AI普及・非正規雇用に深刻な影響――労政基本部会で本格論議開始

中長期的な労働政策全般について検討する労働政策審議会労働政策基本部会(部会長・守島基博学習院大学教授)はこのほど、スピードが増しているAI(人工知能)化の進展と雇用・労働への影響について初めて議論した。AIやロボットによる代替可能性が高い労働人口割合は全体で49%に達し、なかでも非正規労働者が担う定型的労働を直撃する可能性があるとしている。コミュニケーション能力を生かしたサービス、マニュアルに基づかない仕事への労働力移動が早急に求められるとした。

交通事業者向け・接遇ガイドライン作成へ――国交省

国土交通省は、鉄道やバス、タクシーなどの交通事業者を対象に、接遇の基本的事項や交通手段ごとの応対方法を示した「接遇ガイドライン」を今年度中に作成する。多数の高齢者や障害者の来訪が見込まれる東京オリンピック・パラリンピック開催などを背景に、移動に制約がある人の要望にきめ細やかに対応できるようにするのが目的。現在、接遇に関する職員教育の有無や内容は事業者ごとに異なっているため、望ましい接遇のあり方を示すとともに研修プログラムを作成し、接遇レベルの底上げを図る。

中小・男性のピーク637万円――国税庁・民間給与実態(細部集計)

民間事業所の年間給与額を把握している国税庁・民間給与実態統計によると、規模100~499人の事業所で働く男性・従業員のピークは、55~59歳637万円だった。中堅規模の500~999人は1.13倍に当たる723万円で、5,000人以上は1.43倍に当たる909万円などとなっている。年齢階級別のカーブにはめだった規模間格差がみられ、新卒者を含む20~24歳の水準との格差は、それぞれ2.17倍、2.36倍、3.57倍だった。

時間外月80時間以下で助成金――厚労省・労基法改正への対応支援

厚生労働省は平成30年度、「時間外労働等改善助成金」をスタートさせる方針である。時間外労働が月80時間(休日労働含む)・年720時間以下の特別条項付き36協定を締結し、現実に同時間以下の範囲で時間外労働を行った労働者が生じた中小企業を対象に50万円などを支給する。次期通常国会に提出予定となっている労働基準法改正案成立後の施行を円滑にする狙い。時間外労働の上限規制設定に取組んだ中小企業団体にも500万円を上限に助成する。

「快適職場」に認定制度――日建連

ゼネコンの事業者団体である日本建設業連合会(山内隆司会長)は、働きやすい作業環境を整えている建設作業所を認定する「快適職場認定制度」を創設した。認定に当たっては、作業員の心身の負担を軽減するための作業空間・方法の改善や、長時間労働の是正対策といった働き方改革に関する取組みなどを審査する。働きやすい環境整備に向けた機運を醸成し、建設業の担い手確保につなげるのが狙い。

100人超の改定額5,600円強――厚労省・引上げ等実態調査

厚生労働省の賃金引上げ等の実態調査によると、規模100人以上の1人平均改定額は5,627円だった。所定内賃金に対する改定率は0.1ポイント増の2.0%となり、額・率とも集計方法が変わった平成11年以降、最高の水準を示している。定昇制度がある企業のベア実施割合については、管理職で22.9%、一般職で26.8%となり、前年比でそれぞれ5.1ポイント、3.5ポイント改善した。

 

「情報漏洩」

「企業における営業秘密管理に関する実態調査」が(独)情報処理推進機構/2047年3月から公表された。それによると、営業秘密の漏洩ル-トは

・現場従業員のミスによる漏洩 ・・・ 43.8%
・中途退職者による漏洩 ・・・ 34.4%
・取引先や共同研究者を経由した漏洩 ・・・ 11.4%
・現場従業員による具体的動機を持った漏洩 ・・・ 7.8%

の順となっている。企業秘密が外部に洩れることは、独自の技術やノウハウ、販売手法などが模倣され市場での競争力が低下するという大きなリスクになり、個人情報の漏洩は社会からの信用損失だけでなく、訴訟問題へも発展する可能性がある。
また、その漏洩先で一番多いのは国内の競合他社が32.4%で、外国の競合他社を含めると42.9%にのぼり、自社事業へ大きな影響を及ぼす可能性が高いことがうかがえる。
情報漏洩の主な原因としては、電子メ-ルの誤送信、パソコンやUSBメモリ、スマ-トフォンの持ち出しや紛失、盗難などが挙げられる。また、近年ではSNSなどに従業員が企業秘密を掲載して問題となるケ-スも発生しており、広範囲での注意が必要となってきている。

介護離職対策 休業期間倍増し186日に――日本精工

ベアリング製造業の日本精工㈱(東京都品川区、内山俊弘取締役代表執行役社長、3万1501人)は、10月から介護離職対策を強化した。介護休業期間を法定の倍となる通算186日まで取得可能とし、分割制限も撤廃した。1カ月以上介護を理由に休業した場合、1日当たり4800円の見舞金も支給する。一般社員向けおよび管理職・人事部門向けの2種類の介護セミナーの開催も実施し、来年度のうちに7500人が受講する。

人手不足の運送業者 同違反で年2度送検――柏労基署

千葉・柏労働基準監督署(市倉健人署長)は関東西部運輸㈱(千葉県野田市)と同社の代表取締役を今年2回にわたり、労働基準法第32条(労働時間)違反の疑いで千葉地検松戸支部に書類送検した。同社は9月の1カ月間、トラック運転者4人に対し、36協定で定める限度時間(127時間)を超え労働させた。1カ月の時間外労働は最長の者で183時間に上っている。同社は今年5月にも、今回と同じ運転者4人に違法な時間外労働をさせたとして書類送検されており、同様の違反を繰り返した。1度目の送検が大きく報道されたことで、運転者の退職が相次ぎ、計画通りに改善が進まなかったという。

資格7階層と役割レベル併用――岐阜商工信用組合

岐阜商工信用組合(岐阜県岐阜市、森嶋篤男理事長)は今年から新人事制度を導入し、全7階層の「資格区分」、役職と連動する「役割レベル」を併用している。それぞれの格付けは、標準以上の評定なら毎年1号ずつ昇給する基本給、レベル別定額の役割給に連動させ、複雑かつ透明性の低かった旧制度を見直した。資格区分については上限号俸に達する前の“飛び級”的昇格も可能とし、抜擢者の基本給額を一気に引き上げる。人事考課制度は目標管理をベースとする仕組みに改めており、意欲・能力面の評定で昇給の可否が決定するほか、業績面の評定で賞与にメリハリを利かせる。