約7割のコンビニエンスストアのオーナーが24時間営業をやめ、時短営業に切り替えたいと希望していることが、公正取引委員会の調査により明らかになった。コンビニオーナーについては、労働組合法上の労働者性を争点とした裁判が現在係属している。労働者と認めた労働委員会の初審命令書では、フランチャイズ契約で年中無休・24時間営業を義務付けている点を重要視していた。調査結果を受け、公取委は本部が24時間営業に関する協議を一方的に拒絶する場合は、優越的地位の濫用に該当し得るとの考えを明らかにした。今後フランチャイズ指針を改正するとしている。
月別アーカイブ: 2020年9月
船員の働き方改革 労務管理責任者を選任へ――国交省
国土交通省は交通政策審議会の部会を開き、船員の働き方改革実現に向けた取組みの方向性に関する取りまとめ案を明らかにした。労働時間の適正な管理を促進するため、電子化・システム化による労働時間の記録・保存の推進を今後の課題に挙げている。労務管理を担う陸上の事務所における体制整備も欠かせないとみて、陸上において船員の労務管理に責任を持つ「労務管理責任者(仮称)」の選任を求めるとした。
複数事業労働者 全業務の負荷を総合評価――厚労省
厚生労働省は、「複数事業労働者」の疾病に対する労災保険給付についての運用基準を、都道府県労働局長に通達した。現時点においては、脳・心臓疾患と精神障害を要因とする疾病が対象で、一つの事業における業務上の負荷のみでは業務と疾病の間に因果関係が認められない場合に、複数事業労働者を使用する全事業の業務上の負荷を総合的に評価して労災認定する。保険給付に当たっては、複数事業労働者を使用する事業ごとに算定した給付基礎日額に相当する額を合算するとした。
労基法 劇団員の労働者性認める――東京高裁
劇団員の労働基準法上の労働者性が争われた事件の控訴審で、東京高等裁判所(上田洋幸裁判官)は劇団員を労働者と認め、運営会社である㈱エアースタジオ(東京都墨田区、藤森一朗代表取締役)に賃金計185万円の支払いを命じた。一審は小道具の準備などの裏方業務のみを労務の提供としていたが、公演への出演と稽古の時間についても、指揮命令下にあったと判断している。同社は公演への出演は断ることができたと主張したが同高裁は「指示に事実上従わざるを得ず、諾否の自由があったといえない」と退けている。
事前承諾なく団交録音――中労委
中央労働委員会第3部会(畠山稔部会長)は、団体交渉の場において、訪問介護事業の㈱アンジュエトワル(神奈川県川崎市)が事前承諾を得ずに録音したことが不誠実な団体交渉に当たるなどとして労働組合が救済を申し立てた紛争で、神奈川県労働委員会の初審に続き、不当労働行為に該当しないと判断した。組合による再審査申立てを棄却している。録音を禁止する明確な団交ルールがなかったうえ、録音は団交経験がなく組合の要求を正確に理解するためだったとした。
簡便な時間管理モデル提案――厚労省・副業兼業
厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」を大幅改定した。裁判例を踏まえると、副業・兼業を認める方向とするのが適当としたものの、使用者は安全配慮義務、労働者は秘密保持義務、競業避止義務、誠実義務などを負うと明記した。労働時間の通算に関しては、「簡便な労働時間管理」のモデルを示した。労働者からの申告に基づき、法定外労働時間を合計した時間数が単月100時間未満、複数月平均80時間以内になるよう、複数事業場間で連携するとしている。
イノベーション生む戦略探る――生産性本部
公益財団法人日本生産性本部(会長・茂木友三郎キッコーマン取締役名誉会長)は今年度、新規事業を立ち上げるなどした優良企業へのヒアリングやアンケートを通じ、イノベーション創出に結び付く人材戦略について探る。第2期を迎えたイノベーション会議のテーマとして取り組むもので、従業員の意識改革や配置・採用面、賃金・評価などの制度面も含めて背景要因を洗い出し、来春をめどに大企業や中堅企業へ改革の方向性を提言するとしている。
法定労働組合と認めず――都労委
エステサロン運営会社から団体交渉を拒否されたとして、首都圏青年ユニオン連合会が救済を求めた事案で、東京都労働委員会(金井康雄会長)は労働組合法上の労働組合に適合しないと評価し、申立てを却下した。役員選挙や会計報告などを行っておらず、労働者が主体・自主的に組織する団体とはいえないと指摘している。不当労働行為の審査で労組の法適合性が問題となった場合、労委の補正勧告に従い規約を改正すれば適合組合と認めるのが通常だが、同連合会は「組合費無料」「運営への参加不要」などを謳って組織拡大を図っており「仮に規約を改正して形式的に要件を満たしたとしても、根本的に労組法上の労組といえない」と判断した。
