労働者の健康情報管理へ指針――厚労省・安全配慮義務など考慮し

厚生労働省は、事業場における労働者の心身に関する健康情報の取扱い方を定めた指針を作成する。事業主は、安全配慮義務履行などの観点から労働者の健康情報を取得する必要性が高まっているものの、既往症などの情報はプライバシー保護の観点から厳重な管理が求められる。健康情報の収集・保管・使用などの方法について指針を作成し、事業場における適正な取扱いを促すとした。部署や職種ごとに取扱う情報範囲を限定すべきなどとしている。

外国人職場体験を強化――経産省

経済産業省は、中小・中堅企業の海外展開に向けた支援を強化する。海外在住の若年外国人などと日本国内企業をマッチングし、国内企業におけるインターンシップを支援する「国際化促進インターンシップ事業」の対象企業を前年度の最大120社から最大210社へと大幅に拡大している。外国人材の視点を活用したイノベーションの創出や、今後の外国人採用の体制整備につなげるのが狙い。受入れ企業には1日2000円の研修費を支給する。

業務別スキルも昇給要件に――常陽銀行の営業店勤務パート

㈱常陽銀行(茨城県水戸市、寺門一義取締役頭取)は、実績・意欲などの評価項目に加え、業務スキル面も評価する人事考課制度を運用し、パートタイム労働者の定着・キャリアアップを進めている。営業店舗で働く人材に対して、テラー、ロビーなどの業務内容ごとにスキルレベルを確認し、一定基準をクリアした場合のみ昇給を行う。無期転換ルールのスタート等を睨んでフルタイムに準ずる「Lパート」の時給テーブルを12から24号俸へ増やしたほか、高スキル人材に対して年間6万円の報奨金を支給する認定制度も採り入れた。今年度以降、無期転換者に対する降級ルールの運用も開始する。

全職業情報 AI活用しデータベース化――厚労省・調査事業開始

厚生労働省は、AI(人工知能)を活用した職業情報提供サイト「日本版O-NET」の運用開始に向けた調査・分析をスタートさせる。日本版O-NETは、仕事に求められる知識、能力、技術のほか、将来展望、平均年収までの総合的職業情報を検索・参照できるサイトで、学生、労働者が適職を見付けられるようにする。今年度末までに調査・分析を終了し、2020年度からの運用開始をめざす。

能力向上や人脈形成めざす――大企業で副業広がる

副業・兼業を制度化したケースが相次いでいる。オリックス生命保険㈱は、他社で雇用されない働き方を前提として、保有する資格を活用して報酬を得る「社外活動」を解禁した。㈱エイチ・アイ・エスでは、個人事業として行う通訳や翻訳を想定して副業を認めた。ユニ・チャーム㈱は入社4年目以上の社員に解禁。いずれの企業も長時間労働や情報漏洩防止に向け、事前申請制度を採る。社内で得られない経験を通して個人の能力向上や人脈形成をめざす。

最高ランクで特別賞与200万円――㈱バンダイナムコアミューズメント「店舗プロフェッショナル正社員」

全国に250店舗のアミューズメント施設を展開する㈱バンダイナムコアミューズメント(東京都港区、萩原仁社長)は、地域限定かつ職務も店舗勤務のみとする「店舗プロフェッショナル正社員」を新設した。契約社員の最上級者に門戸を開き、試験をパスした33人が4月から転換を果たしている。処遇面では、年間評価による洗替え方式の基本給体系を採用し、賞与については総合職と同じ支給月数を適用。計5段階のうち最高ランクを得た人材には、加えて年間200万円の特別賞与を支給する。

多能工化で生産性向上――中小企業白書

中小企業庁は、2018年版中小企業白書を公表した。採用難で従業員を増やせない中小企業にとって、従業員の多能工化・兼任化が人手不足への有効な対策になるとともに、労働生産性の向上にもつながると指摘した。多能工化を進めるうえで、業務マニュアルの作成や従業員のスキルの見える化に取り組む企業が多い。人手不足対応では、高齢者や女性の業務範囲の拡大も進んでいるとして、企業事例を紹介している。

手当不支給は不合理で労契法20条違反――松山地裁

農業機器メーカーの㈱井関農機の子会社・㈱井関松山製造所(愛媛県松山市)に勤める有期契約労働者3人が、住宅手当など3つの手当と賞与に正社員との格差があると訴えた訴訟で、松山地方裁判所(久保井恵子裁判長)は、同3つの手当の不支給が不合理で、労働契約法第20条違反とする判決を下した。支給金額の決定方法が、業務内容と無関係である点を重視している。

