新卒採用を限定型2コースに――聖隷福祉事業団

社会福祉法人聖隷福祉事業団(静岡県浜松市、山本敏博理事長)は、全国転勤を条件とした新卒採用を取りやめ、同一県内のみで異動する「地域総合職」、市内レベルにまで範囲を絞った「地区限定職」の2つで募集を行っている。 従来は全国転勤型で一括採用をし、3年経過時点などに改めてコースを選ぶ機会を設けていたが、勤務地限定採用のみに切り替えたもの。並行してコース別雇用管理制度を改め、役職への登用制限を撤廃したほか、課長職に設けていた給与格差を解消した。 範囲外への転勤は本人と合意した場合のみとし、赴任中は月3万円の手当を支給する。

大企業の働き方改革のしわ寄せ防止へ――厚労省など対策強化

厚生労働省と中小企業庁および公正取引委員会は、大企業の働き方改革のしわ寄せで下請の中小企業の労働環境が悪化しないようにするため、連携して対策強化に乗り出す。 今後、「しわ寄せ防止総合対策」を策定し、中小企業での時間外労働の上限規制が始まる来年4月に向けて集中的な取組みを実施する考え。 発注方法についての配慮を求める労働時間等設定改善法や下請中小企業振興法に基づく振興基準を周知するほか、都道府県労働局が大企業にしわ寄せ防止を要請する。

AI化で人手不足傾向緩和へ――厚労省審議会が中間報告案

厚生労働省の労働政策審議会労働政策基本部会(守島基博部会長)は、AI等の新技術を活用して「豊かな将来」を実現するための方策を明らかにした報告書(素案)を作成した。 AI等の導入で産業構造が大きく変容するため、円滑な労働移動による職業のミスマッチ解消が課題としたが、全体としては人手不足傾向の緩和に進むと観測している。 政労使のコミュニケーションの強化やAIによる判断に関する企業の責任・倫理の明確化も重要とした。

地域最賃・20年代に全国1000円に――自民党が緊急提言

自由民主党の政務調査会・雇用問題調査会は、根本匠厚生労働大臣に、2020年代のうちにすべての都道府県における最低賃金を1000円にすべきなどとする「緊急提言」を手渡した。 雇用情勢は改善したものの、未だ賃金引上げには結びついていない実態を憂慮している。パートタイム労働者や中小企業・零細企業の労働者の賃金水準を引き上げるには、最賃の大幅引上げに加え、官公庁発注業務を受託した企業に賃金引上げに取組んでもらうことが重要とした。

シニア社員にベア7万円――JR西日本

西日本旅客鉄道㈱(大阪府大阪市、来島達夫社長)は、基本給に7万円のベースアップを実施するなど、今年8月から定年後再雇用者の処遇を大幅にアップする。 現在は各種手当を組み込んだ定額の基本給を支給しているが、今後は乗務員手当などの職務関連手当を別建てとし、社員と同様に勤務実績に応じて加算することとした。 併せて基本給と年2回支給している精励手当の水準を引き上げ、年収ベースでは百数十万円改善する。同じく有期雇用者であるフルタイム勤務の契約社員の処遇も見直し、一時金である精勤手当を年間約20万円増額するほか、新たに家族手当なども社員と同様に支給する。

親睦旅行兼ねる「合宿型」も――日本航空/ワーケーション

日本航空㈱(東京都品川区、赤坂祐二代表取締役社長執行役員、連結3万3038人)は2017年に、休暇先でテレワークを行うワーケーションを導入した。 社内で徐々に浸透しており、年次有給休暇の取得促進のほか、自らの仕事の見直しやメリハリのある働き方の実現につながるなど、様ざまな効果も生まれている。 なかには、親睦を深める旅行をしながら職場とは異なる環境で組織の未来を集中討議する「合宿型」の取組みもみられる。経験者からは「新たな気付きや活力を得られた」と好評を博している。

「残業のメカニズム」

パ-ソナル総合研究所の調査によると、残業の職場での発生メカニズムに「集中」と 「感染」の大きく2つがある。1点目は、残業はある特定の優秀層に「集中」する傾向がある。この背景には管理職の仕事の割り振りがある。管理職の約6割は優秀な部下に優先して仕事を割り振っている。2000年代に入り成果主義の浸透とともに、この傾向は高まっている。短期的な成果を追うために、優秀なメンバ-に割り当てるのが効率的という発想。そうした視点からは、中長期的な人材育成の観点が抜け落ちてしまい、成果主義導入の副作用と言える課題。 2点目は、残業は「感染」するという特性がある。多くの組織特性の中でも最も残業を増やしていた要因は、周りの人が働いていると帰りにくい雰囲気にある。しばしば指摘される、過剰品質の追求といった組織要因よりも、先に帰宅しにくいことへの同調圧力が最も日本企業の残業問題に影響している。 また、この帰りにくさは若いほど感じやすく、20代は50代の1.7~1.9倍帰りにくさを感じている。 この2つの「集中」と「感染」の現象は、異なるようでいて関係しあっている。 優秀な社員は社内で注目を浴びやすくロ-ルモデル化しやすい。しかし、そうした社員に業務が集まり残業が増えるとその人を中心に周囲に、先に帰りにくい圧力が生まれてきてしまう。また、残業対策を行っている企業では従業員層に仕事を振りにくくなり、管理職の業務量が増えてしまうと同じように帰りにくい雰囲気を感染させてしまう悪循環の恐れもある。これらは個人を超えた組織的なレベルの現象であり、勘と経験によらない客観的で組織的な視点での解決が不可欠といえる。 以上

