過重労働 賠償金8400万円命じる――大阪地裁

大阪府内のフレンチレストランで調理師として働いていた労働者が、ウイルス性疾患により死亡したのは過労が原因と遺族らが訴えた裁判で、大阪地方裁判所(金地香枝裁判長)は8400万円の賠償をレストラン運営会社とオーナーシェフに命じた。約1年にわたり月250時間の残業に従事した結果、免疫力が低下し、疾患発症につながったと判断している。労働者の死亡をめぐっては、昨年5月に同地裁が業務と死亡の因果関係を認め、労災不支給を取り消す判決を下していた。

コロナ対策 テレワーク導入支援を――東商要望

東京商工会議所(三村明夫会頭)は、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う東京都への緊急要望を取りまとめた。都内経済への影響を最小限に抑えるため、中小企業におけるテレワークの活用促進や時差出勤・フレックス制度といった柔軟な働き方の導入促進、BCP(事業継続計画)策定支援などを求めている。テレワーク導入に向けて、ノウハウが不足する中小企業へのコンサルティングなどきめ細かな支援や、助成金制度の手続きの迅速化を訴えた。

被用者保険適用 24年に「50人超」へ引下げ――厚労省・通常国会

厚生労働省は、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部改正案を通常国会に提出した。短時間労働者に対する被用者保険の適用対象拡大に向け、事業所の適用規模要件を段階的に引き下げるとした。「現行500人超」を「100人超」「50人超」と引き下げていく。弁護士、社会保険労務士などの資格を有する者が行う法律に係る事業で、5人以上の個人事業所に勤める短時間労働者については、新たに被用者保険の適用対象とする。高齢期の就労継続拡大のため、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額については毎年定時に改定する仕組みを導入するとした。

被用者保険適用 24年に「50人超」へ引下げ――厚労省・通常国会

厚生労働省は、年金制度の機能強化のための国民年金法等の一部改正案を通常国会に提出した。短時間労働者に対する被用者保険の適用対象拡大に向け、事業所の適用規模要件を段階的に引き下げるとした。「現行500人超」を「100人超」「50人超」と引き下げていく。弁護士、社会保険労務士などの資格を有する者が行う法律に係る事業で、5人以上の個人事業所に勤める短時間労働者については、新たに被用者保険の適用対象とする。高齢期の就労継続拡大のため、在職中の老齢厚生年金受給者(65歳以上)の年金額については毎年定時に改定する仕組みを導入するとした。

現金給与総額 0.3%減の32.3万円――厚労省 毎月勤労統計(元年平均確報)

厚生労働省の毎月勤労統計調査によると、令和元年平均(確報)の月間給与総額は32.3万円となり、前年比0.3%減だった。平成26年から続いていたプラス推移が止まっている。物価の変動を加味している実質賃金指数は99.9で0.9ポイント減少した。一方、雇用形態別の所定内給与についてはフルタイム労働者が0.6%増の31.4万円、パートタイム労働者の時間当たり給与が2.7%増の1167円で揃って改善している。パートタイム労働者の比率は31.5%に。

違法判断で処遇後退の恐れ――横浜地裁

社会福祉法人青い鳥の非正規職員が、正規職員との間に会社独自の出産手当金の有無などの差があるのは同一労働同一賃金を定めた労働契約法に違反すると訴えた裁判で、横浜地方裁判所(新谷晋司裁判長)は請求を全面的に棄却した。同法人は正規職員が産前産後休業を取得した際、出産手当金として通常の賃金を支給していた。非正規には手当がなかったが、同地裁は手当の目的は将来的に経営にかかわる人材の離職防止にあると指摘。違法との判断は手当の全面廃止につながりかねず、むしろ格差是正のための施策を後退させるとして、不合理性を認めなかった。

20春季交渉――前年並み回答と評価

2020年春季労使交渉の集中回答日となった3月11日、金属労協の髙倉明議長は、先行大手の回答について「多くの単組が前年並みの賃上げ回答を獲得できた」とした。回答額平均は1097円で前年の最終集計を255円下回ったが、7年連続の賃上げとなった。産別については、電機連合の13単組中4単組が1000円以上のベアを獲得、JAMでは300人未満労組のベアが全体平均を上回っている。

氷河期世代就職支援 正規1.8万人増めざす――愛知県

愛知県内の政労使団体は、令和4年度末までに就職氷河期世代の正規雇用者を県内で1万7700人増やす目標を掲げた。同県は官民一体となって取り組む「就職氷河期世代活躍支援プラットフォーム」のモデル県に選出されており、今年2月に開いた第2回会議で令和2~4年度までの事業実施計画を策定した。支援講座や職場実習を通じて正規雇用に結び付けるほか、同県内企業50社を集めて同世代限定の面接会を催すなどの対策に取り組むとしている。

総務人事課長 管理監督者性認めず――東京高裁

㈱エルピオ(千葉県市川市、牛尾健代表取締役)で総務人事課長として働いていた労働者が残業代の支払いを求めた裁判で、東京高等裁判所(深見敏正裁判長)は管理監督者性を認めず、370万円の支払いを命じた一審判決を維持した。同社は遅刻や外出などに許可を得る必要がなく、労働時間に広範な裁量があったと訴えた。同高裁は勤怠がタイムカードで管理され、労働時間規制の枠を超えた活動を要請されざるを得ないような権限を有していなかったとして、主張を退けた。

