建設技能労働者 4割で賃上げ2%以上――全建

地方のゼネコンを中心に1・9万社の会員を抱える全国建設業協会(奥村太加典会長)が実施した調査で、技能労働者の賃金を2%以上引き上げた(引き上げる)企業の割合は42・1%となった。回答企業の6割弱が下請との契約で労務単価の引上げを実施しており、うち41・2%では下請でも2%以上の賃上げがあったとしている。今年3月、国土交通省と建設4団体の間では、「概ね2%以上の賃金上昇をめざす」との申合せをしていた。同調査では3社に1社が、既に「取り組んでいる」としている。

公立校教員 残業代請求を全面棄却――さいたま地裁

埼玉県内の公立小学校で働く教員が、同県に240万円の残業代支払いなどを求めた裁判で、さいたま地方裁判所(石垣陽介裁判長)は教員の請求を全面的に棄却した。固定残業代として月給の4%を支払うと定めた給特法で、労働基準法第37条(時間外、休日及び深夜の割増賃金)の適用は明確に排除されていると判断している。一方、給特法は労基法第32条(労働時間)の適用は除外していないとして、長時間労働が常態化している場合は、国家賠償法上の違法が認められるとした。

雇用シェア 7カ月で7382人に――厚労省・届出状況まとめる

厚生労働省は、新型コロナウイルス感染症対策として今年2月に創設した産業雇用安定助成金の利用状況を明らかにした。出向計画届出状況によると、約7カ月が経過した9月時点までに出向労働者数7382人に達した。出向元事業所数は689社、出向先事業所数は1156社だった。出向元事業所の約8割は、雇用調整助成金を受給中。厚労省では、休業と在籍型出向(雇用シェア)を併用し、雇用維持を図っている状態にあり、選択肢の一つとして取り組む事業主が増えているとした。

労災防止へ専門家無料派遣――神奈川産保センター

神奈川産業保健総合支援センター(渡辺哲所長)は、転倒・腰痛災害ゼロをめざす企業に専門家を無料で派遣するサービスを全国で初めて開始した。加齢に伴う身体機能の低下が災害発生要因の一つになっているとみて、各事業場に適した健康保持増進計画の作成を支援する。従業員の健康づくりを通じて加齢による災害発生を防ぐ考えだ。神奈川県内では転倒災害が多発しており、50歳以上の労働者が被災するケースがめだっている。

再教育でDX人材育成――内閣官房

政府の内閣官房は令和4年度、転職支援につながるリカレント教育やDX(デジタルトランスフォーメーション)投資促進事業を新たに立ち上げて、就職氷河期世代支援対策を強化する方針である。リカレント教育では、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた就業者、失業者・非正規雇用労働者に加え、希望する就職ができない若者に対して、大学・専門学校を拠点とした就職・転職につながるプログラムを提供する。DX投資促進により1000人のデジタル人材を育成する狙い。

アジャイル型開発 派遣・請負の要件明確化――厚労省

厚生労働省はアジャイル型開発について、発注者と受注者が対等な関係の下で協働し、受注者側の開発関係者が自律的に判断して業務を遂行していれば、労働者派遣に当たらないとする考えを明らかにした。アジャイル型開発は、開発要件の全体を決めずに開発を始め、リリースと開発を繰り返しながら機能を追加していく手法。発注者と受注者がチームを作り、意思疎通を図りながら開発を進めていくが、意思疎通が指揮命令に当たると判断される法的リスクがあり、導入のネックになっていた。

JOB型雇用で下剋上狙う若手

日経BP総合研究所の調査によると、JOB型賛成派の割合は39歳以下で76.3%
と高く、40歳代で64.6%、50歳代では46.8%と低下し、ベテランほど人事
制度の刷新に消極的な様子が浮き彫りになった。
ゼネラリストで長年やってきたのに専門性と言われても、という戸惑いが
感じられる。

60代では、今の管理職の大半が職を失うとの回答があった。雇用のル-ルが
変わると、自身がお払い箱になってしまうのではないか、このように心配
するベテランの本音がにじむ。

