平均で1548円 5年連続の賃上げを実現――金属労協

自動車、電機、鉄鋼など大手金属メーカーの労働者約200万人で作る金属労協(JCM・高倉明議長)は、定昇相当分とは別に、平均1548円の賃上げ回答を引き出した(3月15日時点)。賃上げは5年連続である。前年と比較できる組合も500円ほど上回った。人手獲得に苦しむ小規模労組ほど賃上げ額が高い。未組織労働者に波及し得る企業内最低賃金も平均1216円の引上げ回答となっている。

中核人材の確保へ「期間限定型」雇用の活用を――経産省報告書

中小企業が中核を担う人材を確保するには、終身雇用・フルタイム型の雇用のほか、副業・兼業・出向など多様な働き方を活用した期間限定型(プロジェクト型)の人材確保も大事――経済産業省は、「我が国産業における人材力強化に向けた研究会」の報告書を取りまとめた。人手不足時代では人材を必要な場面に必要な量だけ確保するのが重要とみて、経営状況などに応じて多様な人材活用方法を検討する必要があるとしている。経営課題の洗出しから採用後の職場環境見直しに至る人材確保の手順も明らかにした。

東京の中企業38.8万円――厚労省・都道府県別賃金

平成29年賃金構造基本統計調査の都道府県別集計によると、100~999人規模の中企業で働く一般労働者・男性の賃金は、東京38.8万円、大阪34.3万円、愛知31.6万円などとなった。大阪が前年比2.9%減とめだって落ち込み、0.3%減だった東京との差が4.5万円(11.6%)に広がっている。愛知は0.1%減と横ばいで、東京とは7.2万円(18.4%)の差が付いている。短時間労働者・女性の時間給は主要地域の伸びが顕著で、東京が57円増の1,293円、大阪は50円増の1,105円と大きく伸びている。

「外国人労働者」

国内の人材不足が続く中、外国人労働者の雇用は重要な経営戦略の一つになっている。2017年1月厚生労働省が発表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、外国人労働者を雇用している国内事業所数は17万2789ケ所で、そこに勤める外国人労働者数は108万3769人に及ぶ。15年からの推移をみると、事業所数で2万537ケ所(13.5%)、労働者数で17万5873人(19.4%)の増加となっており、2007年雇用状況届出の義務化以来ともに最高の数値となった。

従事している産業別の割合で見ると、
・製造業 ~ 31.2%
・卸売業、小売業 ~ 12.9%
・宿泊業、サ-ビス業 ~ 14.2%
で約6割を占めている。
また、規模別で見ると、
・30人未満 ~ 34.0%
・30から99人 ~ 18.1%
・100から499人 ~ 22.9%
・500人以上 ~ 19.9%
・不明 ~ 5.4%
となっており、半数以上が99人以下の事業所に勤めており、30人未満の事業所に勤める外国人労働者の割合は前年同期比20.8%の増加となつており、中小企業が積極的に外国人を受け入れていることがうかがえる。

以上

監督官OB54人が復帰へ――厚労省・全国労基署の機能強化

厚生労働省は、長時間労働の是正を柱とする実効性ある働き方改革を推進するため、全国労働基準監督署の監督指導態勢を一段と強化する方針である。合計54人の労働基準監督官OBに非常勤として監督指導業務に復帰してもらい、長時間労働が疑われる事業場などを立入り調査するほか、監督官以外でも「労働時間管理適正化指導員」や「時間外及び休日労働点検指導員」の大幅増員を図って、36協定などの適法化に努める。昨年閣議決定した「働き方改革実行計画」において「監督指導の徹底」を予定していた。

四半期ごとに特別賞与――串カツ田中

全国で店舗を運営している㈱串カツ田中(東京都品川区、貫啓二代表取締役社長)は、年間休日120日をめざして年3日ずつ休日を増やしたり、店舗で働く社員を対象として従来の賞与とは別に四半期ごと最大6万円の賞与を支給したりするなどの対策に取り組み始めた。離職者を抑制し、減った採用コストを働き方改革の原資に振り向ける。研修センターを新設し、OJT中心だった新入社員教育も見直す。

一般労働者男性のピーク42.4万円――厚労省・賃構調査(概況)

厚生労働省の平成29年賃金構造基本統計調査(概況)によると、一般労働者・男性の所定内給与額が平均で33.6万円、年齢階級別のピークは50~54歳の42.4万円だった。全体的には前年比微増となったなかで、40~54歳の中高年層がダウンしている。企業規模別にみると大企業と中企業で40歳以上が軒並み前年比マイナスとなっている一方で、小企業が全体的に改善傾向を示している。短時間労働者・女性の1時間当たり賃金は1,074円となり、3年連続で20円以上アップしている。

