経営人材集める新制度導入――東京海上HD

東京海上ホールディングス㈱(東京都千代田区、永野毅社長)は、グループの舵取り役を担うリーダー層を処遇する受け皿として、管理職層向けの新人事制度を導入した。 グループ全体にかかわる財務・IT・リスク管理などの分野において、高度な専門性とマネジメント力を持つ経営人材を社内外から集める。 7つのコンピテンシー要素に基づいて計4階層の等級に格付け、競争力のある水準を設定した。 基本給には4つのゾーンによるメリット昇給制(メリット・インクリース)を採用する一方、賞与には0~225%という大きなメリハリを付ける。

テレワーク導入意向は2割――五輪中の交通混雑解消策/東商調査

東京商工会議所(三村明夫会頭)は、2020年東京オリンピック・パラリンピック大会期間中の交通・輸送に関する調査結果を明らかにした。 東京都が交通混雑緩和に向けた協力を企業に呼び掛けるなか、重点取組み地域の企業のうち、期間中のテレワーク導入に前向きなのは2割程度にとどまった。 時差出勤についても、前向きな企業割合は拡大しているものの4割に満たない。交通輸送対策の課題では、勤務シフトの変更など「人の問題」が5割を占めている。

働き方改革・下請へ負担押し付け――厚労省など通報制度強化

厚生労働省と公正取引委員会および中小企業庁の3者は、働き方改革の本格化に伴い、親会社による圧力などにより下請会社の労働環境が悪化しないよう相互通報制度の運用を強化した。 長時間労働の背景に、親事業者の下請法違反などが疑われる場合に、厚労省から中小企業庁や公正取引委員会に通報する。 納期までの期間を通常より短く発注し下請会社が休日勤務を余儀なくされたにもかかわらず、通常と同一の単価を一方的に定めたなどが典型例とした。

賃金等消滅時効が5年に延長見込み――厚労省・検討会議論

厚生労働省は、賃金等請求権の消滅時効を現行の2年から5年に延長すべきとする検討会提言をまとめる見込みである。 現在、学識経験者を集めて専門的な議論をしているもので、一定の方向で見解がまとまりつつある。令和2年4月から施行する改正民法に合わせた見直し。 同時に課題となっていた年次有給休暇の消滅時効については、5年に延長すると年休取得が阻害される可能性が高まるため、現行の2年を維持する見通し。

会社都合の転居転勤ゼロに――AIG損保/Work@HomeBase制度

AIG損害保険㈱(東京都港区、ケネス・ライリー代表取締役社長兼CEO、7,272人)は、今年4月から会社都合による転居を伴う転勤を廃止した。 全国を11の地域に分け、社員は自分の希望する勤務地エリアを選択する。エリアを限定しない全国転勤型を選ぶことも可能だ。 現在、対象社員の約8割が特定エリア内で勤務する「ノンモバイル」型を選択しているが、配属後も定期的に見直しの機会を設け、「自分のキャリアを自分で選択する」という社員の自律的なキャリア形成を、全面的に支援していく。

大卒60歳・退職金2,260万円に――経団連・東京経協「退職金・年金調査」

経団連と東京経協が共同実施した退職金・年金調査によると、60歳のモデル退職金は総合職・大卒が2,260万円、生産・現業労働者の高卒が1,820万円だった。所定内賃金で除した支給月数は、順に38.2カ月、46.0カ月となっている。 退職金額の算定にポイント方式を用いる企業が7割まで上昇し、別建て方式を採る企業は全体の84%を占めた。年金制度では、確定拠出年金(企業型)の導入割合が前回調査から10ポイント増と顕著に伸び、68%にまで高まっている。

月給比率高め役割等級へ――㈱NJSの新人事制度

建設コンサルタントの㈱NJS(東京都港区、村上雅亮社長)は、ライン長と専門職に複線化する役割等級体系へ移行するとともに、 従来は一本化していた給与体系を見直した。年収の4割を賞与としていた報酬体系を改め、月給部分のウエートを高めている。 職群・等級ごとに求められる役割をより明確にすることで、等級間で重複部分の多かった基本給レンジを整理した。 レンジの中位を過ぎた場合は、昇給額を約3分の2に抑える仕組みも採り入れている。併せて将来の専門人材確保を見据え、70歳定年制も導入。 60歳以降はシニア専用の体系を適用するが、年収は従前の7~8割程度を維持する。

介護離職防止へ制度改定―賃金約75~100%で選択――東急百貨店

㈱東急百貨店(東京都渋谷区、大石次則代表取締役社長執行役員)は、介護離職防止に向けて一律だった勤務体系を改め、 1カ月に4日程度短時間勤務を認めるなど計5パターンに拡充した。働き方と賃金の減少幅を選択できるようにしている。 賃金は最低でも通常勤務の約75%を保障する。併せて育児関係の働き方も見直した。

7業界対象に導入マニュアル作成――厚労省・同一労働同一賃金で

厚生労働省は、非正規労働者を多く雇用している7つの業界に向けて、同一労働同一賃金導入マニュアルを作成した。 現状の社員タイプを把握・整理したうえ、比較対象者の選定、待遇差の有無、均衡待遇か均等待遇の判断、具体的な是正策の実施などをアドバイスしている。 賞与支給を、業績に対する功労報償と位置付け、実績を支給基準にしていた場合、非正規労働者に支給しないのは「不合理ではない」といえず、改善に取り組むよう求めている。