派遣先企業 4割が団交要求に「対応」――厚労省調査

派遣労働者の所属する労働組合から団体交渉を求められた場合、「対応する」と回答した派遣先が4割に達していることが、厚生労働省の実態調査で分かった。平成24年と27年に改正した派遣法の施行状況を調べたもので、今後の制度見直しへ向けた基礎資料とする。雇用安定措置に基づき派遣労働者を直接雇用へ切り替えた経験のある派遣先は約3割で、多くは無期雇用としていた。改正目的である雇用安定化を一定程度達成している。3年を超えて有期雇用派遣労働者を受け入れていた派遣先は2割だった。

「働き手のエンゲ-ジメントの重要性Part2」

前回の第235回に続いてエンゲ-ジメント(働き手にとって組織目標の達成と自らの成長の方向が一致し、仕事へのやりがい・働きがいを感じる中で、組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢)について触れます。

経団連が自社における把握状況を尋ねた調査では「把握している」との回答が78.7%に上りそのうちエンゲ-ジメントの状況について「高い」5.9%、「どちらかというと高い」72.3%と8割近くに上った。

企業がエンゲ-ジメントを高めるための対応として特に重視している項目(複数回答)としては、「職場のコミュニケ-シヨンの活性化・円滑化」54.8%との回答が最も多く、続いて「経営理念や事業目的と社員の働く意義とのマッチング」46.8%、「社員一人ひとりが尊重される企業・職場風土の形成」44.3%が多くなっている。

エンゲ-ジメント向上のために、社員同士のコミュニケ-ションをはじめ、職場風土の改善や個々の社員の意識の尊重を重視している企業が多いと言える。

加えて、(独)労働政策研究・研修機構の調査では、「仕事を通じて、成長できている」「自己効力感(仕事への自信)が高い」「キャリア展望が明確になっている」といった認識を持つほど、エンゲ-ジメントも高いと分析している。

社員がこうした実感を持ちやすくするための取り組みを検討することも一案と言える。以上

「働き手のエンゲ-ジメントの重要性」

企業において、一人ひとりの働き手が持てる能力を最大限発揮するための環境を整備し、 労働生産性を向上させていく上でエンゲ-ジメントという概念が注目されている。

経団連ではエンゲ-ジメントを、働き手にとって組織目標の達成と自らの成長の方向が一致し、 仕事へのやりがい・働きがいを感じる中で組織や仕事に主体的に貢献する意欲や姿勢を表す概念としている。

定期的なアンケ-トを通じて企業全体のみならず、職種、役職、雇用管理、年齢などの 様々な区分毎に働き手のエンゲ-ジメントの状態を見える化する手法が開発されており、 自社の抱える課題を把握し解決していく上で活用することができる。

エンゲ-ジメントの向上は、企業に様々なメリットをもたらすと言われており米Gallup社が 世界の主要企業に対して行った調査では、エンゲ-ジメントが高い企業は低い企業に比べて 収益性が21%、労働生産性が17%高くなるといった結果が報告されている。

厚生労働省の調査でも、エンゲ-ジメントの高さは、労働生産性の向上や離職率の低下 と相関があると指摘している。

エンゲ-ジメントが高まれば、新たな挑戦やアイデアが生まれやすく、イノベ-ションの 創出に寄与すると考えられる。以上

大卒・事務技術モデル 非管理職35歳32.5万円に――関経連ほか関西地域の標準者賃金

関経連など9つの経営者団体が共同で実施した「標準勤続者賃金」調査によると、大卒・事務技術のモデル賃金は、非管理職の22歳が20.9万円で35歳では32.5万円だった。22~30歳で改善がみられた一方、35歳以上では前年より軒並み減少している。管理職をみると45歳48.7万円、55歳56.8万円だった。初任給に対するピーク時の倍率は、管理職が2.72倍だったのに対して、非管理職では1.98倍だった。規模別に非管理職35歳の賃金をみると、規模間の差が前年に比べて1.6万円縮まっている。地域別の水準では大阪、京都が他地域に比べて高い傾向にある。

再就職後も復職意思有効――東京高裁

㈲新日本建設運輸(東京都江戸川区)でトラックドライバーとして働いていた労働者が解雇の無効を求めた裁判で、東京高等裁判所(白石史子裁判長)は、解雇から1年半の期間のバックペイのみを認めた地裁判決を変更し、判決確定日までの賃金支払いを命令した。地裁は労働者の再就職から約半年後に就労意思がなくなったとしていたが、同高裁は「生活維持のため他社で働くこと自体は復職の意思と矛盾しない」と判断。労働契約上の地位と地裁の約2倍となる760万円の請求を認容した。

最低報酬設定は回避を――全国中央会

全国中小企業団体中央会(森洋会長)は、現在、厚生労働省内で検討中の「雇用類似の働き方」に対する保護対策について意見表明した。業務受注者側は、一般に経営資源が乏しく取引条件、交渉力などで大きく劣ることが多いため、何らかの保護や育成対策が必要との認識を示したが、新たなガイドライン(指針)の作成とその周知徹底に留めるよう訴えた。報酬額も受注者と発注者双方の協議により決定すべきで、最低基準を定めるべきではないとした。