大手大卒・総合職モデル 55歳62万円がピーク――中労委/平成30年賃金事情調査

大手企業の賃金実態を調べている中央労働委員会の「賃金事情調査」によると、大卒・総合職のモデル賃金は22歳21.9万円、35歳40.2万円、45歳55.0万円、55歳61.8万円などとなった。35歳までの若年層で1%台の改善がみられた一方、高齢者層は落ち込んでいる。ピークを迎える55歳の水準は、初任時22歳に比べて2.82倍だった。一方で高卒・生産労働者のモデルは全年齢で1%以上改善し、50~60歳では4%台の伸び率を示している。ピークを迎える55歳の水準は42.6万円だった。

自転車通勤導入へ手引――国交省

国土交通省は、企業における自転車通勤を促進するため、官民協議会において「自転車通勤導入に関する手引き」を作成した。事業者側の経費削減や従業員の健康増進といったメリットを提示したうえで、導入時の検討事項を明らかにしている。 安全教育・指導の徹底や駐輪場の確保を挙げたほか、自転車通勤手当の設定について、日によって異なる交通手段を利用できるような金額の設定を推奨した。

カスハラも「指針」の対象に――パワハラ防止法が成立

事業主に職場のパワーハラスメント防止対策を義務化した女性活躍推進法等改正案が、通常国会で原案通り成立した。併せて、パワハラ紛争を都道府県労働局長による解決援助と紛争調整委員会による調停対象とする。 事業主が講ずべき措置の「指針」では、カスタマーハラスメントおよび就活生に対するセクハラまでをカバーする防止対策を示す考え。 女性の活躍推進に関する「一般事業主行動計画」に関しては、作成義務対象を現行の常用労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大した。施行は来年4月の見込み。

カスハラも「指針」の対象に――パワハラ防止法が成立

事業主に職場のパワーハラスメント防止対策を義務化した女性活躍推進法等改正案が、通常国会で原案通り成立した。併せて、パワハラ紛争を都道府県労働局長による解決援助と紛争調整委員会による調停対象とする。 事業主が講ずべき措置の「指針」では、カスタマーハラスメントおよび就活生に対するセクハラまでをカバーする防止対策を示す考え。 女性の活躍推進に関する「一般事業主行動計画」に関しては、作成義務対象を現行の常用労働者301人以上から101人以上の事業主に拡大した。施行は来年4月の見込み。

社内連絡は朝昼夕各1時間に――フレスタ/労働時間削減対策

残業時間に応じて賞与に最大20万円のインセンティブを付与、さらには部下の時間外が1カ月60時間を超えた場合は上長の賞与を1%削減――。 スーパーマーケットチェーンの㈱フレスタ(広島県広島市、宗兼邦生代表取締役社長)では、労働時間削減に向けた取組みを推進した結果、1人当たりの月平均の残業時間が数年前から6時間減の12時間になった。 ムダな連絡を省く目的で5月からは、本部・店舗間で連絡を取って良い時間帯を朝、昼、夕の約1時間に限定した。限られた人員が本業に集中できる環境をつくる。

基準到達後は定昇6割に――JR貨物の新人事制度

日本貨物鉄道㈱(東京都渋谷区、真貝康一社長)は今年4月、年功要素の強かった一般社員層の制度を抜本的に見直し、役割に応じて3つの職群、4つの等級で処遇する新制度を導入した。固定的だった定期昇給制度を改め、等級別の基準額に達した以降は昇給を6割に抑える基本給体系を採用している。一方で55歳以降の低減措置を撤廃し、定年60歳まで昇給し続けられる仕組みとした。諸手当の改廃も含め、助役などの管理者の処遇を大きく改善することにより、若手のキャリアアップを促す環境を整えている。

残業削減幅で特別手当―協和精工

残業時間の削減幅に応じた「特別手当」を支給――ブレーキなどの開発製造を行う㈱協和精工(長野県下伊那郡高森町、橋場浩之代表取締役)が開始したもので、支給額は削減幅に応じて0.5~0.1の係数を設定して決める。 残業代が生活費の一部になっている現状を踏まえ、生産性向上などで時間外が減っても暮らしに影響が出ないよう補填する。 2年後には、さらに透明性の高い賃金制度に改定する予定もある。