多面評価で基本給改定――㈱オリエンタルコンサルタンツ

建設コンサルタントの㈱オリエンタルコンサルタンツ(東京都渋谷区、野崎秀則社長)は、日常的に一緒に働く10人程度から周辺考課(360°評価)を受け、その結果を基本給や昇格管理に反映する「能力考課」を運用している。自律的な成長を促す「人材育成フィードバック」の一部として取り組むもので、本人が参加するプロジェクトのリーダーや同僚・後輩などが考課者となり、スキル・マネジメント・取組み姿勢の3要素6項目について採点を行う。直属上司との間では、四半期ごとの振返り面談で成長目標、行動計画の進捗を確認する一方で、処遇決定に際しては本人の働きぶりを知る複数の目を採り入れている。

「働くことの意識調査」vol-2

公益財団法人日本生産性本部と一般社団法人日本経済青年協議会が発表した、平成29年度新入社員1882人を対象にした「働くことの意識」調査結果を過去の推移でみると

○«第一志望に入社できたか»
平成21年度 62.3%
平成22年度 55.2%
平成23年度 56.6%
平成24年度 60.9%
平成25年度 52.0%
平成26年度 55.0%
平成27年度 56.4%
平成28年度 60.2%
となっており、平成22年度に大幅に減少したが、平成26年度以降は改善傾向が続いている

4月1日現在の大卒者の就職率をみてみると(厚生労働省・文部科学省調査)
平成23年3月卒業者 91.0%
平成24年3月卒業者 93.6%
平成25年3月卒業者 93.9%
平成26年3月卒業者 94.4%
平成27年3月卒業者 96.7%
平成28年3月卒業者 97.3%
に達し、年々少しずつ好転している

○≪仕事についての考え方や希望は»                                                                                                                                                                              (前年度)
第1位 社会や人から感謝される仕事がしたい                          92.5(-1.5)
第2位 仕事を通じて人間関係を広げたい                                92.4(-1.7)
第3位 WLBに積極的に取り組む職場で働きたい                   91.8(+0.8)
第4位 どこでも通用する専門技術を身につけたい                   90.6(+1.2)
第5位 高い役職につくため少々の苦労はしても頑張る           81.1(-3.5)
第6位 終身雇用ではないので会社に甘える生活はできない  77.5(+0.5)
第7位 仕事を生きがいとしたい                                                73.6(-1.2)
第8位 仕事をしていく上で人間関係に不安を感じる               66.2(-1.5)
第9位 できれば地元(自宅から通える所)で働きたい               60.7(-0.3)
第10位 職場の上司、同僚が残業していても
自分の仕事が終わったら帰る                                                  48.7(+9.9)

○«どのポストまで昇進したいか»
(平成18年度)                (平成18年度)
社長                             男性/ 15.9% (24.8%)   女性/2.8% (6.2%)
部長                             男性/ 24.1% (20.7%)   女性/6.6% (2./3%)
課長、係長、主任班長    男性/11.0%(3.5%)       女性/30.9%(18.9%)
で社長への回答は大きく減っているが部長以下のポストへの昇進志向は男女とも高まっている

以上

働き方改革へ監督徹底へ――厚労省・30年度運営方針

厚生労働省は、平成30年度地方労働行政運営方針をまとめ、過重労働の疑いのある事業場に対する監督指導を徹底する考えを明らかにした。各種情報から時間外・休日労働時間数が1カ月当たり80時間を超えている事業場などが重点対象となる。全国の労働基準監督署に設置した「調査・指導班」が監督指導を担当するとした。働き方改革法案の成立によって、罰則付き時間外上限規制や高度プロフェッショナル制度の導入された場合には法制度の周知を図るとともに、時間外の上限水準まで安易に協定しないよう求めていく。

手掛けやすい制度収載――農水省/働き方改革へ手引き

農林水産省は、中小企業が99.8%を占める食品関連業の働き方改革に向けたハンドブックを作成した。スキルマップの作成、時間単位年次有給休暇制度の導入など手を付けやすく、時間を掛けずに実施できる対策を盛り込んだ。取組みが遅れている、あるいは労使で取組み状況に差のある項目の確認に向け、チェックリストを収載。「職場環境を改善しても安全でなければ人材は定着しない」とし、労働災害防止も訴えた。

3,100円増で基本給18万円に――厚労省・介護職員の処遇調査

処遇改善加算を取得した事業所で働く介護職員の基本給は、前年比3,140円増の18.0万円に――。厚生労働省による介護従事者処遇状況等調査で分かった月給制・常勤者の実態で、手当や賞与を含む1カ月当たりの給与額では29.4万円となり、1万1,920円伸びている。時給制・非常勤者の基本時給は、20円増の1,110円だった。平成29年度に給与等を引き上げた事業所のうち、5割弱が各種手当を引上げ・新設し、2割強が給与表を改定している。制度拡充で新設された加算Ⅰについては、全体の65%が取得。定期昇給制度の仕組みがある割合は52.1%だった。