素で行動面を絶対評価――TIS

IT大手のTIS㈱(東京都新宿区、岡本安史代表取締役社長)は、4月から全社共通のコンピテンシーを採り入れた新人事制度を導入する。
現行の相対評価を改めて自律的な行動を促すのが狙いで、全8要素を3段階で絶対評価し、昇給や昇格の基準に用いる。
併せて等級体系も整理し、役割の違いが不明確だった等級は統合した。
部署を率いるマネージャー層には職務記述書を設け、外部からの人材獲得も見据える。
改定によって基本給を平均6%、最大で17%引き上げ、管理職層に導入してきた5段階洗替え方式は廃止する。

すべての階層で能力開発を――厚労省・労政基本部会報告書(素案)

厚生労働省は、加速する経済・社会の変化のなかにおける労働政策の課題について、労働政策審議会労働政策基本部会の報告書(素案)を作成した。
企業の成長には労働者による新たな技術の習得が不可欠とみて、現場労働者から経営者までの各層でリスキリングなど能力開発に主体的に取り組むことが企業に求められるとした。
政策面では、スキルの見える化ツールの開発や専門家の助言・相談といった支援を講じるべきとしている。

第286話「人的資本経営に課題」

人的資本経営への関心が高まる中、適材適所の人事はうまく進んでいるのだろうか。
リクル-トが昨年、従業員30人以上の企業で働く会社員やアルバイトを対象にインタ-ネットで調査(1万459人回答)したところ、「最適な部署だと実感しているか」との質問に「あてはまる」と回答した割合は5.5%、「ややあてはまる」は25.2%で合わせて30.7%にとどまった。
「最適なジョブ・アサインメントだと感じているか」は「あてはまる」が5.9%、「ややあてはまる」が26.8%だった。
また、「スキル・経験等を言語化できるか」との問いに「あてはまる」と回答したのは8%と低く、「ややあてはまる」の33%と合わせても41%で過半に満たなかった。
現状のスキルを可視化することで、仕事のレベルや目標を高めることができるとされるが、多くの働き手がスキルや経験を言語化できず、人的資本投資の効果を最大限にすることは困難と指摘している。
また、企業は今いる人材を最大限に活用しなければならず、管理職とは普段からスキルなどについて対話することが大切になる、とも指摘している。

以上

育成担当へ3つの役割手当――ユニ・チャーム

ユニ・チャーム㈱(東京都港区、高原豪久代表取締役 社長執行役員)は、社員の成長を支援する人材向けに3種類の役割手当を創設した。
課長級のマネージャーに対して毎月2万円を支給するほか、入社3年目までの新人の指導役に1万5000円、就職を希望する学生を入社まで導く役割には1万円を支給する。
グループの国内勤務者の3分の1が、いずれかの手当の対象となった。
同社ではこれまで物価高に対応する手当などは支給しておらず、一律のベースアップではなく特定の役割への重点配分を決めている。

5等級30職種別に職務定義書――KDDI

㈱KDDI(東京都千代田区、髙橋誠代表取締役社長)では、5階層のグレードと30種類の職種=専門領域から社員を格付ける独自の“ジョブ型人事制度”を運用している。
ジョブディスクリプションは、グレードおよび専門領域別に作成し、職務遂行上必要な専門スキルのほか、「課題形成」や「チームビルディング」などの「業務遂行をするうえで求められる普遍的な人間力」などを掲載している。
昇給や昇格に反映する能力評価の一部には、行動特性を多面評価する仕組みを採り入れた。
評価者は普段から仕事を一緒にする同僚5人で、「やり切る力」や「傾聴力」の有無などについて5段階でチェックする。

OKR活用し“挑戦”促す――名古屋銀行

㈱名古屋銀行(藤原一朗取締役頭取)は4月、評価制度のなかにチャレンジングな目標の設定を求める「OKR」の手法を採り入れる。
困難な課題に挑戦するなかで行員の積極性を引き出すのが狙いで、掲げる目標は必ずしも収益に直結しなくても良いとしている。
1~2月に掛けては集中的に考課者研修を開き、良い目標例などを共有した。
一方では、経営環境が激変するなかにおいても顧客の課題解決を進めて持続的な成長へと導けるようにすべく、営業力の強化にも努めている。
昨秋には賃金体系を見直して営業職の水準アップを図るとともに、難関資格の取得をめざすプログラムなどの各種研修制度を充実させた。

第285話「都内の中小企業、賃上げ予定なし70%余に」

今春闘が23日からスタ-トしたが、賃上げの動きはどこまで広がるのか。
東京や神奈川に85店舗ある城南信用金庫は、取引がある中小企業738社余りからの聞き取り調査を行った。

それによると、今後の賃上げの予定を尋ねたところ「賃上げの予定がない」と回答したのは537社で、率にして72.8%に上った。
理由としては「業績が改善されず見通しが立てづらい」「仕入れ部品の価格の高騰が著しい」という声があった。
また、「賃上げする予定」だと回答した企業は198社で、26.8%だった。
この企業に対して賃上げ率の見通しを尋ねたところ、1%台が35.4%と最も多く、次いで2%台が27.8%、3%台が13.6%だった。

以上

事務課長所定内 52~56歳未満で60.7万円――人事院 民間給与の実態(令和4年確報)

事務系・技術系ごとに職階別賃金を調べている人事院の「職種別民間給与の実態調査」によると、課長級の所定内給与のピークは、事務課長が52~56歳未満で60.7万円、技術課長が同61.2万円だった。
大卒初任者を含む係員20~24歳未満の水準と比べると、それぞれ2.66倍、2.78倍となっている。
部長級は、事務系が72.6万円、技術系が75.8万円だった。
定年後再雇用者は、係員が26.5万円、課長が41.9万円、部長が55.4万円などとなり、定年前の同職階の水準と比べると、係員と課長で30%、部長で25%低かった。

専任教員の無期転換認める――大阪高裁

羽衣国際大学の専任教員を務めていた労働者が、無期転換申込後の雇止めを不服として訴えた裁判で、大阪高等裁判所(冨田一彦裁判長)は雇止めを有効とした一審判決を変更し、労働者の無期転換を認めた。
労働者は3年の有期労働契約を2回締結し、無期転換申込権を行使したが、同大学は大学教員任期法が定める先進的な教育研究をする教育研究職に該当し、10年特例が適用されるとして、期間満了後に雇止めとしていた。
同高裁は労働者の担当授業の大半は介護福祉士の国家試験対策だったと指摘。
研究の側面は乏しく、特例の対象にならないとした。

在宅勤務の影響 2割弱で欠勤・休職者増加――情報労連・ITエンジニア実態調査

情報産業労働組合連合会(安藤京一中央執行委員長)が実施した「ITエンジニアの労働実態調査」によると、在宅勤務の影響でメンタル面が原因の欠勤・休職者が「増加している」と回答した企業の割合は18・5%だった。
社内のコミュニケーションが悪化したとする企業も36・6%に上っている。
一方で実施割合や頻度は高く、在宅勤務を行うエンジニアが「6~8割」とする企業は約3割を占め、「ほぼすべて」も17・9%と少なくない。
最も該当者が多い実施頻度を尋ねた設問では、「週3日程度」が32・1%で最も多く、全体の約7割が「週3日程度」以上としている。