自動車運送業 働きやすい職場へ認証制度――国交省
国土交通省は、トラック、バス、タクシー事業者における職場環境改善の取組みを可視化する「働きやすい職場認証制度」を創設した。自動車運送事業者の人材確保を後押しするのが狙い。労働時間・休日や、心身の健康などの分野について、一定の要件を満たした事業者を認証する。認証は、取組みの達成状況に応じて「一つ星」~「三つ星」の3段階を用意するが、初年度となる今年度は、一つ星認証に限定して試行実施。9月16日に申請受付を開始し、来年5月に認証事業者を公表する予定だ。
第243話「テレワ-ク評価制度の課題と業務(仕事)の見える化」
テレワ-クにおける評価について評価者は、被評価者の勤務態度や仕事振り
(成果につながる行動や、勤務時間の把握ができない)を、また被評価者は、
仕事の成果やプロセスを正しく評価されないのではないか、上司(評価者)に
成果達成のための相談等を適切(気軽にタイミング良く)に行えないなどの
不安や悩みが顕在化しました。
今までのオフィスワ-クでもこのような課題は存在していましたが、
テレワ-クにより鮮明化されたとも言えます。
テレワ-クかオフィスワ-クかの働く場所の違いがあっても、企業経営に
おける評価の役割と目的に違いはありません。
評価における役割には大きく
① 業務パフォ-マンスを公正に評価し処遇(給与、賞与、昇降格、
異動など)に反映する。
② 評価により明らかになった課題を人材育成に反映する。
の2つがあり、これらを果たすことにより
③ 社員個々のエンゲ-ジメントを高める。
④ チ-ム組織力の向上を図る。
⑤ 企業の持続的成長を目指す。
の3つの目的を達成することが評価に求められます。
そこで、大事なのが「業務(仕事)の見える化」です。上記①、②を果たす
ためには、業務(仕事)が明確でなければそのパフォ-マンスを評価する
ことはできません。目の届かない離れた場所でのテレワ-クであれば
なおさら、期待する業務(仕事)の見える化が求められます。何を評価する
のかという評価対象が明確でなければ、評価そのものは成立しません。
技術者(特にIT技術者)のテレワ-クはスム-ズで生産性が高いという声を
聞きます。これは、技術者の業務(担当業務における目標設定と達成プロ
セスのスケジュ-ル化、進捗チェックの仕組み化など)の見える化が確保
されていたことが、上手く展開できた大きな要因と考えられます。
また、業務(仕事)の見える化はJob型人事制度や同一労働同一賃金という
潮流の中でも必須となるKey Wordです。
企業規模、業種・業態により一筋縄ではいかない領域ではありますが、
新しい働き方が求められていく中にあって自社の業務(仕事)の見える化に
挑戦するタイミングと言えます。
以上
平均妥結額6300円へ減少――民間主要企業賃上げ要求・妥結状況 厚労省/令和2年
厚生労働省がまとめた民間主要企業の春季賃上げ集計によると、今年の平均妥結額は6286円となり、前年の6790円を504円下回った。交渉前の平均賃金31.5万円に対する賃上げ率は、0.18ポイント低い2.00%だった。産業別では、計20産業のうち16産業でマイナスとなり、運輸で3000円以上落ち込んだほか、機械、サービスなどで減額幅が1000円を超えている。プラスは、金融・保険、精密機械など4産業に留まった。
厚生年金保険 4年で加入逃れ撲滅へ――年金機構
日本年金機構(水島藤一郎理事長)は厚生年金の加入逃れ対策を強化する。今年度から4年間を集中取組み期間に設定し、これまでの国税徴収のデータに加え、新たに雇用保険被保険者のデータを活用し、未加入企業を把握していく。加入逃れが発覚した企業については、4年の間にすべて適用をめざすとした。今年5月に成立した年金制度強化法では、同機構による立入検査の権限拡大が図られた。検査結果に応じた職権による適用も実施し、悪質な企業に対しては、告発も視野に入れる。
社外取締役 社長・CEO交代を主導――経産省が実務指針作成
経済産業省は、上場企業の社外取締役に期待される役割やその役割を果たすための具体的な取組みを整理した「社外取締役のあり方に関する実務指針」(社外取締役ガイドライン)を作成した。経営の監督を最も重要な役割に位置付けるとともに、必要に応じて社長・CEOの交代を主導するとした。取締役会の監督機能を強化するため、社外取締役が取締役会における議題設定に関与したり、中長期的な経営戦略に関する議論を促したりするのが望ましいと指摘している。