若い頃は年功序列のル-ルに基づき耐えてきたのに、ベテランに
なってから実力主義に変わったら、今後どうしていいのか。
自身にとっての「制度改悪」に戸惑うケ-スも少なくないのでは
ないだろうか。

企業は若手の期待に応えつつ、ベテラン勢の不安を払しょくする舵取りも
求められる。

以上

アイドルに労働者性認めず――東京地裁

「農業アイドル」として活動していた女性の遺族が、報酬が最低賃金を下回っていると主張し、約8万円の支払いをマネジメント会社に求めた裁判で、東京地方裁判所(佐藤卓裁判官)は女性の労働者性を認めない判決を下した。女性はアイドル活動の一環として、地元の特産物を販売するイベントに参加し、店舗をPRする「販売応援」業務に従事していた。遺族は指揮命令下でマネキン業務に就いていたと主張したが、同地裁はイベントへの参加は任意であったと評価。労働基準法上の労働者に当たらないと判断した。

出向解除復職 不当労働行為に当たらず――中労委

中央労働委員会第3部会(畠山稔部会長)は、相鉄ホールディングス㈱(神奈川県横浜市)がバス子会社に在籍出向中の労働組合員に対して、労使合意がないまま親会社である同社への復職を命じた事案で、不当労働行為に当たるとして出向継続を命じた初審命令を取り消した。復職命令停止を神奈川労働委員会から勧告されたにもかかわらず復職を命じていたが、業務上の必要性に基づいたもので、支配介入に当たらないとしている。団体交渉などを重ね、子会社への転籍条件や出向延長を打診するなど、復職や転籍の合意に向けた努力も行っていたと判断した。

過労死認定 労働時間以外を総合評価――厚労省

厚生労働省は、脳・心臓疾患の労災認定基準を改正し、新たに「血管病変等を著しく増悪させる業務による脳血管疾患及び虚血性心疾患等の認定基準」として、都道府県労働局長あてに通知した。長期間の過重業務の評価に当たり、労働時間と労働時間以外の負荷要因を総合評価して労災認定することを明確化したのが、大きな改正点。労働時間以外の負荷要因として、休日のない連続勤務、勤務間インターバルが短い勤務、出張の多い業務などを示した。また、短期間の過重業務や異常な出来事の業務と発症との関連性が強いと判断できるケースを明確化、「発症前おおむね1週間に継続して深夜時間帯に及ぶ時間外労働を行うなど過度の長時間労働が認められる場合」などを例示した。

労働審判件数が過去最高に――最高裁・2年度司法統計

最高裁判所事務総局は令和2年度の司法統計をまとめ、地方裁判所が新規に受け付けた労働審判の事件数が3907件と、制度創設以来過去最高になったと発表した。事件の内訳は地位確認(解雇等)が1853件で前年度比252件(15・7%)増となる一方、賃金手当等(解雇予告手当を含む)は1501件で33件(2・2%)減となった。労働関係の第一審通常訴訟も3960件で、平成4年以来過去最高の数字となっている。事件数増加の背景には、新型コロナウイルスの影響があるとみられる。

下請Gメンの調査強化――中企庁

中小企業庁は令和4年度、企業における賃金引上げが実現できるよう、取引環境の改善をはじめとする事業環境整備などに重点的に取り組む。取引実態を積極的に把握するため、下請Gメン(取引調査員)の体制をさらに強化したうえで、全国の下請中小企業へヒアリングを展開。消費税転嫁対策調査官による厳正な監査・検査も実施する。さらに、中小企業・小規模事業者が抱える様ざまな経営課題に対処する相談窓口「よろず支援拠点」による経営相談体制の強化を図るほか、オンライン相談を開始する。

DX人材育成推進員を全国配置――厚労省・4年度

厚生労働省は令和4年度、中小企業のデジタル化を促進するため、全国の生産性向上人材育成支援センターに新たに「DX人材育成推進員」(仮称)を配置する方針である。中小企業からの要望に応じて、デジタル分野の新たなスキル修得に向けた職業訓練などに関する相談支援に当たる。公的職業訓練においては、IT分野の資格取得をめざす訓練コースの拡大を目的とした訓練委託費の上乗せを行う。民間部門におけるDX加速により、生産性を「徹底的に引き上げる」とする政府方針に沿ったもの。