転職者受入促進へ指針――厚労省・今月中に作成

厚生労働省は、今年度中に「転職者受入促進のための指針」を作成する。転職が不利にならない柔軟な労働市場の形成と企業慣行の見直しを図り、年齢にかかわりない多様な選考・採用機会を拡大する狙い。企業に対しては、職務遂行能力の適正な評価と中途採用者の賃金決定における公平かつ柔軟な取扱いなどを要請する。産業・事業構造の劇的変化に対応し、「成熟企業」から「成長企業」へ専門性の高い労働者の移動を拡大したい構えである。

建設技能者の能力評価「就業日数・保有資格で判断」――国交省が中間まとめ素案

国土交通省は、今秋からの運用を予定している「建設キャリアアップシステム」を活用した技能者の能力評価の枠組みを検討する「建設技能者の能力評価のあり方に関する検討会」を開き、中間とりまとめの素案を提示した。客観的な評価制度を構築する観点から、同システムに蓄積・登録される就業日数と保有資格を活用して評価を行い、技能者を4段階にレベル分けするとした。各技能者のレベルを参考に、所属企業で具体的な処遇を決定するほか、元請が手当を支給することを想定している。

大卒・非管理職35歳32.6万円に――関西地域の標準者賃金

関経連ら9つの経営者団体が共同で実施した標準勤続者賃金調査によると、非管理職のモデル所定内賃金は22歳20.8万円、35歳32.6万円、管理職では45歳48.6万円、55歳56.2万円などとなった。非管理職はすべての年齢ポイントで前年結果を上回り、40歳以上では軒並み2%超の伸びを示している。一方で管理職は40歳代で横ばい、50歳以上では落ち込んでおり、ピークを迎える55歳では2%近く減少した。初任給に対するピーク時賃金の倍率は、非管理職が2.06倍、管理職が2.71倍となっている。

 

クラレ・ノー残業ウイーク実施へ――大手メーカーの働き方改革

大手メーカーで、在宅勤務やテレワークの試行・導入を中心に、働き方改革に関する取組みが広がっている。クラレは来年度、個人ごとに1カ月のなかで残業しない週を設定する「ノー残業ウイーク」を導入予定。旭硝子は配偶者が転勤する際に通算3年の休職を認める制度を導入する。

現行スキルで対応不可7割――連合「AI調査」

AI(人工知能)の職場導入を働き手がどう考えているかを探った連合の調査によると、実際に導入されたら自分のスキルや知識では対応できないと考えている人が約7割に及んだことが分かった。自身の労働時間に変化は起きないとみる人が6割いた反面、減ると思っている人も2割半ば存在。とくに運輸業と金融・保険業で同様の見方が多く、AI導入による長時間労働の緩和効果に期待している可能性があると分析している。

大卒35歳モデル38万円に――経団連・定期賃金調査

経団連と東京経協が実施した「2017年6月度定期賃金調査」によると、総合職・大卒35歳のモデル賃金は前年結果を3.2%下回る38.0万円だった。全体的に減少傾向を示し、ピークの55歳は1.9%減の60.4万円となっている。初任給相当の22歳の水準と比べると、35歳が1.77倍、55歳が2.81倍の水準だった。一方、集計企業396社の平均所定内賃金は43.7万円で、そのうち所定内は38.0万円に。実在者を集計した役職者賃金は、部長が1.4%減の68.8万円、課長が0.5%減の53.3万円だった。

働き方改革へ「特別チーム」――厚労省来年度・全国労基署に設置

厚生労働省は平成30年4月から、全国の労働基準監督署に働き方改革の推進に向けた「特別チーム」を新設する方針である。特別チームは、法令に関する知識や労務管理体制が不十分な中小規模事業場などを対象に長時間労働削減のためのきめ細かな指導を行う「労働時間相談・支援班」と長時間労働の抑制や健康障害防止などを目的とした監督指導を行う「調査・指導班」の2班で構成する。中小規模の事業場を重点に労働時間に関する法制度の周知と法令遵守に万全を期して、着実な働き方改革に結びつける狙いである。

働き方改革で生産性向上――日建連が事例集

建設業界における生産性向上を推進している一般社団法人日本建設業連合会(山内隆司会長)は、生産性向上に積極的な会員企業23社の取組みをまとめた事例集を初めて作成した。工事の進め方や資材選びなどの工夫によって作業日や作業時間を削減して4週8休を実現したケースや、現場管理における煩雑な業務の専業・分業化、女性活躍推進、ICT技術の徹底活用といった働き方改革が成果を上げているケースがある。

現金給与総額0.4%増の31.7万円に――毎勤統計29年平均(速報)

厚生労働省の毎月勤労統計調査の平成29年平均(速報)によると、月間現金給与総額は31.7万円となり、前年に比べて0.4%増加した。伸び率は0.1ポイント鈍化したが、26年から4年連続プラスで推移している。一方で消費者物価指数の伸び率0.6%増は下回ったため、実質賃金は0.2%減とマイナスに転じた。雇用形態別の賃金は、一般労働者の所定内給与が0.3%増の30.7万円、パートタイム労働者の時間当たり給与が2.4%増の1,110円となっている。