時短女性らが建設現場を遠隔支援――ダイダン

総合設備工事業者のダイダン㈱(本店:大阪市西区、藤澤一郎社長、1540人)では、現場で働く技術者の業務を軽減する取組みとして、CADオペレータや事務員で構成する「現場支援リモートチーム」の活動が成果を上げている。 ICT技術により支店・現場間で情報共有を図り、チームのメンバーが離れた場所から図面作成などの業務を担う。常時10カ所程度の現場を一元的かつ計画的に支援することで、常駐する人員の削減につなげている。 育児短時間勤務者を含むメンバーにとっても、自宅から最も近い職場での勤務が可能になった。

中小規模の課長級44万円に――厚労省/役職・職種・標準者賃金

賃金構造基本統計調査の役職者賃金によると、課長級の所定内給与額は1,000人以上の大手規模で59.4万円、500~999人の中堅規模で49.8万円、100~499人の中小規模で43.9万円だった。大手に比べると中堅は84%、中小は74%の水準となっている。 一方、非役職者の職種別集計をみると、男性ではシステム・エンジニアが前年比0.3%増の34.5万円、営業用大型貨物自動車運転者が0.7%減の28.2万円、機械組立工が3.1%減の25.7万円、女性では看護師が0.4%減の29.8万円、販売店員が1.9%減の19.5万円、福祉施設介護員が3.0%増の21.9万円などとなっている。

eラーニングも支援対象に――厚労省・助成金制度を改編

厚生労働省は今年度、雇用安定関係の各種助成金制度を拡充・新設した。利用が急増している「人材開発支援助成金」は、要件を満たすeラーニングによる職業訓練と長期の教育訓練休暇導入に対する助成を新設した。 「中途採用等支援助成金」では、60歳以上の労働者を雇い入れた事業主に70万円を支給、UIJターン移住者の採用に対しても採用経費の一部を助成していく。 「キャリアアップ助成金」や「トライアル雇用制度」も助成額の増額や対象者の拡大を行っている。

「今春入社の学生の入社先の決め手」

2019年入社予定の大学生が2018年12月に就職先を確定する際の決め手となった項目は何か。リクル-トキャリアが民間企業への就職が確定している978人に行った調査によると、

1位 自分の成長が期待できるか ・・・ 47.1%
2位 福利厚生や手当が充実しているか ・・・ 37.8%
3位 希望する地域で働けるか ・・・ 37.0%

が高く、「会社や業界の安定性があるか」は29.5%、「年収が高いか」は15.4%に留まり、学生からは“セカンドキャリアを考えれば会社の善し悪しではなく自分の成長が最も大事”という声があった。男女間でも回答には差がでる項目もあり男子の第1位は「自らの成長」に対し女子は「希望する地域で働ける」で、慣れない土地での勤務や全国転勤を敬遠し、勤務地の選べる点を決め手に挙げる女子学生が多かった。さらに、「会社、団体で働く人が自分に合っているか」や「フレックス制度や在宅勤務、育児休暇などの働き方が充実しているか」は女子の方が高く、「年収が高いか」は男子の方が高かった。                                                 以上

原則3年単位で転居転勤――三井住友海上・限定総合職へ新コース

三井住友海上火災保険㈱(東京都千代田区、原典之社長)は、勤務地限定の総合職社員を対象とし、周辺エリアの範囲内に限って転居転勤を行うワイドエリアコースを導入した。 他地域・他部門の業務を経験する機会をつくるのが狙いで、原則3年単位で転居を伴う拠点に赴任し、次回の異動ではいったん自宅通勤可能な職場に戻る――というサイクルで運用する。 転居先赴任時には給与・賞与に20%加算し、自宅通勤時にも5%加算する。同時に定年後再雇用者の処遇体系を見直し、水準を大きく改善した。定額だった月例給は、行動評価により昇降給を行う体系に変更した。 上位職にはさらに、担当業務に応じて月2万~15万円を支給する職務加算の仕組みも採り入れた。本人の同意次第で転居転勤も可能とし、適用者には月15万円を上乗せ支給する。

所定外と合わせ月45時間――カゴメ・副業解禁

カゴメ㈱(愛知県名古屋市、寺田直行代表取締役社長)は4月から、社員の副業・兼業を解禁した。費やせる時間は、所定外労働時間と合算して1カ月45時間までに定める。 対象者は、直近1年の年間労働時間が1900時間未満で、かつ直近3カ月の平均残業時間が15時間未満の入社2年目以上の正社員と契約社員。正社員の場合、全体の約25%が当てはまる。他社で雇用される働き方も認める。

接遇向上へ交通事業者向け研修モデル――国交省

国土交通省は、鉄道やバス、タクシーなど交通事業者が実施する従業員向け接遇研修を充実させるため、交通機関の種類ごとに必要な研修内容を示したモデルプログラムを作成した。
障害者や高齢者など、移動に制約がある人への望ましい接し方を示した「接遇ガイドライン」に沿った対応を促し、各事業者における一定の接遇水準の確保を図る。プログラムには、障害当事者の参画の下で実施する現場職員に対する実技講習や、管理職など向けの障害疑似体験などを盛り込んだ。